地政学リスクという言葉が死語になるのではないかと感じることがあった。グローバル化が進み、世界がフラット化していけば、多様性ある世界になり、均衡が保つことができるのではないか。しかし、現実はそんなに甘美なものではない。
新たに力を持つ者が現れれば、それをこころよく思わない輩も現れる。米中対立が生まれたのはそんな背景があってのことだろうか。政権が変われば、元の鞘に収まって鎮静化するのかと思ったが、そうはいかずに、さらに対立が深刻化しているようだ。この先、どんなところまで影響が及ぶのだろうかと少々心配になったりもする。
そんな状況下にあっても強者はいるものだ。
Bキャピタルが、運用資産19億ドル(約2100億円)の一部を中国で急速に台頭しつつあるエンタープライズテクノロジー分野に展開するという。
ブルームバーグによれば、Bキャピタルの創業者の一人ラジ・ガングリー氏が「中国の過去20年間が消費者向けインターネットの興隆だったとすれば、次の20年は伝統的なビジネスのデジタルトランスフォーメーション(DX)ということになる」と指摘したという。
「われわれは、地政学にかかわらず、テクノロジーがいかにこうした産業を変えていくかという長期的視点に確固として立っている」。 (出所:ブルームバーグ)
また、Bキャピタルのゼネラルマネージャーの蔡氏は「大規模産業でデジタル化がテーマとなっており、企業にサービスを提供するテクノロジー各社に極めて大きな好機を見いだしている。過去20年間に米国が経験したことによく似ている」、と語ったという。
中国にもまだDXでのビジネスチャンスがあるとは意外なことだ。国内で、DX騒ぎになるのも当たり前のことなのかもしれない。
DXデジタルトランスフォーメーション、あらゆる企業活動を最新のデジタルツールを利用をして効率化していくということなのだろうか。
一方で、コロナ渦による需要減で、2020年10~12月期に企業部門は238万人に上る余剰人員を抱えたと内閣府の「ミニ経済白書」が指摘したとJIJI.COMが報じる。
企業は政府の支援策を活用しながら雇用維持を図っているが、中長期的な生産性向上へ「成長分野に失業なき労働移動を促進していくことも必要」としたという。
今後はニーズの高い分野への人材移動を促すため、労働者のスキルアップ支援が課題になる。
ただ、アジア太平洋地域の14カ国・地域を対象とした19年の調査(パーソル総合研究所)では、勤務外で学習や自己啓発を行っていない就業者の割合を見ると、日本は46.3%と14カ国・地域の平均(13.3%)に比べて著しく高い。白書は「個人も企業も人的投資には消極的」と問題視している。 (出所:JIJI.COM)
少し前まで人手不足と言われていたのが嘘のようである。逆に言えば、それだけ人手に頼っていたオペレーションを続けていたということなのだろうか。
このコロナ渦で、DXデジタルトランスフォーメーションによる業務変革が求められるといわれる。経営コンサルを始め、様々な業種からDX市場に参入し、DXをリードしようとしているようだ。
DXでどんな結果が導き出されていくのだろうか。DXが単なる業務の効率化に終われば、新たな余剰人員を生み出すのだろう。DXの進展で新たな雇用の受け皿となる仕事を生み出していかなければ、真のDX、デジタルによるトランスフォーメーションとは言わないのだろう。