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【ウッドショック、コモディティ高騰】煩わしいグローバル化からシンプルな持続可能な社会へ

 

 2021年1 - 3月のGDP国内総生産の速報値を内閣府が発表、実質で前期比1.3%減、年率換算で5.1%減になったという。マイナス成長は3四半期ぶり。21年4 - 6月期も2期連続でマイナス成長に陥る可能性があるそうだ。

 米国の1 - 3月期のGDP速報値は前期比年率6.4%の増加。米国がコロナ渦から脱出したかのように映り、日本の出遅れ感が否めない。

 

 

 そんな中、コモディティ(商品)市場では史上最高値の更新が相次いでいる。

 中国の実需回復に始まり、そこに米国での実需回復が加わり、さらに期待先行も加わったことが今の市況ということであろうか。なかでも木材は「ウッドショック」と呼ばれるほどに急騰している。

 トウシルによれば、低金利を背景にした米国での住宅需要が増加していることに加え、主要生産地で害虫が発生し、生産が減少する懸念があることなどがその理由のようだ。2021年5月6日、史上初の1,600ドルの値をつけたという。 

 そんな中、国産材に注目が集まるというが、輸入材同様価格高騰を招いているという。

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 コモディティばかりでなく、価格高騰は様々なところに広がり始めている。

 NNA ASIAによれば、台湾ではテレビや白物家電が5月以降に値上げされそうだという。その背景には、輸送コストの上昇や、液晶パネルや金属といった原材料の値上がりがあるという。wiredもテレビ価格が昨夏に比べて約30%も上昇したと指摘し、その理由に半導体不足をあげる。

wired.jp

 LIMOは液晶パネルの高騰を伝え、下落を続けていたパネルが昨年5月に30ドル台で底を打ち、今年3月には80ドル近くまで達したという。そればかりでなく、ドライバーやガラス基板も不足と伝える。

世界的な半導体需要の増加で、ファンドリー自体の生産能力が不足しており、工場稼働率はフルに近い状態が続き、増産余地がほとんどない。

ドライバーICは単価が安いためファンドリーが積極的に生産したがらないという問題もあり、ドライバーIC大手の台湾Himaxは生産能力に関して「ファンドリーの生産能力不足で成長が抑制されており、21年に入ってからは組立やテストまで不足が深刻化している」と述べている。 (出所:LIMO)

limo.media

 サプライチェーンボトルネックが川上に近ければ近いほど、その問題解消には時間を要するのかもしれない。

 

 

半導体不足」、かつてのように垂直統合型の生産を続けていたなら、こうした問題は生じなかったのかもしれない。国内半導体産業の復活はあるのだろうか。

「ウッドショック」、 国内林業の再興が期待されているのかもしれない。大量伐採で荒廃した森林が回復していきているというが、木材の自給率は減少し、林業従事者も減少、適切に管理されていない森林も目立つと日経BP総合研究所は指摘する。 

 事情はあったのかもしれないが、どちらも国内生産を諦め、輸入に依存するようになったことで、国内が衰退した。今、国内産業を再興させる理由がある。

project.nikkeibp.co.jp

 米国では、マスク製造に乗り出した小規模メーカーが、在庫の山を抱えて破綻の危機に直面しているとロイターが伝える。それによると、サージカルマスク2億6000万枚、N95が2000万枚、売れ残っているという。中国製の安いマスクが、市場にあふれているためだという。

jp.reuters.com

コロナ禍の間にマスク製造に手を広げた素材メーカー、ショーマット社のジェームズ・ワイナー最高経営責任者(CEO)は「危機の最中には、2度とPPE不足を起こしてはならないとだれもが言っていた。それでも営利目的の企業は、態度を変えていない。卸売業者は相変わらず、価格が最も安い製品を仕入れている」と憤る。 (出所:ロイター)

 コロナ渦でも改まらない理不尽とでもいうべきことであろうか。産業を根本から見直すときなのかもしれない。成長ばかり追い求めるのではなく、真に持続可能な社会を創り出すときということなのだろう。