中国のEC電子商取引最大手、アリババグループが、政府方針に従ってのことか、「共同富裕」促進事業に、2025年までに1千億元(約1兆7千億円)を拠出すると明らかにしたという。
共同通信によると、アリババは発展が遅れている地域のデジタル化を推進したり、農業の産業化を支援したりするという。
習近平指導部は大企業や経営幹部に寄付や社会支援事業を通じ、富を再分配するよう求めているという。「共同富裕」は人々が共に豊かになる意味のスローガン。
巨大IT企業への統制が強まる中、アリババは巨額拠出で当局の圧力を緩めたい考えというが、そうなのだろうか。中国当局を擁護する気はさらさらないが、政府方針に従うことは、法令遵守、コンプライアンスからいって不思議なことではない。素直に中国が変化し始めていると受け取った方がよくないだろうか。
スペースXの「スターリンク」が、世界中に高速のブロードバンドインターネットサービスを提供できる低軌道衛星ネットワークの一部として、1万2千個の衛星打ち上げをめざしているという。特に重視しているのが、地上インフラでは到達が難しい僻地へのインターネット接続サービス提供だという。
ロイターによれば、チリでは、不毛の北部砂漠地帯に近い小さな漁港のカレタ・シエラに、2基めのアンテナが設置される予定だという。
この計画は、スペースXが必要としている資金を生み出すための鍵である。
何しろイーロン・マスク氏には、月への顧客を載せた商業飛行、最終的には火星での植民地建設の試みを可能にする新しいロケットの開発という夢があるのだから。 (出所:ロイター)
今まで途切れ途切れの携帯の電波しかなかったチリのその地域では、1年間無料でインターネットを利用できるようになったという。
これがほんとうはビジネスと呼ぶのかもしれない。まず発展途上の地域の課題を解決する。仮に大きな野望があっても、まず地域の課題が解決されるのであれば、それはそれで価値あることといえないだろうか。
従来の経済の論理だけからすれば、大きな需要が見込めるところで販売すべきなのだろう。そうして小さな需要は無視されていく。よく言えば、優先順位なのだろう。ただ、それでいいのだろうか。需要が小さな地域はいつまで経っても様々な恩恵から取り残されてしまう。
アップルのティムクックCEOが4〜6月期の決算説明会で、「この四半期の新興市場は信じられないほど好調だった」と語ったという。インド、ラテンアメリカ、ベトナムなどの国々での販売に勢いが感じられるとし、メキシコ、ブラジル、チリ、トルコ、タイ、マレーシア、カンボジア、インドネシアでは、販売台数の記録を更新したそうだ。
「iPhone SEの次なる展開、開発途上国でアップル躍進の原動力に」とBusiness Insiderは指摘する。
iPhone SEといえば、アイフォンの中では低価格機種。高位機種ばかりを充実させるのではなく、低価格機種を販売したのは何故だろうか。大きな市場を取りに行ったといえばそうなのだろう。
ただ、そこでは今まで利用できなかったものが利用できるようになったという恩恵を享受したのかもしれない。それがビジネスの本質ではなかろうか。
そう思えば、アリババが、発展が遅れている地域のデジタル化を推進するのも当たり前のことだろうし、むしろ遅いくらいなのかもしれない。自主的なものだったのだろうか、それとも当局の指導があってのことだろうか。
ものごとはあまりひねくれてみるものではない。大切なことを見落とすことになりかねない。
「参考文書」