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【高騰する小麦や大豆】コンテナ不足はなぜ起きるのか、深刻な運賃高騰とその影響

 

 コロナが感染拡大を始めたとき、マスクなどの医療品用品が不足、中国への生産依存を意識し、また、世界の貿易までが無駄なくジャストインタイムで輸送されているのか、知らされた。

 しかし、その事実もどうやら危ういような気がしてならない。

 Business Insiderによれば、米国カリフォルニアの港の外で44隻のコンテナ船が立ち往生しているという。労働力不足、パンデミックによる混乱、ホリデーシーズンの買い付けの急増などが理由のようだ。ロサンゼルス港での船の平均待ち時間は7.6日に増加しているという。

www.businessinsider.jp

 港での混乱もさることながら、この状況で、市場がモノ不足に陥ることはないのだろうか。かつてのマスクのように.....

 記録的な量の貨物が発生しているというが、緊急性のない不要なものを大量に作っているということなのだろうか。それとも入手難でダブル発注して不必要に荷が増えているのだろうか。

 

 

「上海からシカゴまでの輸送日数が、35日から73日へと2倍以上になった」

業界の専門家は、船舶の輸送能力が正常化するのは、多くの新造船が就航する2023年以降になると予想している。 (出所:Business Insider)

 こうした状況を改善しようと、新造船の発注競争が加熱している。しかし、多くの船が旧式のエンジン技術を採用していると東洋経済オンラインが伝える。

toyokeizai.net

 パンデミック当初、世界の活動が止まり、つかの間、地球の浄化が進んだが、またもとに戻るというよりは、さらに悪化しているようにも感じてしまう。

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  国内では、商船三井が、2030年までにLNG燃料船約90隻の導入を計画しているという。従来の重油に比べ、運航時のCO2排出量を25%ほど削減できるというが、まだ多くのGHG温室効果ガスの排出が続く。このような状況を続けてままでよいのだろうか。

 

 

 コロナ渦からの経済回復で商品が増えれば、それはそれで景気を好転させていくにはいいことなのかもしれない。しかし、コロナ以前よりモノがあふれるかえることはほんとうによいことなのだろうか。

 国内では大豆や小麦が高騰しているという。

 NHKによれば、国産品の大豆は大雨による天候不順、輸入品は中国の輸入の増加やバイオ燃料としての需要の高まりなどがその主な要因になっているという。大豆を原料とする代替肉の影響もあるのだろうか。

 それに、このコンテナ不足が加わる。物量が活発に動き、運賃が高騰している中国上海⇔米国ロサンゼルス向けにコンテナが集中、日本向けコンテナの確保が難しくなっているという。

「日本がコンテナを『取り負け』『買い負け』していて、日本にコンテナを持ってくるのが難しい状況だ。

およそ30年間、海上輸送に携わっているがこれほどのコンテナ不足は初めてで、サプライチェーンの回し方が変わり、過去の経験が通用しなくなっている。 (出所:NHK

 コンテナの需給の崩れが思わぬところまで波及し、生活に影響する。

 デルタ株の感染拡大で、また景気が水を差されているという。少し荷動きは落ちくのだろうか。

 経済回復をさせること、経済を力強く回すこと、それもスピーディに。それも重要なことかもしれないが、極端なモノ不足が生じない範囲で、もう少しスローな経済回復であってもいいような気がする。モノが滞留したりして目詰まりを起こすほど、ムダなことはないはずである。適正で、効率的な貿易に戻す工夫、全体最適につながるアイデアが求められているのだろう。従来のビジネススキームの見直しの機会なのかもしれない。