レジ袋が有料化されて1か月以上経つ。コンビニでのレジ袋辞退が7割を超えているという。
ファミリーマートは、辞退率が有料化前の30%から、77%になったと速報値をニュースリリースで公表した。有料化の施策他で、年間で約9,000トンの石油系プラスチックの削減効果になるいう。
日本経済新聞によれば、他のコンビニでも75%程度の辞退率だったようだ。
「有料化で消費者に変化が出てきている」と日本経済新聞はいう。ほんとうにそうなのであろうか。
レジ袋有料化で増えたポイ捨て?
岐阜新聞は、「ごみ袋再利用できず購入...エコ?」との切り口で報道する。
岐阜県内のレジ袋辞退率の高い店舗を紹介、「エコ意識は浸透してきているのでは」と話す岐阜市の弁当店の声を紹介する。
その一方で、「特に多かったのは、レジ袋をごみ袋として再利用しているとの声」という。
「結局ホームセンターや100円ショップでレジ袋と同じものを購入している。お金を出して買うようになっただけで、プラスチック削減にはなっていないのでは」などと、環境への効果を疑問視する声も挙がった。
また、コンビニの利用者からは「外出時に買った物やおしぼりのごみをレジ袋に入れて捨てていたが(マイバッグだと)それができない」という意見や、その影響か「ポイ捨てが増えた気がする」との声も複数あった。 (出所:岐阜新聞)
レジ袋有料化で減ったポイ捨て? = 英国
2015年にレジ袋を有料化した英国では、レジ袋の使用は85%削減されたという。これをさらに進めるため、現在は除外されている小規模小売店でもレジ袋有料化を適用することが計画されているとNewsweekが伝える。
想定外だった結果の1つは、海辺の町でビーチの投棄ゴミの量が著しく減ったと報告されていることだ。
プラスチックが海に行き着くことが周知され、人々はビーチでごみの扱いに以前より気を配るようになった。 (出所:Newsweek)
Newsweekの記事筆者は、レジ袋の有料化が、自分たちの行動を振り返るきっかけにもなったという。
僕たちは毎年何十億枚ものレジ袋を使い、その多くが海に行き着き海洋生物を脅かす。
僕たちは、使用済みペットボトルが新しいペットボトルに生まれ変わってなどいないことを学んだ(浅はかにも僕は長年信じ続けていたのだが)。
僕たちのプラスチックごみは船に乗って地球の反対側へ......現実にはリサイクルなどしていない国や、近年では受け取り拒否を鮮明にしている国へも運ばれているのだと知った。 (出所:Newsweek)
レジ袋を有料化したところで、報道されている「使い捨てプラスチックスの問題」が解決されるわけではない。あくまで、きっかけであり、英国のようにプラごみ問題を考えるきっかけになればいいのかもしれない。
ポイ捨てをすれば、地球温暖化に拍車をかけるだけ
wiredは、科学誌「サイエンス」に発表された論文「Evaluating scenarios toward zero plastic pollution」を解説、ここ最近のプラごみ問題を指摘する。
もし人類が一丸となって行動を起こさなければ、16年から40年の間に13億トンものプラスティックが海に流れ込んだり、陸上に堆積したりするだろうと警告を発しているのだ。
たとえ早急に抜本的な対策を講じたとしても、その量は7億1,000万トンに達する可能性がある。
そのうち4億6,000万トンが陸地に、2億5,000万トンが海中に排出されると予測されている。
また、世界の大半の地域ではリサイクルが難しいプラスティックごみは焼却されるが、その量は2040年までに1億3,300万トンにのぼると試算されている。
さらにプラスティックごみの焼却によって危険な有害物質と二酸化炭素(CO2)が放出され、地球の温暖化に拍車をかけることとなる。
結局のところ、プラスティックの原料は石油なのだ。 (出所:wired)
wiredは、「サイエンス」に発表された研究論文の共同執筆者であるリチャード・ベイリーの言葉を紹介する。
「地球に優しくしましょう、と呼びかけるだけでは意味がありません」。
「気候変動への取り組みの歴史から、そのようなアプローチに限界があることは明らかです。経済的に実現可能なアプローチでなければなりません」
ナショナル ジオグラフィックは、研究論文のもうひとりの共同執筆者のウィニー・ラウ氏の言葉を紹介する。
私たちの研究結果がどんなに素晴らしくても、すべての人の心を変えることはできません。
私たちの目的は、この問題解決のカギを握る人々の心を変えることです。
その人たちがリードし、企業の新たな基準を作ってくれるでしょう。
あとは、私たちの努力次第です (出所: ナショナル ジオグラフィック)
ナショナル ジオグラフィックは、消費財メーカーのユニリーバが、昨年、バージンプラスチックの使用を半分に減らし、販売数以上のプラスチックを回収して加工するための支援を行うと約束したことを指摘し、こうした取り組みが出発点となるだろうという。
何よりも肝心なことは、私たちがプラごみ問題に関心を寄せ、プラごみを無くしていこうと行動を始めることなのかもしれない。
Newsweekの筆者はこんなことを言う。
「誰からも責められないのだから、必ずしも同調圧力という訳ではない。むしろ人々は「理解」した上で協力したがっているようだ」。
筆者がいうように、レジ袋をもらって「罪悪税」を払う、そんな意識になっていくといいのかもしれない。
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