ジャストシステムが、「マーケターのSDGsへの取り組みに関する実態調査」の結果を公表した。
SDGsを認知している最も多くのマーケターが、SDGsに取り組んでいると聞いて思い浮かぶ企業に、「トヨタ自動車」を挙げたという。次いで「パナソニック」、「サントリーホールディングス」の順であったという。
SDGsとマーケティング
この調査の担当者は、「SDGsについて、マーケターはどんな風に捉えているのだろう?」 という疑問から調査が始めたという。
ESG投資に再び注目が集まる中、取り組み内容が企業のブランディングにつながったり、消費者が商品を選ぶきっかけになったりと、これからさらに広まっていくのではないかとその担当はいう。
76.1%のマーケターがSDGsに取り組むべきとするも、実態は約3割
ジャストシステムによると、SDGsを認知しているマーケターに、マーケティング施策にSDGsを採り入れるべきと思うかを聞いたところ、「そう思う」と答えた人は32.3%、「やや思う」人は43.8%で、あわせて76.1%が採り入れるべきと考えていることがわかったという。
「マーケティング施策にSDGsを採り入れている」と答えたマーケターは29.9%にとどまりました。
上場企業のマーケターに限ると41.6%、非上場企業では18.7%でした。
また、SDGsをマーケティング施策に採り入れるときの課題との質問には、「費用対効果の明確化」が最も多く、次いで「経営層の理解」、「知見やノウハウ」だったという。
なかなか興味を引く調査結果だ。SDGsをマーケティング施策に取り入れているか否かで、上場、非上場で20%以上の差が生じている。
SDGsと実用主義
SDGs 持続可能な開発目標とは、「貧困に終止符を打ち、地球を保護し、すべての人が平和と豊かさを享受できるようにすることを目指す普遍的な行動を呼びかけている」と、UNDP国連開発計画は説明する。
SDGsは、パートナーシップと実用主義の精神に基づき、いま正しい選択をすることで、将来の世代の暮らしを持続可能な形で改善することを目指します。 (出所:UNDP国連開発計画駐日代表事務所)
SDGsは包摂的なアジェンダとして、貧困の根本的な原因に取り組むとともに、人間と地球の両方にとってプラスとなる変化の実現に向け、私たちを団結させるものともいう。
UNDPは、SDGsは実用主義の精神にもとづいて、今正しい選択をすることを求める。
実用主義とは「プラグマティズム」とも言い、物事の真理を「理論や信念からはなく、行動の結果によって判断しよう」という思想、とテンプナレッジマガジンは説明する。
グローバル化や多様化が進む現在の社会において、自分の価値観や既存の価値観を絶対とはせずに修正を加えながら前進を目指す姿勢は大切です。
このような柔軟性のある開放的な考え方を「プラグマティズム」と言います。
変化する社会に生きるからこそ「過去のものが本当に今も正しいのだろうか」と立ち止まってみましょう、という考え方です。 (出所:テンプナレッジマガジン)
「プラグマティズム」とは、日本語では、「実用主義」の他、「実際主義」「行為主義」ともいう。
悪い意味での「プラグマティズム」ではなく、課題解決にむけたひとつの考え方とすれば、現実の見え方に変化があるのかもしれない。
SDGsとその実例
企業のマーケティング活動も実用主義に則り、考えてみるのがいいのかもしれない。
ナイキやユニリーバのように、現実に、SDGsを上手くビジネスに取り入れている企業もある。ブランディングに上手に取り入れ、気候変動やサーキュラー・エコノミーを消費者に訴求しているのではなかろうか。
ナイキ
ナイキは、「ナイキパーパス」というページでSDGsとの関わりを説明する。
ビジネスの性質と規模を考えると、NikeがSDGsに貢献する可能性が最も高い分野を特定しました。
SDG 3: 健康と福祉
SDG 5: 男女平等
SDG 8: ディーセントワークと経済成長
SDG 12: 責任ある消費と生産
SDG 13: 気候変動対策
SDG 17: 目標のためのパートナーシップ
(出所:ナイキ公式サイト)
ユニリーバ
ユニリーバも、「事業規模を生かしてSDGsの目標に貢献でき、また、SDGsから恩恵を受けることもできます」とSDGs専用ページで説明する。
「サステナビリティを暮らしの”あたりまえ”に」というパーパス(目的・存在意義)の下、環境負荷を減らし、社会をよりよい方向に変えながら企業として成長し続けることを目指しています。 (出所:ユニリーバ公式ページ)
ビジネスを変える。ビジネスのやり方を変える
USLP(ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン)の活動をSDGsの17の目標にマッピングしたところ、SDGsの14の目標には直接的に、残りの3項目には間接的に貢献していることが分かったとユニリーバは説明する。
スターバックス
スタバは、「99キャンペーン」でエシカルを伝えるようだ。
スターバックスは9月7日から9日まで、倫理的な調達について考える「99キャンペーン」を実施するという。
2015年、スターバックスが買い付けるコーヒー豆の99%がフェアトレードの基準に沿って調達されるようになった。それを機に、スタバは、毎年9月に「99キャンペーン」を実施するようになった。
あまり堅苦しく考えなくてもいいのかもしれない。
それよりは会社の存在意義「パーパス」を明確にしたほうがよさそうだ。
「関連文書」
「参考文書」