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【ファッションとESG投資】ファッションにおける「サスティナビリティ」とは何か

 

 ファッションとESG投資。大量消費、大量廃棄が問題になり、ESG(E:環境、S:社会、G:ガバナンス)から遠いところにいるのがファッション業界なのだろうか。

 一方、ファーストリテイリング良品計画などグローバルに事業を展開する企業はESG投資に早くから対応し、評価される。

 良いことはひけらかさず美しく、あえて言わず、控えめの方がよい、「隠すことが美徳」、それがこれまでの日本の企業文化だったのだろうか。

 ファッション業界はそうした古い習慣を残しているのだろうか。

 

 

「良いことで儲けている」ことを開示する文化がないと指摘するのは、三菱UFJリサーチ&コンサルティング経営企画部副部長の吉高まり氏、WWD Japanが氏にインタビューし、ESG投資からみたファッション業界の可能性と課題を深掘りする。

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「アパレル業界に対する投資家の目線は厳しくなっています。それは、自然資源の使い捨てのビジネスモデルだからです」と吉高氏はいう。

欧州地域では、これまで大きな自然災害がなかったので、甚大化した自然災害が起こることに対して、危機を感じるようになりました。これは、聖書にある「ノアの箱舟」を連想するからなのかもしれません。(出所:WWD Japan)

 2003年に欧州を襲った熱波がその背景にあったりするのだろうか。1540年以来の記録的な暑さとなり、特にフランスで被害が大きかったという。南ヨーロッパの一部地域では干ばつの影響もあり農作物不足となり、この熱波による死者は7万人を超えるという推定もあるという。これだけの被害にあえば、「ノアの箱舟」を連想することもわかるような気もする。

 

 

 その欧州では、サーキュラーエコノミーへの関心が高く、H&Mアディダスなどは積極的に情報発信する。 

ESG投資家の視点から、ファッションやコスメの存在意義を、ESG投資と関連させてストーリーを考える必要があると思います。そして、大事なのは、それをきちんと発信すること。ファッションやビューティの価値を、経済市場の中でしっかり認識させることが必要です。 (出所:WWD Japan)

dsupplying.hatenablog.com

 国内のファッション業界の中にあって、ファーストリテイリング無印良品を除くと、サスティナビリティを積極的に発信する企業はどこかというとすぐに思い浮かばない。

 そんな状況があるだろうからか、環境省が「サステナブル・ファッション」を推奨し、情報発信する。そればかりか、ファッション業界と意見交換までする。4月21日にも、そうした会がオンラインで開催されたという。

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(画像:環境省

 そのファッション業界が企業連合を設立、環境省も協力し、循環利用による衣服の廃棄ゼロや、2050年までのCO2排出ゼロを目指す取り組みを進めるという。JIJI.COMによれば、夏頃にも「ファッションと環境に関する企業コンソーシアム(仮称)」を設立、再使用やリサイクルを進めるため共同で古着を回収する仕組みをつくるそうだ。この他にも、衣服の生産、販売の過程で出されるCO2を「見える化」する統一的な手法を検討し、国への政策提言も行うという。

newspicks.com

 ユナイテッドアローズのDirectorがこの記事について、NEWSPICKSでコメントを寄せる。

個人的には環境に負荷のかかる事は見直しを必ず図られるべきだと思う一方(特に供給過多) 捨てられない為の付加価値も同時に考えるべきだと思う。
また、労働市場の改善も課題としてあると思っていて、消費者が喜ぶ安くて良いものを作る裏側で行われてる事にもしっかり目を向けるべきだと思っている。 (出所:NEWSPICKS)

 その通りなのだろう。そう思うのであれば、情報発信をしっかりやるべきではなかろうか。マーケティング、広報・広告戦略が今まで通りでいいのだろうか。

 

 

「WWDJAPAN」の編集統括兼サステナビリティ・ディレクターに就任した向 千鶴氏は、「ファッションやビューティのビジネスが人に夢や生きる力を伝え続けられるのか、その逆か。私たちが地球を救うヒーローの一人になるのか、その逆か。時間はもう本当にわずかしかない」と言い、サステナビリティとは、「ファッションとビューティのビジネスが提供する“豊かさ”の根幹となるもの」だと主張する。

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付加価値やガイドラインましてやルールではなく、ビジネスの根幹であり大前提と考える。

豊かさ」を他の言葉に置き換えると、美しさ、自由、個性、ウェルネス、楽しい暮らし、受け継ぐ伝統、夢を叶えるなど事業の数だけ見つかる

その全ての根底にこれからは「サステナビリティ」の考えがあってほしいし、あるべきだと考える。 (出所:WWD Japan)


 気づきは大切だ。何事も遅いということはないのだろう。ただ先行く人たちがいる。遅れがあるなら早急に挽回すべきなのだろう。

 これまで育んできた企業文化を変えることへの挑戦が始まるということでもあるような気がする。