Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

新規事業を始められないのは、勝ちパターンを知らないだけではないか

 

 最大手の直営書店チェーンだった文教堂書店が、経営不振で2019年に事業再生ADRを申請したといいいます。それから2年後の2020年8月期には黒字化を達成したそうです。

書店員が本屋を変える。黒字化は文教堂再生の序章 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

 Forbesによれば、文教堂はまず再生にあたって店舗内の整理整頓から始めたといいます。その第一歩として、何百トンにのぼるゴミを処分したそうです。

 それまでは大量に納入して売れ残れば返品していたそうです。しかし、在庫は積み重なり経営を圧迫し、バックヤードに収まりきらない段ボールが店頭にはみ出して客を遠ざける一因になっていたといいます。

 

 

 また、組織面ではエリアマネジャー制度を導入し、それまで指示待ちになっていた店舗から、現場の声を吸い上げる仕組みを作ったといいます。そうした積み重ねあってのことでしょうか、ここ2年黒字が達成できているといいます。

 何かが行き詰るのは原因あってのことなのでしょう。本業がおろそかになっても、店舗を増やし、勢いに乗れば、資金も得られて、事業の多角化もできたりするのでしょう。ただそうした勢いは長続きしないのかもしれません。

赤字が膨らむクールジャパン

 官民ファンドのクールジャパン機構(海外需要開拓支援機構)の赤字が膨らんでいるそうです。改善が見込めない場合は、統廃合も視野に入れた検討をする方針を財務省が示したといいます。

クールジャパン機構、統廃合の検討も視野 財政審が赤字問題視:朝日新聞デジタル

 国と民間企業からの出資で設立されたクールジャパン機構は、これまでに国から1066億円の出資があったといいます。コロナ渦の影響を受けたインバウンド関連を投資対象にしてきたこともあり、大きな損失が生じたそうです。

 ただそのままにすることなく、抜本見直しを行っては、投資対象を従来のコンテンツ、食、ライフスタイルから、テクノロジー分野にも広げたそうです。しかし、まだ結果が伴っていないようです。機構側は、コロナ後の経済回復にともなって収益は改善するとの見通しを示し、秋までに改善策をまとめる予定といいます。

 しかし、その後も成果が上がらない場合は「組織統廃合を念頭に置いた道筋を整理する」との方針が示されたといいます。

 

 

スタンダード、仕事を標準化することから

 ここ最近になって、新規事業、新たな市場の創出などをしきりに説かれるようになってきました。このままではジリ貧でほんとうに国力が衰退しかねないという危機感の現われなのでしょうか。

新しい市場創造の鍵! 社会を動かす「ルールメイキング」の本質とは | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

市場の創出といえば、新しいテクノロジーによるイノベーションにばかり目が行きがちだが、実はここで重要になるのがルールメイキングだ。理由のひとつは、イノベーションを社会に実装するためにはルール整備が必要ということだろう。(出所:Forbes)

 Forbesの指摘も真かもしれません。しかし、新たなルールを設けて新事業に乗り出せても、文教堂やクールジャパンのように行き詰ってしまったら、元も子もありません。

 これらのことを例にするのなら、失敗を分析し、それをもとに勝ちパターンを標準化すべきなのかもしれません。仕事を標準化するという最も大切なことが軽んじられていないでしょうか。まずはそれをスタンダードとして、横に展開していくべきのように思えてなりません。

 イノベーションに、ルール作りとは聞こえはいいですが、必勝パターンなくして、新規事業に挑戦しても、どこかで頓挫するのがおちではないでしょうか。

 

「参考文書」

クールジャパン機構は統廃合も念頭に、累積損失309億円-財務省 - Bloomberg

投資計画等の進捗状況(経済産業省、株式会社海外需要開拓支援機構)