米国石油大手のエクソンモービルとシェブロンが昨年、合併について協議したとブルームバーグが伝える。
今すぐに合併ということではないようだが、新型コロナで石油・ガス需要が落ち込み、両社の財務への負担が増大したのを受けて協議したという。
ブルームバーグによれば、予備的な協議で、将来再開の可能性はあるという。合併実現なら新会社の時価総額が37兆円超になる巨大企業となる。
バイデン政権誕生による方針転換の影響はあるのだろうか。そう言いつつも、世界の石油需要が今すぐに消滅することはないだろう。再生可能エネルギーに積極的に投資できない国もまだ多くあるのだろう。そうした国々のためにとあれば、化石燃料を開発、供給し続けることも、それはそれで理屈があるのかもしれない。
欧州の石油大手が企業が「脱石油」に動く中で、大きな残存者利益があるのかもしれない。
虎視眈々 日本メーカまで物色サムスン
サムスンがM&Aを進めていく方針を発表し、日本の半導体メーカーであるルネサスを含む3社が候補対象となっていることを明らかしたとiPhoneManiaが伝える。
ルネサス以外ではオランダの「NXP」、米国の「Texas Instruments」が候補に上がっているという。
ルネサスは「マイクロコントローラーユニット(MCU)」の分野において他社に先駆けており、市場シェアはオランダNXPに並ぶ(31%)とされています。
MCUは、様々な機能の自動化により昨今自動車に多く搭載されており、需要が伸びているようです。 (出所:iPhoneMania)
かつて半導体メモリーは日本の独壇場だったが、サムスンが後発で参入してきた。やがて日本企業がひとつ、また一つと撤退を始め、今ではサムスンをはじめ韓国メーカばかりがこの市場を独占するようになった。
集中と選択、撤退した日本企業は結局、何かを成し得たのだろうか。
一方で、市場の荒波に堪えたサムスンは長い時間をかけ利益を築き、アフターコロナの市場を狙い、次の施策で、日本企業まで物色しようとしているのか。
利他主義
「会社経営とは~渋沢栄一が残してくれたもの~【怒れるガバナンス】」という、江上剛氏の執筆をJIJI.COMが紹介する。
氏は、コロナ渦で、私たちの社会は壊れてしまったと言っても言い過ぎではないのではないかという。
後の世に、人類の絶望がはっきりしたのが2020年だったと言われているかもしれない。 (出所:JIJI.COM)
「日本の企業経営者に明確な思想がないことに憤りを感じる」と江上氏はいう。
憤りは、現状への問題意識が欧米も日本も同じであるのならば、日本の経営者から、新しいコロナ後の経営思想を発信してもらいたいという強い願望でもあるという。
欧米で新自由主義的株主優先主義経営が流行すればそれに乗り、それが行き詰まったならば、ESG(環境、社会、企業統治)だ、SDGs(持続可能な開発目標)だ、とまた欧米の流行を追う。そして、今度はステークホルダー資本主義や利他主義経営に飛びつく。 (出所:JIJI.COM)
ステークホルダー資本主義にしろ、利他主義にしろ、日本の経営者に昔から根付いていた思想であるという江上氏はいう。さらに、新型コロナが社会的な矛盾を暴露した、このような時代だからこそ、渋沢栄一の利他精神による義利合一の思想、すなわち、「論語と算盤」を一致させる実業道が見直されるべきなのだという。
私は、感染症パンデミックを経験している21年の経営者は、いま一度、立ち止まり、日本の歴史、過去の経営者たちの思想を学び直し、「温故知新」で、世界に通用する経営思想を打ち出してほしいと願っている。
それは、何のために会社経営をしているのかということを自らに問い直すことから始めてもらいたい。 (出所:JIJI.COM)
江上氏は、「GDPで中国を打ち負かすより、世界中の人々、特に弱者から本当に必要な会社であると認知される方が、素晴らしいことではないだろうか」という言葉で結ぶ。
コロナが襲い掛かってきて、脆弱な社会が露呈したということに間違いはないのだろう。
江上氏が指摘する「非正規で働く女性労働者の失業者が増え、絶望した女性たちの自殺の増加が目立つ。今まで、女性の自殺は男性に比べ少なかっただけに、異常な事態だ」との言葉に深い憂慮を感じる。今まで作り上げてきた社会のままでよいのかとさえ感じる。
昭和期の経営者たちは、「論語」をよく学んでいたと聞く。今の時代にあっては、渋沢が説く「論語と算盤」を学んでみるのがいいのかもしれない。利他主義の神髄を知ることができるのであろう。