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【脱炭素と脱ロシア】気候変動対策にも、エネルギーの安全保障にも求められること

 

 ロシアに科された経済制裁の効果はまだ現れていないのだろうか。ロシアは未だに強硬姿勢のままのようである。

 ロイターによれば、ロシアが、ウクライナ南東部のマリウポリウクライナ軍に武器を捨てるよう要求したという。

ロシアがマリウポリに降伏要求、ウクライナは拒否 | ロイター

 これに対し、ウクライナ側は降伏はあり得ないと一蹴したという。まだまだ危機は去らずに、戦争が続くことになるのだろうか。

 

 

求められる石油消費抑制策

 IEA 国際エネルギー機関が、石油供給減対策として10項目の消費抑制策を提言したとしたという。ロシアへの制裁に対しての影響を緩和させる方策というところであろうか。

IEA、石油消費抑制へ提言 道路制限速度下げなど10項目 | ロイター

石油需要の大半は輸送分野が占めるとし、道路の制限速度を下げる、「ノー自動車デー」の制定、在宅勤務の推進、公共交通機関の運賃引き下げなどを提案。これらの措置で、4カ月以内に1日当たりの需要を270万バレル減らすことができるとしている。(出所:ロイター)

 石油消費抑制措置はエネルギー安全保障のみならず気候変動への取り組みとしても重要とし、加盟国政府に恒久的な措置にするよう呼び掛けているそうだ。

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加速するのか国産エネルギー

 産経新聞によれば、経済産業省が洋上風力発電の事業者を公募する際の審査基準を見直す方針を発表したという。

洋上風力の早期稼働重視 ウクライナ危機で見直し - 産経ニュース

 ウクライナ危機を受け、国産エネルギーの導入を加速する必要があると判断し、早期に稼働できることを重視する方向で検討する。(出所:産経新聞

 記事によると、昨年12月に発表となった秋田県や千葉県沖の3区域の洋上風力発電の公募結果は、売電価格が他の事業者よりも安い三菱商事を中心とする事業体が全勝し、より早期に稼働できるとした他の事業者が落選したという。この時勢にあっては、致し方ないのかもしれない。ただコスト低減計画も同時に評価項目にあげておく必要はあるのだろう。

 

 

パラダイムシフト

 この戦争によってパラダイムシフトが始まるのだろうか。

 石灰各国がエネルギーの安全保障の見地から、脱ロシアを進めていくことになるのだろう。それはいわば脱石油であり、脱天然ガスということになるのだろう。気候変動対策と共通な要素だ。

 再生可能エネルギーを可能な限り拡大させ、EVシフトを進めていく。さらに脱プラを進め、可能な限りリサイクルを推進し、極力石油依存を低減していく。そればかりでなく、カーボンリサイクルも加速させ、天然ガスや航空ジェット燃料の代替を進めることも求められる。

 遅々としていたこうしたアクションも、今ある危機下において加速していくことになっていくのだろうか。

 こうした気候変動対策を進めていくことはロシアにとってはあまり愉快なことではなかったのかもしれない。脱化石燃料、脱石油を進めることは、「脱ロシア」を意味する。何か勘違いがあったりしたのだろうか。ただ、いずれにせよ、その道は避け得なかったはずだ。

 この戦争を通してはっきりしたことは、脱化石燃料を粛々と進めていかなければならないということではなかろうか。それは脱炭素につながり、また脱ロシアにもなっていく。

 

「参考文書」

ロシア産品代替調達検討、希少金属やエネ 経産省新組織: 日本経済新聞

焦点:ウクライナ侵攻で逆風一転、欧州最大級ガス田が増産機運 | ロイター