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独の国際モータショーはEVで活況だが、EUの脱炭素に遅れか

 

 独BMWミュンヘンモーターショー「IAA MOBILITY 2021」で、新型EV電気自動車「i ビジョン サーキュラー(Vision Circular)」を公開した。

  i ビジョン サーキュラーは、プレミアムモビリティ分野で世界で最も持続可能なメーカーになるというBMWグループの野心的な計画を象徴しているという。

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(写真:BMW

 BMW i ビジョンサーキュラーの重要な目標のひとつは、リサイクルされたマテリアルの100%使用、100%リサイクル性を実現する車両を作成することだったという。

The BMW i Vision Circular.

 このコンセプトカーには、全固体電池が採用され、この電池もまた100%リサイクル可能であり、クローズド・リサイクルループにて供給された材料を使用して製造されると、その特徴を説明する。そして、資源の使用を大幅に減らし、高いエネルギー密度を実現したという。

 

 

EVで活況を呈すミュンヘンモーターショー

 また、BMWは、このi ビジョンサーキュラーを公開したミュンヘンモーターショーで、SUV多目的スポーツ車の「X5」をベースにしたFCV燃料電池車も公開したという。

独BMWが新型FCV、トヨタと開発の電池システム: 日本経済新聞

 日本経済新聞によれば、水素を燃料とする燃料電池システムはトヨタと共同開発し、2022年から小規模な量産を始めるそうだ。

 また、BMWは気候変動対策のためには電動化だけではなく、製品の資源採掘から廃車までの「ライフサイクル」で、二酸化炭素の削減する目的で、「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」を訴えているそうだ。2030年に自動車のライフサイクルでのCO2排出量を1台あたりで2019年比で4割削減する計画という。

 このモーターショーには中国メーカも参加、EVを展示しているという。

 中国の自動車大手、長城汽車が小型EV「欧拉(ORA)」を欧州で販売を始めると発表、2021年内に予約販売を始め、25年には欧州で10車種以上の販売を目指すそうだ。環境意識が高い欧州市場をEVで開拓するそうだ。

長城汽車、小型EVを欧州に投入 25年に10車種以上へ: 日本経済新聞

 長城汽車のブースにはフォルクスワーゲンVW)など地元勢に引けを取らない人が集まり、日本の完成車メーカーが一社も出展していないなかで中国勢の存在感が目立つ形となったと、日本経済新聞が現地の様子を伝える。

 

 

遅れているのか欧州の温室効果ガス削減

 カーボンニュートラルに向け着々と準備を進める欧州との印象がある。しかし、一方で、2030年までに温室効果ガスを55%削減するしたEUの目標が、2051年にしか到達しないという研究の結果があるという。

Europe to miss 2030 climate goal by 21 years at current pace - study | Reuters

 再生可能エネルギーの導入についても同様な結果のようだ。2030年に40%にするという目標が、2043年にずれ込むと予想されている。

 野心的な目標にも、現実な実行計画が必要ということなのだろうか。2030年まであと9年あまり、現実どこまで到達できるのだろうか。後2~3年もすれば、その進捗状況も見えてくるのだろうか。

 EVシフト、どこまで充電設備が整い、EVのシェアはどこまで向上しているだろうか。もし仮に遅れるがあったなら、その遅れを挽回するための施策が実行されるのだろうか、それとも別な手段が講じられることはあるのだろうか。

 再生可能エネルギーの導入が遅れているなら、HVハイブリッド車が再び遡上したり、e-fuel合成燃料やバイオ燃料の活用などがあったりしないのだろうか。