Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

今だから言いたい、物価目標2%を止めてもらいたい、これだけの理由

 

 政権が変わり、新たな経済政策への期待から株価が上昇している。コロナ第5波がだいぶ落ち着き、第6波の懸念もあるのだろうけれども、経済回復への期待が大きいということなのだろう。

 一時は1万円を切っていた日経平均が3万円を回復するようになった。しかし、相変わらず、物価目標2%は未達のままだ。この政策を8年以上続けている。当初言われていたデフレから未だ脱却できていないのだろうか。かつて言われたデフレスパイラルは未だに終焉していないのだろうか。

 何か違う引力で、同じ目標、同じ政策が続けられていないだろうか。その代償が、永遠の経済再生の探求になっているような気もする。政権が変われば、この政策の見直しはあったりするのだろうか。

 

 

 米国の8月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比5.3%上昇したそうだ。どの国より早く経済が立ち直ったという論理と、積極的な財政支出などがその要因にあげられる。仮にそうであっても、現実、モノの値はあがり、品薄になっているようだ。

焦点:ファスナーもガラスもない、品薄が米経済回復の重しに | ロイター

 米国のCPIが突出して高いということがあるのだろうけれども、欧州でも英国でも物価指数が上昇しているのに、日本だけが蚊帳の外とは納得いかない。

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 サプライチェーンの川上の原材料価格が上れば、本来であれば最終製品価格も同様に値上がりするはずである。足下をみれば、素材の価格はあがり、食糧価格も高騰している。それなのに、物価が安定的に上昇しないことは不思議でならない。

 企業努力で吸収しているというのであれば、それは美談かもしれないが、実態は賃金上昇を拒む口実になっていたりしないだろうか。場合によっては、ステルス値上で、価格据え置きで、内容量が減じたかもしれない。そうした歪んだ行為が続けば、もしかしたら、いつまでたっても物価目標2%は到達せず、間違った目標に翻弄され続けるばかりで、経済が回復しているという実感がわかないのかもしれない。

 

 

 おりしも、コロナ禍からの経済回復と政権が変わることが同じような時期になりそうだ。この機会をとらえて、○○ノミクスから抜け出し、経済の原理原則に従って政策実行するがよいのではなかろうか。

 批判が多かった現政権ではあるが、携帯料金の値下げや最低賃金の大幅アップなど、今までになかった成果もあった。これまでのゆがみが多少修正されたのかもしれない。しかし、小さな変化では改革とは呼べない。それが継続され改革になれば、人々の意識も変わるのではなかろうか。何も改革断行など、大言壮語しなくても、歪んだことを丁寧にひとつひとつ正していけばよいのではなかろうか。

 そのためには、まず、これまで続けてきた金融政策をきちんと評価しなければならないのだろう。

コラム:所得増えぬまま物価目標2%達成なら、消費者から悲鳴か=鈴木明彦氏 | ロイター

2%の物価安定目標を達成するということは、「賃金も物価も下がる世界」から「賃金も物価も緩やかに上がる世界」を目指すことと主張されているわけだ。

しかし、物価が上がれば賃金も上がるという前提は、楽観的過ぎるのではないか。

(出所:ロイター)