コロナ渦が始まった当初は、マスクや消毒用のアルコールなど様々なモノが品薄となり、様々な業界が自分たちの強みを活かしては品不足解消に努めた。飲食業界でも、テイクアウトやフードデリバリー、フードトラックに力を入れたり、早々に居酒屋業種に見切りをつけ、から揚げ専門店に進出する企業もあった。危機が起これば、変化が起き、時として価値観にも変化が生じるのだろう。
今もまたコロナ渦ならぬロシア禍で、その対応に迫れている業界が多いのではなかろうか。
見直される米の価値、米粉の活用進む
小麦の輸入価格が高騰し、国産米粉に注目が集まるようになったという。まだ米粉価格は120~390円と、業務用小麦粉の価格110円より高いが、知恵と工夫で小麦粉代替としての活用もあるようだ。ただ、米粉には小麦粉に含まれるタンパク質のグルテンがなくパン加工が難しいといった特性があるという。逆に「グルテンフリー」をアピールして、ニーズを発掘してもいいのではなかろうか。現実に、米の強みを生かした提案が広がっていると日本農業新聞はいう。
小麦高騰で米粉出番 もちもち食感、健康志向…「代替以上」の価値提案 / 日本農業新聞
米粉の製粉量が国内最大級の波里(栃木県佐野市)によると、これまで小麦粉を使っていた企業が、米粉で商品開発を進める動きが出ている。ケーキなど薄力粉を使う食品は、しっとりした食感が出て米粉に優位性があるとみる。(出所:日本農業新聞)
この他にも、大手製パン企業は食パンに一部米粉を加えているという。別の企業の担当者は「米粉を2割ほど混ぜると小麦パンらしさを失わずに、程よいもっちり感が出せる」と説明するそうだ。米粉需要が増え、価格が低下していけば、さらにメリットが出てくるのかもしれない。
石油元売りの脱石油
エネルギー業界においても同様なのであろう。脱炭素にウクライナ危機によるエネルギー価格の高騰が加わっている。早急に脱化石燃料を進めていかなければならないのだろう。
石油元売り最大手のENEOSホールディングスが活発だ。石油元売りが脱石油という脱皮をしているかのようだ。石油にこだわらず、エネルギーに関係する企業と定義すれば、やらなければならないことは山ほどあるのだろう。
ENEOSHD会長 「このままで生きていけるのか」: 日本経済新聞
JSRから自動車タイヤ用の合成ゴムを含むエラストマー事業を、米ゴールドマン・サックスなどから再生可能エネルギー新興のジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE、東京・港)の買収を決めたほか、グリーン水素やアンモニアの製造・運搬にも着手。石油化学品の高付加価値化や次世代型エネルギーの供給も手掛けている。
天然資源に依存した事業構造は徐々に変わりつつある。(出所:日本経済新聞)
この他にも三菱商事と共同で、SAF再生航空燃料を生産する検討に入り、また、ホンダやヤマハ発動機など二輪大手4社と、電動バイクの交換式バッテリーを給油所などで交換できるサービスを2022年秋にも始めると発表した。
これまでの弱点といわれた航続距離の短さが、街中で電池を交換できれば、解消され、充電量が減っても安心して乗り続けられることができる。ホンダは共通規格の電池を農機や除雪機などにも活用するそうだ。
禍、危機をばねにしていかねばならないのだろう。これをチャンスに変えることができれば、日本の底にあげになっていくのだろう。
日本経済新聞によれば、ENEOSHD執行役員の矢崎靖典氏は「充電する仕組み自体をビジネスとして育てて海外でも展開したい」と話したそうだ。
「参考文書」
給油所で電動バイクの電池交換 ENEOSやホンダなど新会社: 日本経済新聞