Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

スマートロボットの導入で国内の生産性の問題は解決するのだろうか

 

 ソフトバンクグループのビジョン・ファンドが主導し、レストランなどで使用される配膳ロボットを手掛ける中国のキーンオンロボティクスが、2億ドル(約220億円)を調達したという。

ソフトバンクG、中国配膳ロボット会社に追加出資-220億円調達主導 - Bloomberg

 ブルームバーグによれば、キーンオンは既に欧米など海外数カ国にも進出しており、今後配膳以外の分野でのサービスロボットの応用を目指しているそうだ。

ソフトバンクワールド2021」で講演した孫正義社長は、キーンオンのロボットが世界で2万台以上販売され、「バイトの人件費よりも安い」と指摘、今後は、ソフトバンクGが日本で販売することになりそうだと述べたという。

 中国当局の規制強化で影響が受けたであろうビジョンファンドの向かう方向のひとつがこれなのだろうか。

 

 

ソフトバンクワールド2021」で、孫社長が「スマボ」と発言したという。「スマボ」とは、スマートロボットのことをいい、自らの造語らしい。

日本の生産性が低い要因のひとつは企業のハイテク技術導入が遅れていることにあるとして「スマボの生産性は人間の3.5倍。労働時間も3倍となり、10倍の競争力を持つことができる。日本に1億台導入すれば、労働人口10億人の国に生まれ変わる」と力説した。 (出所:ロイター)

日本経済復活の鍵は「スマボ」、労働人口10億人分に=孫SBG会長 | ロイター

 従来のロボットをガラケーに対比させて「ガラボ」と名付け、事前に下した命令の通りに動くだけである一方、「スマボ」はAIで学習することで臨機応変な対応が可能になると説明したという。

 ソフトバンクGは、人型ロボット「ペッパー」を開発して事業化したが、その生産を止め、スマートロボットに投資に集中する姿勢を強めるという。

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(写真:パナソニック

 有楽町マルイで8月24日から9月5日まで、パナソニックの自律移動ロボット「HOSPI Signage(ホスピーサイネージ)」による案内サービスの実証実験が行われたという。

 「HOSPI Signage」は、病院への導入実績がある自律搬送ロボット「HOSPI(ホスピー)」の胴体3面に液晶ディスプレイを搭載したもので、案内・情報を表示しながら自律移動する広告機能を備えているという。

「自律搬送ロボット HOSPI(R)」の新モデル受注開始 | プレスリリース | Panasonic Newsroom Japan

 お客の要望に応じて、1階のエレベーターホールまで先導案内を行うという。ロボットが案内することで、人員の有効活用につながるそうだ。

 パナソニックはこの「HOSPI」を病院向けとして2013年10月から販売開始しているということなのだろうか。

 

 

 孫社長の話に、別段目新しさを感じなかった。そんなものに、わざわざ海外メーカに投資する価値はあるのだろうか、少しばかり違和感をおぼえた。

 国内の生産性改善の問題はもっと根が深いのではなかろうか。

 日本経済新聞によれば、SBGのファンドの役割について「基本的に自らオペレーションするより、各企業の成長を資本家の立場で支援する」と述べたという。

「スマボ」を導入すれば、この生産性問題は解決するのか、疑問を感じる。

 

「参考文書」

ソフトバンクG孫氏、「日本復活の鍵は『スマボ』」: 日本経済新聞