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【脱炭素と経済の両立】冬が心配になる世界のエネルギー不足、インドでも石炭不足懸念か

 

 みんな電力が10月、自社所有の発電所として3つの水上太陽光発電所の開発に着工した。2022年2月から運転を始め、これら発電所にて発電された電力は、みんな電力を小売電気事業者としたコーポレートPPAとして、供給されるそうだ。

地域や自然と共生する、水上太陽光発電所に着工 / NEWS / みんな電力 世界の電力に、選べる自由と楽しさを。

 みんな電力によれば、地域や生物と共生する発電所にするという。

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(写真:みんな電力)

 生態系や周辺環境に配慮した開発を心がけ、特に「百丁場池太陽光発電所」では、施工事業者やコーポレートPPA事業の需要家であるアミタ株式会社と連携し、水面積使用率を約30%に限定することで、水面への離着水に長い滑走距離を必要とするカモ類(キンクロハジロホシハジロなど)やカイツブリ類への影響を最小限にします。さらに、ため池を生息地とする水鳥が安住できる環境づくりを目指し、太陽光パネル群をハスなどの植物群落の代替環境となるよう設置し、その随所に水中ステップやスロープを設けることでパネルに飛び乗ることが難しい鳥類にも配慮します。 (出所:みんな電力)

 こうした環境に配慮した再エネ発電所が増えればいいのだろう。

 

 

 世界各地でエネルギー不足が生じている。欧米で天然ガスの価格が驚くほどに高騰し、石炭の国際価格も上昇しているといわれる。

パンデミックに起因する経済の落ち込みとエネルギー価格低迷、さらにそれ以前の米中貿易摩擦を受け、2019年から20年にかけてエネルギーセクターの投資はずっと抑制されたままだったとロイターが指摘する。

コラム:世界的エネルギー不足、需要急拡大に追いつけない生産 | ロイター

 未曽有の急激な景気回復を経て、世界の工業生産と貿易はパンデミック前の水準までほぼ回復しているそうだ。これに合わせるように、世界のエネルギー消費も長期的なトレンドに近い水準で推移しはじめているという。

世界経済の大部分は需給ギャップがほぼゼロの状態にある以上、エネルギーシステムはじりじりと増える需要に応じるのに四苦八苦し、結果的に価格上昇が加速しつつある。 (出所:ロイター)

  この問題の解消までには長い時間が要するということなのだろうか。

 そのエネルギー不安を抱えたままで、北半球に冬が到来しそうだ。冬が寒ければ寒いほどに、エネルギー消費はさらに増加する。昨冬、国内で天然ガス不足により電力需給が厳しくなり、電力の市場価格が高騰した。そのときも例年より寒かったことが引き金だった。その危機が再来しないかと心配になる。あの時はその価格高騰で、新電力の数社が経営破綻に追い込まれた。

 

 

 石炭価格も世界的に上昇している。その影響で、インドで電力不足が生じるのではないかと、懸念が高まっているという。

 日本経済新聞によれば、インドに135ある火力発電所の半数以上で石炭在庫が3日分をきったという。発電所全体では1日時点の石炭在庫は平均4日分と、8月初めの同13日分から大きく減少しているそうだ。そのインドでは石炭火力発電の割合が約7割になっているという。

インドで電力逼迫 火力発電所の半数、石炭在庫3日未満: 日本経済新聞

 インドもまた経済再開によってエネルギーの需要が急増したという。

 足下、在庫を確保しようとすれば、スポット(現物)市場で調達するしかないのだろうか。こうしたことが繰り返されれば、エネルギー価格の高騰の呼び水になる。

  経済が回復、成長すれば、それに比例するようにエネルギーも必要になる。そこに「脱炭素」という課題が加わる。安易に化石燃料の発掘開発を進める訳にはもういかない。もう過去に戻ってはならない。グリーンリカバリー、ビルドバックベター、そんな言葉が語られている。目先の利益という誘因を抑え、その使命を果たすことはできるのだろうか。みんな電力のような自然環境に配慮した再生可能エネルギーの開発が求められている。