Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

【気候変動】海面上昇の危機、誰がPDCAを回して脱炭素目標をマネージするのか

 

 南極大陸の南極西部にある地球上でも最大規模のスウェイツ氷河が、今後数年間で急速に崩壊する可能性があるといいます。その氷河の大きさはフロリダ州を上回るといいます。これがほんとうに崩落すれば、急激な海面上昇を引き起こす恐れがあるとそうです。

南極の「ドゥームズデー氷河」、崩壊なら数メートルの海面上昇も 「爪の先で」持ちこたえている状況と研究者(1/2) - CNN.co.jp

 CNNによれば、学術誌「ネイチャー・ジオサイエンス」に掲載されたその論文には「地球温暖化に伴い、スウェイツ氷河の海面下の基部が減退し、このまま融解が進めば、数メートルの海面上昇を引き起こす可能性がある」とあるといいます。

 これが地球温暖化の現実で、そう遠くない未来に起こり得ることとして認識しなければならないことなのでしょうか。

 

 

 カーボンニュートラルは不可避で、脱炭素を可及的速やかに推し進めていかねばなりませんが、国際情勢の大きな変化と異常気象が世界各地で頻発するようになり、その目の前の問題への対処が優先され、脱炭素が頓挫気味になっていないでしょうか。

 再生可能エネルギーの普及拡大は避け得ないものですが、それにも課題はあり、風が吹かなければ風力発電はできず、雨が続けば太陽光の発電量は落ちてしまいます。現実、英国では風力発電の出力不足が起きて、それをきっかけにしてエネルギー価格の高騰が生じたといいます。また、太陽光パネルは中国に大きく依存し、経済安全保障からすればどうなのかという問題を内在させているのでしょう。

脱炭素「移行」推進に工程表を、日本は先導役に 中空氏: 日本経済新聞

 日本経済新聞によれば、投資家たちが、排出量の多い分野の脱炭素化などを進める「トランジション(移行)」に目を向けるようになったといいます。その背景には、ウクライナ危機があるといいます。

十分なエネルギーを確保できなければ、人々の生活や人命にも関わりかねない。排出が多いからといって石炭をなくしてしまって本当によいのかという議論が起きている。(出所:日本経済新聞

 現実、熱波が襲った米国カリフォルニアでは、43.3℃を超えるような猛暑で、家庭や企業のエアコン使用が増え、電力系統に負担がかかり計画停電の瀬戸際に追い込まれてたといいます。

米加州、5日は計画停電を回避-今後リスク高まると当局警告 - Bloomberg

 ブルームバーグによれば、電力の不足分は最大3400メガワットに拡大し、それは複数の大規模発電所の発電量に匹敵するといいます。なんとも恐ろしいことです。

 

 

「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債(仮称)」、政府が新たな国債の発行を計画しているといいます。経済の「移行」が不可避となったということを自認したのでしょうか。しかし、脱炭素は自国一国のみで対応したところで、効果は限定的です。協力の輪を広げ、グローバルな対応が求められているのでしょう。

「石炭火力に依存するアジアでも「移行」のニーズは強いだろうと日本経済新聞は指摘し、移行分野で先行する日本は自国の取り組みを世界に打ち出し、特にアジアをけん引してほしいという。それはそれでよいことだし、是が非でもすするべきなのでしょう。

 そのためにはまずモデルケースに作らなければならないのでしょう。それは、徹底した省エネであったり、カーボンリサイクルをはじめとする高効率なリサイクルに支えられた循環型経済であろうし、場合によっては、経済をスローダウンさせる脱成長の経済モデルなのかもしれません。

 次のマイルストーンは2025年の温室効果ガスは排出46%減。企業だけではなく、政府と協力して進めるのが効率的なのかもしれません。ただ今の政府にその目標の達成に向け、PDCAを回してマネージ、管理する能力はあるのでしょうか。