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【米中覇権争い】半導体規制、中国に流出していく半導体技術者たち

 

 米国が中国の半導体関連企業への規制を強化しています。

 BIS 米国商務省産業安全保障局が、中国半導体メーカーのYMTC 長江存儲科技など中国と日本に拠点を置く中国の36の事業体を輸出管理規則上のEL エンティティー・リスト(取引制限リスト)に追加したと発表しました。日本拠点はYMTCの日本法人で、他はの在中国の企業になっているそうです。

米商務省、中国のAI半導体関連企業などを輸出管理対象に追加(中国、日本、米国) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ

 その理由は主に、中国軍の現代化への支援によるものとされ、その阻止が狙いと祝われます。

「EL エンティティー・リスト」とは、米国政府が「米国の国家安全保障または外交政策上の利益に反する行為に携わっている、またはその恐れがある」と判断した団体や個人を掲載したリストで、それらに米国製品(物品、ソフトウエア、技術)を輸出・再輸出・みなし輸出などを行う場合には、BISの事前許可が必要となるといいます。

 

 

米中の覇権争いと半導体

 米国は中国の台頭を恐れ、AI 人工知能や5Gで米国を凌ぐようになれば、国家安全保障の脅威になるとみているようです。

 中国の軍事力強化を阻止するには、両技術に欠かせない先端半導体の製造できなくする必要があり、またそれがパワーバランスの変更の抑止につなげる狙いもあるといいます。

米国が中国の先端半導体導入を徹底阻止、背景に軍事的パワーバランス | 日経クロステック(xTECH)

 記事によれば、YMTCについては、NAND型フラッシュメモリーを手掛けており、コストが優位性が高く、品質も優れることから、米アップルの中国市場向けiPhoneでの採用が進んでいたそうです。しかし、米連邦議員が米国の安全保障にもたらすリスクを分析・検証するよう求めるなどの動きもあり、採用凍結になったといいます。

 民生品への影響もさけられないということなのでしょうか。

 きな臭いことは好ましいことではありませんが、これもまた現実なのでしょう。状況が好転するまで米国は規制を強め、中国はそれに対抗しようとするのでしょう。

中国半導体メーカに転職する技術者たち

 日本人半導体技術者の中国企業への転職が相次いでいるといいます。特に、パワー半導体業界で顕著のようです。

 役職定年や定年が見えてきた50代以降のベテラン技術者が、多額の給与と豊富な研究開発資金などから転職する例が後を絶たないそうです。

パワー半導体産業の強化を急げ、このままではロジックの二の舞い | 日経クロステック(xTECH)

パワー半導体やパワー半導体関連の材料などを研究する日本の大学に留学した中国人留学生も、卒業後、中国企業に次々と就職するという。「かつては日本企業に就職する場合がほとんどだった。だが、報酬の面や福利厚生、仕事の裁量などの面で中国企業は日本企業を上回るので、彼らが中国企業に就職するのは仕方ないと思う」と、ある大学教授は肩を落とす。(出所:日経クロステック)

 

 

 一方で、パワー半導体でも中国企業の台頭が顕著で、ELに記載されている華為技術(ファーウェイ)も、パワー半導体分野の研究開発に力を注いでいるといいます。また、中国ではこうしたパワー半導体に、多額の公的な予算も付いているといいます。

敵に塩を送りながら、増税して防衛費増額する矛盾

 他方、政府は、防衛力の抜本的な強化のため防衛3文書を閣議決定し、増税してまで大幅に防衛費を増額する方針だといいます。戦後の安保政策の転換につながる歴史的な決定で、その背景には、同盟国の能力向上を急ぐ米国の「変心」があるそうです。

防衛力強化促した米国の変心 「統合抑止」で反撃能力容認: 日本経済新聞

防衛費の大幅な増額は「対米公約」(出所:日本経済新聞

 バイデン米大統領は、こうした日本の動きを「平和と繁栄への日本の貢献を歓迎する」と称賛したといいます。

 遠く離れ中国と国境を接する国にそう求めるのは筋なことなのかもしれません。しかし、それに従って猛進するようでは損な役回りではないでしょうか。

 

 

 敵に塩を送りながら、米国にいい顔するのはどうなのでしょうか。

 それとも戦国武将上杉謙信気取りで「長期的な利や理」を求めているつもりなのでしょうか。

 それでいて国民負担を求めるようでは矛盾があるのでしょう。思考が停止しているのかもしれません。課題と優先順位が整理されていないのでしょう。これではいつまでも日本が復活することはあり得ません。