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物流クライシスに挑むヤマト、カイゼンを進めるとDXが進むのか

 

  GWが近づいてきました。今年は久々の行動制限なし。そんな話を聞くと、コロナ渦もようやく終わりに近づいてきたと感じてしまいます。そうはいっても、いつものごとく油断は禁物なのでしょうが。

 落ち込んだ消費を喚起しようとあの手この手と次々と様々な施策が国や企業を問わず繰り出されます。

 その一方で、足下では値上げラッシュで様々な物品が値上がりしています。また、ウクライナ危機で資源や食糧の流れが阻害され、高騰ばかりでなく、品不足になる恐れもあるといいます。

 コロナ渦からの出口が見えそうになってきても、まだまだ現実は厳しさがつき纏うのでしょうか。

 

 

 物流クライシスと聞くようになりました。コロナ渦でECサイトの消費がさかんになった影響もあるといわれます。宅配便の数量は2022年3月期では約22.5億個までに拡大したといいます。これに人手不足が加われば、ラストワンマイルの改善は避けて通れないのでしょう。ドローン配送や自動配送ロボットなどの実証実験もさかんに行われています。

まちのインフラロボット、社会実装へ | 未来コトハジメ

 そういえども、物流はラストワンマイルだけで成立しているわけではありません。物品を生産工場から倉庫や販売店に運び、ECを利用されればその商品を顧客のもとに宅配便で配送していきます。

 宅配便業界一位のヤマト運輸は、その物流の核となる「物流ターミナル」の現場改革を泥臭く進めているというます。IE インダストリアルエンジニアリングとテクノロジーを融合させ、効率化、いわゆるカイゼンを進め、オペレーションの標準化を進めているそうです。

 IE インダストリアルエンジニアリングとは、工程や作業内容を科学的に分析し、最善の生産管理方法を追求する手法といわれ、トヨタの生産方式の原形ともいわれます。

 このヤマト運輸の取り組みを日経ビジネスが紹介しています。

ヤマト運輸×パナソニック コネクト IE(インダストリアルエンジニアリング)で物流ターミナルのオペレーション改革に挑む ヤマト運輸が改革パートナーにパナソニックを選択した理由 - 日経ビジネス電子版 SPECIAL

現場を見える化し科学的に分析を行い、作業の細分化、標準化を実施し標準工数を設定する。こうした組立製造の標準化プロセスは、物流ターミナルでも活用が可能です。標準化していく中で、自動化か、人的運用かを見極めます。また、別のラインや他の物流ターミナルと標準工数を比較し、工数の最適化に向けた要因分析を行い、全体の工数カイゼンにつなげます。さらに、現場を見える化しPL(損益計算書)管理やBS(貸借対照表)管理につなげていくことが大切です。(出所:日経ビジネス

 

 

 原点に立ち返り、基本的なことを繰り返すことで、企業の競争力が強化されるのかもしれません。

 ヤマト運輸は、このプロジェクトのパートナーにパナソニックを選定して、「パナソニックのコストに対する厳しさは非常に勉強になりました」といいます。

新商品の価格から割り出した原価の中でオペレーションを貫徹するというロジックは、これまでの我々にはなかった視点です。物流ターミナルの作業を分解し、工程ごとの適正コストを算出し、そのコスト内に抑えるためにどうオペレーションを改革するか。この視点は、これからの当社には必要な視点になると思います。(出所:日経ビジネス

  ついつい目新しいことに目が奪われ、あれこれと手を出すことはかえって混乱のもとだったりします。現状をありのまま、しっかり科学的に分析してみる。そこから改善を始めることで、効率化が進むのかもしれません。そして、忘れてはならないのが標準化と水平展開。この実行にデジタル化が伴えば、もしかしたらそこからDX デジタルトランスフォーメーションが始まり、新しいテクノロジーの導入もより容易くなるのかもしれません。

 

「参考文書」

名ばかりDX、逆効果 アナログ風土の見直し遅れ: 日本経済新聞