Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

解決しなければならない倫理的な問題に、求められる「誠実さ」という美徳

 倫理的で責任あるビジネスを目指す企業が増えつつあるといいます。

 現在の社会情勢からすれば自然ななりゆきなのでしょうか。こうした動きにまた日本が取り残されるようになってしまうのでしょうか。

「ESG(環境・社会・統治)」の「G」ガバナンス(統治)について着目し、企業パフォーマンスを高めるようとする動きがあるそうです。こうした動きのベスト・プラクティス情報を日経ビジネスが紹介しています。

「戦略的な誠実さ」で、倫理的なビジネス課題に挑む:日経ビジネス電子版

現在の極めて複雑な倫理的課題に対応するには、企業が社内に立ちはだかる壁を打ち壊し、戦略にふさわしい形に整え、コラボレーションを生み出し、インテグリティー(誠実さ)の文化を築くことが求められる。(出所:日経ビジネス

「誠実さ」をコアとし、それを一つの部門が全社的に推進していく、それが成るのであれば、価値観は転換していくのかもしれません。そうしたことにチャレンジする動きに斬新さを感じます。

 

 

「もちろん、ビジネスにとってよいことをしなければならない。とはいえ、人権を侵害したり、水や原材料などの資源を無責任に使用したりしては、ビジネスを維持することはできない」と記事は指摘し、「私たちが取り組んでいる素晴らしい活動を見てくださいというアプローチは、もはや信頼に足るものではない」といいます。

 これらの行為がステークホルダーからの信頼にどう影響を与えるのか、検討する必要があると主張しています。

 気候変動をはじめとする様々な環境問題、地政学リスク、分断や格差などの社会問題など、これらにどう対応していくのか、企業経営者の悩みは尽きません。

 現実にロシアがふいを虚を突いててウクライナに侵攻した問題で、この問題の重要性が増したようです。

 多くの欧米企業がロシアから撤退し、独裁的な国家において事業を続けることは、人権を軽んじ、汚職のリスクにさらされ、企業の存在意義に関わるという差し迫った問題になっているといいます。

 

 

権限を持った戦略的なインテグリティー(誠実さ)部門は、これらの問題に対してより積極的かつ体系的なアプローチを展開するための重要なステップである。(出所:日経ビジネス

 記事は、新たな「CIO」チーフ・インテグリティー・オフィサー(最高誠実責任者)の必要性を説きます。

「データ分析、政策、ステークホルダーのエンゲージメント、行動科学に関する特定のスキルを持つ、多様で学際的なチームのサポートを必要とする」といいます。「チームは、政治的な支出や社会的・政治的問題に対する我が社の立場の確立など、非常に幅広い問題に対応できるべき」と指摘します。

「CIO」最高誠実責任者、滑稽のようにも感じます。元来、「誠実さ」はビジネスにばかりでなく、人生においても必要とされる素養、美徳であったはずです。

 かつてはあったが、欲望に満ちた社会になっていく過程で失ってしまったということでしょうか。

 しかし、それに気づき、今一度、その素養を育もうとするのはいいことなのかもしれません。ただその回復には長い時間がかかりそうです。しかし、それが社会全体としての流れになれば、変化のスピードは増していくことになるのでしょう。

商人は、自分が売っている商品について、嘘偽りがなく、見かけ通りのものであることを無上の喜びとする。(引用:イギリス流大人の気骨 サミュエル・スマイルズ

 

 

 また、「商売ほど人間性がきびしく試される職業はない」とスマイルズは指摘し、「商売では、正直さ、無欲さ、公正さ、嘘をつかないことが厳密に問われる」といいます。

 これまでは、こうした格言とは真逆なことをやってきたということなのでしょうか。