所詮テクノロジーなんぞは水物もので、当たるも八卦、当たらぬも八卦なのだろう。しかし、後になってあの時ああしておけばと言っても、もう後の祭り、どうにも取り返しがつかないということなのだろう。
「失われた20年」が「失われた30年」になり、日本の国力低下が指摘されて久しい。
脱炭素が世界共通の課題と認識されるようになった。日本も遅ればせながら、その流れに乗るが、かつては先頭を走っていたはずので環境技術では追いつかず、気づけば、世界はもっと先に進んでいた。
脱炭素イノベーションで日本が圧倒的に劣後しているという現実 | 日経クロステック(xTECH)
「気候変動対策は21世紀最大のビジネスチャンス」。
2009年に米オバマ政権が誕生し、環境の目玉政策としてグリーンニューディール政策を打ち出した年だ。太陽光発電スタートアップの米Solyndra(2005年創業、848Mドル調達)を筆頭にハードウエア系スタートアップに多額の投資が行われ、第1次クリーンテックブームが始まった。しかし、Solyndraが安価な中国製品に負けて倒産した2011年にブームは終わった。(出所:日経XTECH)
クリーンテックブームが終わったこの年は、マーク・アンドリーセン氏が「ソフトウエアが世界を飲み込んでいる」と語った年だと、日経XTECHはいう。
そして、第一次のブームは去り、クリーンテック向け投資は低迷期に入っていったという。しかし、ハードウエア系でも生き延びた企業はある。米Teslaや燃料電池の米Bloomenergyなど、ごく限られた企業だけだったという。
クリーンテック投資が増加に転じ始めたのは2016年頃だ。2019年12月に発表された「欧州グリーンニューディール」が 追い風となり、新型コロナウイルスが猛威を振るう2020年でさえも増加傾向が続き、第2次クリーンテックブームが起きた。(出所:日経XTECH)
「次のユニコーンは検索エンジンではなく、グリーン水素などのクリーンテックだ」と世界最大の資産運用会社BlackRockまでがそういうようになった。これを機に多数のファンドなどがクリーンテック投資に舵を切り、特にハードウエア系への関心が戻ったという。
しかし、残念なことに「日本にはクリーンテック分野での投資先がない」と言われ、海外に投資するしかないの現状だという。一体、それまで何をやっていたのだろうか。
かつての日本の消費社会は「一億総中流」という言葉によって象徴されるという。
その頃は大衆消費社会とも呼ばれ、それを支えていたのが百貨店だったという。
しかし、その百貨店も時代とともに衰退していく。そごう・西武は2006年に、セブン&アイ・ホールディングスに買収された。しかし、今また売却される運命にある。
日本経済新聞によれば、08年度の百貨店事業の売上高を100とすると、20年度の全国の百貨店全体では58となっているという。また、90年代半ばに約550万円あった世帯所得は、2018年には437万円まで減り、百貨店が受け皿としていた中間層、大衆が細ったという。
マスマーケットの瓦解だった。
コロナ禍による、インバウンド消費が蒸発した影響もあるのだろう。ただそれは時間を早めただけなのかもしれない。
奇しくも、日本が衰退始めたとき、海外ではクリーンテックがわき起こり、一時的な停滞はあったものの、それが今急成長を始めいている。それもしっかりと時代の要請に応えて、ハードウェアとソフトウェアが両輪をなしている。
政策の影響もあったのだろうが、ハードウェアを諦め、失ったのが衰退の一因なのだろう。
世界の工場となり、モノづくり大国になった中国が、今米国と伍している。