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定着しそうな「安いニッポン」、ドル円150円が新たな日常か

 米雇用統計の発表を受け、円が対ドルで上昇、一時151円台を付けましたが、その後はまた153円台で推移しているようです。

円が対ドルで一時151円台に上昇、米雇用統計後-介入警戒感和らぐ - Bloomberg

 雇用統計が市場予想を下回り、年内の利下げ観測が高まったことに反応したといいます。「日本の財務省と円安を阻止する彼らの闘いにとっては朗報だ」との市場関係者の声があるようです。

 

 

GDP1%規模の為替介入、焼け石に水

 GW期間中、 政府日銀は何とか円安を阻止しようと市場介入に動いたのではないかといわれます。GDPの1%にもなる為替介入を行っても円安の流れが止まりませんでした。切り返されては繰り返し介入したようです。

アングル:ドル売り浴びせ、早朝の奇襲に介入観測再び 最大効果狙う | ロイター

 神田財務官が焦燥感をもって孤軍奮闘しているだけのようにも見えます。

米国の政策金利は5%超。対する日本はゼロで、日銀は動く構えすら見せない。資本逃避的な円売りが発生しているにもかかわらず、焼け石に水と分かっている介入しかないのか。(出所:ロイター)

 円安が進むのは、為替トレーダーに需要があるからなのであって、投資から利益が見込まれるなら企業も行動を起こします。為替トレーダーも企業もやっていることと本質的は変わらないような気もします。

円の弱体化

為替介入をしたとしても円の継続的な弱体化を防ぐことはできない。円安は、日本経済が弱く、輸出企業の競争力がますます低下している結果だからだ。(出所:東洋経済オンライン)

円急落よりマズい「円弱体化」が進む日本の末路 多くの国民の生活水準が腐食しかねない | 政策 | 東洋経済オンライン

 円は暴落しているわけではないといいます。問題は、円が大暴落するようなリスクではなく、円安が日本の国際競争力と多くの国民の生活水準が腐食し続けることにあるといいます。円安が今の水準より進むことになれば、輸入物価は上昇し、今年の実質賃金の上昇分を帳消しにするほど全体のインフレ率が上昇する可能性があります。すでに実質賃金は23カ月連続で前年同月を下回り、消費者の購買力が下がり続けています。こんな状態が長引いて、経済が健全に成長するわけがないといいます。

 

 

日銀の次の利上げ

 GW明け日銀は何か対応をみせるのか、気になります。GW前の植田総裁の記者会見内容を手がかりにして、専門家たちが様々な予測をはじめています。

日銀の利上げペース、市場想定より速まる可能性も-物価予想通りなら - Bloomberg

 日銀による次の利上げは9月との予測がもっぱらのようですが、市場が想定するペースより速まる可能性があるといいます。日銀が現状をどう分析するか次第でもあり、その動向に注目が集まるといいます。

 米国FRBが予想通りに利下げをはじめ、また日銀が早期に利上げを実施すれば、金利差の縮小が意識され、短期的にはトレンドに変化があるのかもしれません。一体適正な円の水準は何円くらいなのでしょうか。

 今の水準が維持されるとの予測がある一方で、165円まで、1986年以来の円安水準まで下落するリスクがあるとみる市場関係者もいるようです。

円は1986年以来の低水準に落ち込む可能性、1ドル=165円も-RBC - Bloomberg

 当局が介入し、円を買い支えても弱気心理を完全に鎮めることができないといいます。

財務省がすべてを「投機筋」のせいにすることで、根本的な原因を見失ってしまうことだ。(出所:東洋経済オンライン)

 やはり日本経済が活況となり、力強さを回復しない限り、円安トレンドを脱することは出来ないということでしょうか。

 

 

かつて世界を席巻した日本の産業の多くは、輸出価格を大幅に下げない限り競争力を失いつつある。(出所:東洋経済オンライン)

 政府は株式市場が史上最高値を更新し、日本経済は30年ぶりに明るい兆しを見せていいます。そんな呑気なことで、国民生活を守ることはできるのでしょうか。生活水準を犠牲にすることはあってはならないし、許されることでは絶対にないのだから。

 このまま安いニッポンが定着することになるのでしょうか。

 

 

「参考文書」

【コラム】日本は介入で慎重にショット選択を、バズーカ砲不要-モス - Bloomberg

「時間稼ぎ」の円買い介入、それでも通貨安定に役立つ-ゴールドマン - Bloomberg