Space X(スペースX)が新たに19億ドル(約2000億円)の資金を調達したという。
「まだ未公開企業であるSpaceXにとって、さほど驚きに値するものではない」とTechCrunchはいう。
これまでの成功を考えると、巨額の投資を得る絶好の状況になりつつある。年初から資金調達を模索していたようだが、投資家たちからの強い需要を受けて資金調達の規模を拡大したという。
スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ、通称Space Xと呼ぶ。
2002年にテスラのイーロン・マスクにより設立された。ロケット・宇宙船の開発と打ち上げなどの宇宙輸送(商業軌道輸送サービス)をビジネスにする。
2006年、NASAと国際宇宙ステーション ISSへの 物資補給のための打上げ機の設計とデモ飛行を行う商業軌道輸送サービスを契約したという。
2012年には、初めて民間機としてISSとのドッキングに成功、補給物資や実験装置を送り届けた。
2014年には、NASAと有人型ドラゴン宇宙船の開発とデモ飛行を行う商業乗員輸送開発プログラムを契約した。
そして、今年2020年5月、民間企業として史上初となる有人宇宙船を打ち上げ、ISSとのドッキングを成功させた。宇宙飛行士は、ISSに2カ月滞在したのち地球に帰還した。
このミッションの成功は、SpaceXが地球と国際宇宙ステーションの間の輸送サービスを定期的に提供できることを意味する。
そして民間ツーリストや研究者ら向けの商業宇宙フライトサービスの提供にもかなり近づいた。 (出所:TechCrunch)
そればかりではない。TechCrunchによれば、巨大な衛星コンステレーションStarlinkの展開にも取り組んでおり、Starlinkの運用が始まればインターネット接続が難しいエリアに住んでいる人々に商業・家庭用のブロードバンドインターネットサービスを提供するという。
8月18日朝、SpaceXはStarlink衛星58基を打ち上げた。世界中をカバーするという最終目標を達成するにはまだ多くの衛星を打ち上げる必要があるとTechCrunchは指摘する。
アマゾンのジェフベゾス氏が、自身が保有するアマゾンの株式19億ドル相当を売却していたという。
ロイターによれば、ベゾス氏は自身の宇宙開発ベンチャー、Blue Origin(ブルー・オリジン)の資金を賄うために毎年約10億ドル相当のアマゾン株を売却するという。
そのブルー・オリジンが有人月着陸船のフルスケールエンジニアリングプロトタイプをNASAに納入したとTechCrunchが伝える。
ブルー・オリジンは、ロッキード・マーチン、ノースロップ・グラマン、ドレイパーとチームを作り、宇宙開発を進める。
TechCrunchによれば、ブルーオリジンが主導する開発チームは、今後もこのモックアップの具体化を続けながら開発を進め、2024年までに月への着陸を目指すという。初の米国人女性を月面に着陸させるという野心的な目標も持ち合わせているという。
ジェフ・ベゾス氏は、2019年の講演で「地球を守るためには、人は地球に住んでも、重工業は月など宇宙に移る必要がある」と語ったという。
地球と月などとの移動を格安に商用化し、その上で産業の広がりを促すという。「ネット小売りのインフラをつくった同氏の視線はさらにその先にあるようだ」と当時の講演の模様を日本経済新聞が伝える。
ブルーオリジンは再利用が可能なロケットをつくっており、ベゾス氏はこれを「商用の飛行機のようなもの」と指摘する。
さらにベゾス氏は「ブルーオリジンを通じた私の使命は(宇宙移動の)インフラをつくることを助けることだ」と述べ、地球を越えた移動が簡便になることで新たな産業が生まれる可能性を示唆した。 (出所:日本経済新聞)
スペースXは、火星探査や移民構想を目標に掲げ、2016年にそのための輸送システムを発表した。
夢物語のような壮大な計画ですら、着々と進めるジェフベゾスやイーロン・マスクには驚かされる。
ユーグレナ社の出雲社長が「コロナ禍から日本を再興するには」というテーマで、日経ビジネスのインタービューに応じた。
「毎年のように「日本再興」をテーマにするが、再興することなく30年の時間が経過、ついに『失われた30年』を迎えた」と日経ビジネスを皮肉ることから出雲社長のインタビューは始まる。
出雲社長は、「ミドリムシで世界を救う」と口にされる。
――何が日本の弱点だと思いますか?
「起業家精神が弱いことと、デジタル化が遅れていることです。残念ながらIMDの調査では日本の『起業家精神』は最下位の63位で、『デジタル技術のスキル』は62位です」 (出所:日本経済新聞)
国内では、「インターステラテクノロジズ」が超小型衛星打ち上げ用の小型液体燃料ロケットを開発している。
7月26日、小型観測ロケット「MOMO(モモ)」7号機の打ち上げが延期された。
国内の民間単独のロケットとして「MOMO」3号機が初めて高度100kmの宇宙空間に到達したのは昨年5月4日のことだった。
それから1年以上の時間が経過したが、19日に続いての延期となったという。
取締役の堀江貴文氏は「定常的に観測ロケットが打ち上がるのはわれわれのビジネス上、非常に意義のあること。連続して打ち上げが成功するようになると商用的、実用的に使えるという評価を受けることになる」と答えていた。(出所: ITmediaビジネスオンライン)
しかし、まだ2度目の宇宙空間には到達していない。
超小型衛星打ち上げ用ロケット「ZERO(ゼロ)」を、早ければ22年末に打ち上げる予定だという。
今のままで実現できるのだろうか。
「大学発のベンチャーが増えれば国際競争力が高まり、日本が復活する」と、ユーグレナの出雲社長はいう。
自身が東大発のベンチャーということもあるのだろうか、起業家を輩出するためのエコシステムの必要性を説く。そのためか、ユーグレナの経営の傍ら投資家として大学発ベンチャーを応援するという。
日経ビジネスのインタービューに答えていた出雲社長は最後に「失われた30年」のことを次の言葉で締めくくった。
日本は30年にわたって、実は失業率を抑えたまま、生産性を高めるという、本来両立しない『いいとこ取り』を目指して失敗してきた。
日本人の総意として失業率を高めてまで、生産性を上げようという意思がそもそもなかったというのがオチなんじゃないですか。(出所:日経ビジネス)
言い当てているのかもしれない。
「この国には世界に冠たる技術があります。資金力もある。あとは、チャレンジを讃えるマインドさえ持てれば、世界を席巻することができるはずです」
との出雲社長の言葉を島津製作所が紹介する。
本気で取り組めば、できないことはないということでもあるのかもしれない。
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