Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

嫌われる中国との向き合い方、逃げ出す知識人、下落する中国株

 

 ずいぶんキナ臭さが漂う世界になってしまいました。争いごと、対立がつきません。

 中国で想定通りに習主席が3期目を担うことになりました。先々に少々不安を感じるようになります。米中対立は収まるどころか、ますます激しさを増すようになってしまうのでしょうか。巻き込まれないようにするためには、どうすればよいのでしょうか。

 中国には無数の心臓があって、他の国と違ってひとつの心臓を叩き潰しても、別の心臓が動き出して鼓動が停止しないと「落日燃ゆ(城山三郎著)」にあります。

全ての心臓を一発で叩き潰すことは到底できない。だから冒険政策によって支那を武力で征服するという手段を取るとすると、いつになったら目的を達するか予測し得られない(引用:「落日燃ゆ」城山三郎

支那に大きな利害関係をもっている日本としては、そんな冒険的なことに加わりたくない」と城山は、幣原喜重郎の言葉としてそう描いています。

 体制に違いはあれど今も昔も同じなのかもしれません。習一強で一つの心臓になったように見えても、決してそうではないのかもしれません。まともに組み合って勝てる相手ではなさそうです。

 

 

 習氏の3期目入りが確定し、党中央政治局常務委員が発表されると、中国本土銘柄株が軒並み下落したそうです。経済と市場に対する統制を強める政策が何の反発も受けずに何年も続くとの観測が広がったためといいます。

習近平氏が投資リスクに、記録的な中国株下落で露呈-権力集中を嫌気 - Bloomberg

貧富の格差是正を図る「共同富裕」や、国内外の双方から経済発展を促進する「双循環」といった、習氏が掲げる政策目標が受け入れ可能かどうかを投資家は決めなければならないと指摘。「これら新しい一連の価値観」が今後数年間の投資目標と一致するかどうかを検討する必要がある。(出所:ブルームバーグ

「市場が懸念しているのは、非常に多くの習氏側近・部下が指導部に選出されたことで、市場に友好的ではない政策を邪魔されずに定めることができる習氏の力が強化されたことだ」と話す専門家の声を紹介しています。

 

 

 中国の知識人や富裕層が、長期化する強権政治に嫌い続々と国外脱出を図っていると、JIJI.comが報じています。

知識人・富裕層が中国脱出 習政権に嫌気、日本移住も―ルポライターの安田峰俊氏インタビュー:時事ドットコム

「アリババたたき」などハイテク企業が叩かれるようになり、政府に目を付けられると大打撃を受けかねない。また富裕層はいつ財産を没収されるかわからない、そんな恐怖を感じていることが理由といいます。さらに上海のロックダウンの状況をみて、先見の明のある人々も逃げ出しているといいます。そうした人々の脱出先として日本も人気があるといいます。文化的に近く、比較的低い予算で定住できることで選ばれているそうです。

1980年代から胡政権の時代まで、中国は経済や社会の各方面でおおむね自由が拡大していく傾向にあった。それが習政権下でイデオロギーを重視する極端な「左寄り」に傾き、統制が強まった。ソフト路線だった胡政権末期の党内には、次期総書記(習氏)に権力を集中させ引き締めを図らなければならないという共通認識があった。ただ、結果として習氏は強くなり過ぎた。(出所:JIJI.com)

 なんでもありの自由な中国から統制の中国へ。安定を手に入れた政争のない政権が、この先どんな行動をとるようになるのでしょうか。中国との関わりを再考すべきなのかもしれません。

 

 

野放しのあばれ馬だ。それをとめようと真っ向から立ちふさがれば、蹴殺される。といって、そのままにしておけば何をするかわからん。だから、正面から止めようとしてはだめで、横からとびのって、ある程度思うままに寄せて、抑えて行く他はない。(引用:「落日燃ゆ」城山三郎

 暴走する軍部を抑えようとした広田弘毅首相、しかし、その努力の甲斐もなく、争いの渦に巻き込まれてしまう日本。戦後、その広田はA級戦犯として東京裁判で裁かれることになり、文官としてただひとり死刑の判決を受けました。

 さて、今の日本に上手に中国を乗りこなせることはできるのでしょうか。

 

「参考文書」

習近平続投で中国株急落、米株式市場で10兆円以上が消失 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)