Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

変わるのか半導体の国際分業 日本復活の期待はあるのか

 

 「半導体の需要が供給を大きく上回って、半導体ファウンドリ市場がさらに成長するとの予想」、「半導体不足はしばらく続く可能性」とGigazineが報じる。

 Gigazineは、市場調査会社TrendForceの情報をもとにしているようだ。

TrendForceは、半導体企業上位10社の売上の合計が2259億ドル(約24兆円)になり、前年同期比でおよそ20%増加すると予想しています。
半導体ファウンドリの生産ラインはほぼ完全稼働している状態で、ハードウェアを注文してから納品されるまでのリードタイムは、記事作成時点で3か月半を超えているという報告もあるとのこと。

半導体の需要が供給量を最大30%上回っているため、ファウンドリや物流がその需要に追いつくには1年以上かかると見ている市場アナリストもおり、半導体不足で混乱が生じるリスクは増しているといえます。 (出所:Gigazine

gigazine.net

 Gigazineによれば、TSMCHuaweiという主要な顧客を失ったが、それでも2021年第1四半期における収益は前年同期比で25%増加するだろうと指摘する。

 

 

 SamsungTSMCに遅れは取っているものの、5nmプロセス・7nmプロセスのチップ製造が可能で、2021年第1四半期の売上は、少なくとも前年同期比で11%増加するという。また、自動車用のチップやIoT製品を製造する台湾UMCは、TSMCSamsungとは直接競合せず、受注量も順調に増加、2021年第1四半期におけるUMCの売上は、前年同期比で14%の増加となるとの予想があるという。

 

大統領によるサプライチェーンの見直し

 米国では、バイデン大統領が、供給不足の半導体や、重要な鉱物の調達網サプライチェーンを見直す大統領令に署名したという。

 共同通信によれば、国内生産の拡大や、日本など同盟国との連携を図り、有事の際にも安定して調達できるよう体制を強化するという。対立する中国への依存度を引き下げ、安全保障上のリスク減少にもつなげるそうだ。

this.kiji.is

 トランプ政権とは異なる形での米中対立ということなのだろうか。それとも、長い目でみれば、関係性は改善方向に進むのだろうか。

 

 

 

 アップル首位奪還

 トランプ時代の米中対立のあおりなのだろうか、Appleが2020年第4四半期のスマートフォン販売台数で世界1位になったという。調査会社Gartnerによると、同期のiPhone販売台数は7990万台だそうだ。

japan.cnet.com

 ファーウェイが米政府の制裁措置により販売台数を大きく減少させ、前年同期比41.1%減の3430万台となったとc/net Japanが伝える。 

 

台湾水不足

 そんな中、台湾が水不足だという。ロイターによれば、台湾中部と南部のダムで貯水率が20%を下回っており、当局が給水制限を強化しているという。少雨に加え、夏季に台風が到来しなったことによるそうだ。

 台湾TSMCなど半導体ファウンドリが給水車の手配を進めているとロイターはいう。

jp.reuters.com

 Gigazineによれば、TSMCの事業拠点がある新竹市に水を供給する宝山代二水庫(Second Baoshan reservoir)の貯水率が、2021年2月25日午前7時の時点で14.35%しかないという。

TSMCが2020年に開始した5nmプロセスでの半導体製造に採用されている技術「EUVリソグラフィ」には、大量の水が必要とのこと。

TSMCは「台湾の水不足による半導体の生産への影響はありません。私たちは将来の需要に備えるために水を購入します」と述べ、3600トンの水を購入しました。(出所:Gigazine)  

gigazine.net

 TSMCファウンドリ市場のシェアの半分以上を占める世界最大の半導体ファウンドAppleQualcommNVIDIAAMDなどの大手チップメーカーを顧客とし、5nmプロセス、7nmプロセスでチップを製造しているとGigazineはいう。

 「台湾のハイテク企業は、以前から慢性的な水不足に悩まされてきたが、米中貿易戦争で域内の生産が拡大したことを受けて、水不足が一段と深刻な問題になっている」とロイターは指摘する。

 

 

変わるのか国際分業のあり方

 米国ばかりでなく、EUTSMCSamsung Electronicsに対し、EU域内に半導体工場の建設を要請しているという。

 「EU域内の多数の自動車メーカーが半導体不足に巻き込まれていることが、ヨーロッパが海外から主要技術を調達することに依存していることを浮き彫りにする形となった。半導体の供給のアジア依存からの脱却に向け、欧州は先端プロセスを利用可能な半導体工場の誘致を検討している。具体的には10nmプロセス未満、最終的には2nmチップまでの対応を模索しており、そうした先端プロセスを用いて5Gワイヤレスシステム、コネクテッドカー、ハイパフォーマンスコンピューティング向けチップの域内での自給自足を図りたい模様だ」 (出所:マイナビニュース)

news.mynavi.jp

 

 半導体の国際分業体制に地殻変動が起きるのだろうか。もう一度半導体王国復活を期待したいが、それは厳しいことなのだろうか。

 

「関連文書」

eetimes.jp