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【人口減少は国の存亡の危機】少子化対策に成功する事例と失敗する理由

 

 日本の人口減少は深刻な事態といいます。「出生率が死亡率を上回るような変化がない限り、日本はいずれ存在しなくなる」と、イーロン・マスク氏が5月にツィートするくらいです。

「日本はいずれ存在しなくなる」──。少子化が深刻化するこの国への悲観と失望が広がる。仕事との両立に悩み、産むことをためらう人はなお少なくない。(出所:日経ビジネス

 国としての存亡の危機....、確かにそうなのかもしれませんが、そう考えなくとも、子どもを生み、育てることが普通でなくなっていることの方が異常なのかもしれません。

 

 

 経済活動が活発になり、様々な社会問題が確認されるようになっています。少子化高齢化もこうした社会問題のひとつなのでしょうか。その悪影響をあげればきりがありません。国をあげての取り組みが求められる所以なのでしょう。

 ただ、それは人が感じるマインドによっても左右されそうです。単純に、「将来への希望」>「不安」となれば、少子化に歯止めがかかり、状況は改善していくのでしょうか。

 伊藤忠商事における女性社員の期間合計特殊出生率が劇的に改善し、「1.97」になったといいます。国の出生率「1.30」と比較し、大きく上回る数値に改善できたそうです。

伊藤忠が「8時前出社」導入で出生率急上昇のナゼ | 特集 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

 東洋経済オンラインによれば、2010年から試行錯誤をしてきた働き方改革の成果だといいます。その中で、特に2013年に導入した朝型勤務制度が効果的だったといいます。

20時以降の勤務を原則禁止とし、早朝の5〜8時までに勤務した場合には、深夜残業と同様に割増し賃金を支払う。今は、5割を超える社員が8時前に出社している。(出所:東洋経済オンライン)

 これまで様々な女性活躍のための取り組みをやってきたそうですが、あまり効果があがることはなかったそうです。

PDCAを回す」と、伊藤忠の取り組みを記事は解説しています。

 これまでに集まったデータを徹底的に分析し、何がダメで、何が効果的だったのかを検討し、全社的な働き方改革を実施してから出生率が大きく上がるようになったといいます。

 女性が働きやすい制度を整えようと、具体的に女性を何割雇い、何%を管理職にする、と数値目標を立てたが、女性の活躍にはつながらない、「数合わせ」をしたらむしろ離職率が上がってしまうこともあったそうです。

 

 

 よかれと思ってやったことが空振りに終わることはある、それでも諦めずに、引き続き次の施策をうっては、社員の反応を確認して効果検証を行い、また見直しを行う、その繰り返しが改善につながっていくようです。

 働き方改革も「ローマは一日にして成らず」と同じで短期に成果をあげることはできないのではないでしょうか。国が制度を整え、ルール化してくれることを待っていては、いつまでも改革は進みません。結局、改革は現場で行うもので、それを社会のしくみとして定着させることが、国の制度ということではないでしょうか。

子どもを産んでも仕事を続けられるよう、育児休業の拡充や保育施設の整備、経済不安の解消につながる幼児教育の無償化、不妊治療費用の助成と、さまざまな政策が打ち出されたのは記憶に新しい。しかし、出生率は1.8に近づくどころか低下する一方だ。(出所:日経ビジネス

 国が声高らかに働き方改革とか少子化対策といえばいうほどに、行動を起こすのでなく、国の制度や支持待ち状態になってはいないでしょうか。

 それでは成果は遠退くばかりです。何より大切なことは従業員と対話し、みなで働きやすい職場を作っていくということなのでしょう。

 国も言うばかりでなく、まずは官僚たちに働き方改革を求め、また国会自らの改革を断行し、その成果を示すべきなのかもしれません。うまくいけば、これほどのベストプラクティスはないのでしょう。

 

「参考文書」

[新連載]少子化は企業が止める 出生数激減、国任せではいられない:日経ビジネス電子版