米アマゾンが先日、2022年7〜9月期決算を発表し、売上高が前年同期比15%増になったのに対し、営業利益は48%減になったそうえす。また、年末商戦となる10~12月期の業績見通しは市場予想に届かないといいます。
Amazon営業益5割減 年末商戦の予想弱く、株20%急落: 日本経済新聞
消費者の財布を圧迫する様々な要因があり、「四半期が進むにつれて多くの事業で売り上げの伸びが緩やかになっている」とオルサブスキーCFOは指摘し、「消費者がお買い得な商品を探していることは確かだ」と述べたといいます。
世界的な景気減速の可能性が指摘されていますが、いよいよ現実になってきたということでしょうか。
商品需給にも変化があるようです。つい先頃まで、あらゆる製品が不足と言われていたことが嘘のように、様々な製品の需給バランスが回復しているそうです。 半導体の供給制約は解消に向かい、不足していたゲーム機やデジカメも需要を充たすようになったといいます。需要が減退期に入って需給が緩んだ可能性もあるといいます。
半導体リードタイム、数年ぶりの大幅短縮-供給不足緩和の兆し - Bloomberg
あれだけ不足といわれた半導体も同じようで、ブルームバーグによると、半導体の発注から納品までにかかる時間「リードタイム」が9月に4日間短くなり、供給不足が緩和されつつあることを示唆しているといいます。特に、電源管理とアナログ半導体が最も短縮されたそうです。
供給制約は一部で残っているものの、今では多くの半導体メーカーがこれまでとは逆の過剰在庫の問題を懸念している。(出所:ブルームバーグ)
一方、これまでのジャストインタイムから、万が一への備え「ジャストインケース」への転換が進んでいるといいます。コストをかけてでも在庫を積み増し、有事に備える動きがあるといいます。最悪の事態が生じても、製品を供給し続けるためだそうです。
ジャストインタイムの終わり インテル、50年目の転換: 日本経済新聞
日本経済新聞によれば、トヨタも有事の備えを急いでいるといいます。有事への対応として今期7000億円にのぼる費用を計上しているそうです。また、21年秋からは半導体の在庫を従来の3カ月分から5カ月分まで増やすよう一部の取引先に伝えているともいいます。
米中対立も激しさを増す。台湾海峡は世界のコンテナ船の約4割が航行する。危機が起きれば世界の供給網は機能不全に陥る。平時から有事に備える企業のみが顧客の獲得でも優位に立てるとの考えだ。(出所:日本経済新聞)
好ましくことではないですが、世界が分断化し、グローバリズムが逆回転しているといいます。有事への備えでコストがかさむようになっても、それを許容することが企業の生き残りの条件になりつつあるといいます。
この他にも、足下の危機への対応が迫られています。
人件費やエネルギー価格の上昇は重荷となり、米アマゾンにおいても、それが理由となって大幅な営業利益減になりました。また、景気減速の足音とともに成長が鈍化し始めたようで、今後の売上減の可能性も否定できない状況になってきているようです。
「コスト削減に取り組んでいる」と、アマゾンのオルサブスキーCFOはを強調したといいます。
生産性の向上や固定費の調整、インフレ対策を重視しているという。物流施設や配送網の効率改善を進めているほか、小売部門での採用を凍結したり、一部の製品やサービスはプロジェクトを中断したりした。(出所:日本経済新聞)
気配を感じとれば間髪入れずにアクションを起こす。それがアマゾンということなのでしょうか。それにしてもその内容は教科書通りのような気もします。原理原則を重視するからこその成長なのでしょうか。
日本企業の準備はどこまで進んでいるのでしょうか。遅れがあれば、ますます生産性にしろ、賃上げにしろ、その差が拡大していくのではないでしょうか。
政府におだてばかりに乗らず、目を海外に向けることが肝要ではないでしょうか。経済は世界において相互に依存し合っているのだから。
「参考文書」
ゲーム機・エアコンなど供給不足緩和 主要20品目の7割: 日本経済新聞