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米国は衰退していないか、中国製に挑戦する米国製ドローン

 

「ドローンが新たな進化を遂げようとしている」。

 米国の防衛装備品を手掛けるスタートアップ「シールドAI」を日経ビジネスが紹介する。人の手も借りることなくドローンを飛ばすソフトウエアを設計しているそうだ。

自律するドローン、米国の競争力再び:日経ビジネス電子版

同社のソフト「ハイブマインド」は「全地球測位システムGPS)を使わず、コミュニケーションすることもなくドローンを建物内に侵入させることができる。敵の通信妨害を気にする必要がない。よって、兵士に先んじて建物の中をくまなく調べられる」。(出所:日経ビジネス

 ドローンは、空飛ぶカメラから空飛ぶコンピューターに変わるという。

「キーワードは自律、ネットワーク化、アルゴリズム、バッテリー。機能向上の肝はソフトが握る」という。

 その上で、「米国企業が、中国など他国の企業より競争力を高める可能性が高い」そうだ。ほんとうにそうなのだろうか。

 

 

「充電ステーションから飛び立ったドローンが、普通の従業員と同じようにルーティンの仕事や検査をこなし、ビジネス用チャット「スラック」のチャンネルにデータを送るようになる.....」

 日経ビジネスによれば、「シールドAI」のCEOマイヤー氏は、ドローンは遠からず自律飛行できるようになると予想しているという。

今、何十という企業がドローンの利用法を一変させようとしている。

思い通りに空を飛ばすことができる全自動カメラから自律飛行するコンピューターへと変身させるべくしのぎを削る。これらのドローンは編隊を組み、データをクラウドに直接伝送することができる。シールドAIはこうした企業の一社にすぎない。(出所:日経ビジネス

ドローンの設計や電池の寿命は飛躍的な進歩を遂げた。だが、真のイノベーションが起きるのはハードウエアではなくコンピューター能力においてだ」。

「シールドAI」は、ハードからソフトへの焦点のシフトは、中国など外国の企業より米国企業に有利に働く可能性が高いとみているという。

 中国はこれまで、ドローンの製造で市場を独占してきたが、「我々が今日目にしているドローンの能力は、ソフトによって解き放たれようとしている能力の氷山の一角にすぎない」と述べているという。

 

 

 記事が紹介するドローンのソフトウエアの取り組みは米国に限ったことなのだろうか。

 日本でも、軍時は別として農業などにおいては同様な取り組みもあるだろうし、中国も何もハードだけに拘り、ソフトをないがしろにしているわけではないだろう。米国と同じことを考え、技術開発を進めているかもしれない。

米中のデータ覇権争い、ドローンのDJIが焦点-米市場の50%強握る - Bloomberg

 ブルームバーグによれば、中国ドローン最大手のDJIは昨年、新たに教育部門をスタートさせ、わずか240ドルの小型ドローンや、学校の教師が若い学生に基本的なコーディングを指導する際に役立つソフトウエアを提供しているという。また、空中に最長46分間とどまることができるデバイスや「1時間で40エーカー(約16ヘクタール)をカバーできる」農業用の散布装置もあるという。

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 日経ビジネスによれば、米国のドローンの数は爆発的に伸び、15年の1万2000台から20年には50万台近くに拡大したという。米連邦航空局(FAA)は、この業界は「転換点に達したようだ。力強い成長を示している」と述べたという。

 そして、この市場を牛耳っているのもまた中国DJIだ。実に米ドローン市場の50%余りを握り、消費者を対象とした350-2000ドルの無人航空機の約95%を販売しているそうだ。

「DJIのドローンに代替となり得る製品が少ないことは、地方の警察にとっては懸念材料で、ほとんどの米国製商用ドローンはDJI製より最大30%高く、機能も少ない」と、ブルームバーグは指摘する。

 ソフトウエアの技術だけで中国製ドローンを駆逐できるのだろうか。安価にするために中国で製造するようではやぶへびだ。中国製の部品や素材を使わずにドローンを米国で製造できるのだろうか。

 日経ビジネスの記事を読むと、米国が衰退してはいないだろうかと危惧する。ただの杞憂であればいいのだが。