Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

ウィズコロナでデジタル化は進むか そのとき、人の役割に変化はあるのか

 

 東京でのコロナ感染者が連日100人超えとなり、4日、全国で274人の感染者が確認され、緊急事態宣言解除後で最多になったという。累計では2万人を超えたと共同通信が伝える。

 ニュージーランドや韓国、台湾などのように新規感染者が発生しない日がくるのでは期待していたが、なかなか現実はそうはいかないようだ。

 世界各地でも経済活動再開後に感染者が急増している。どの国も同じ課題を抱えているということであろうか。

 これから先のことが少しばかり心配になってくる。

 

 朝日新聞が、「コロナと経済 回復への道筋描くには」との社説を投稿した。

 経済の落ち込みを脱する道筋を見いだせるか。正念場を迎えている。感染拡大への警戒は怠れない。防疫と経済のバランスを工夫しつつ、双方の水準を高めることが必要だ。 (出所:朝日新聞

 

www.asahi.com

 

 ごもっともな指摘だ。国にばかり頼っていても、なかなか埒が明かない。不毛な議論を続けても、結局、最後は自分で身を守るしかない。

 

 

 

 日本経済新聞は、「在宅勤務定着、ニッポンの壁 主要国で最低水準」と伝える。

 諸外国に比べ、在宅勤務が可能な人の割合が低いと指摘するが、英国との比較でその差は5%あまり。この差をどうみるべきか。

 在宅勤務が進まない理由に、「就業者に占める専門職(技師など准専門職含む)の比率は日本は17%。米国の36%や英国の37%の半分。専門職はIT技術者や法務や財務など知識集約型の職業も多くオンライン化が比較的容易で、在宅勤務に適する」ということを指摘する。

  

欧米は仕事の内容を明確に規定するジョブ型雇用が定着しているのに対して、多くの日本企業は職務や責任があいまいなメンバーシップ型。

仕事の成果を評価しにくいことが日本で在宅定着を難しくしている側面もある。デジタル化の遅れも在宅勤務の阻害要因だ。 (出所:日本経済新聞

 

 朝日新聞の社説も、「デジタル化の進展など新しい需要を取り込み、人材や技術開発、設備への投資を続ける道筋を、政策当局、民間企業ともに探っていく必要がある」と指摘、異口同音に、デジタル化が重要という。

 

 ここまでデジタル化が進展していないとは意外だ。

 コンピュータ扱う大手電機での勤務経験からすると、何事もシステムありきだった。もちろん、そこには業務設計も含まれる。そのシステムにISOが加わり、各担当、個人の業務内容が規定され、責任と権限も明確になった。

 当時から在宅勤務でもいいのではとの思いもあったし、東日本大震災の際には、しばらくオフィスに出社できずに、在宅勤務となった。特に支障はなかったし、煩わしい人間同士の直接的なやりとりがなくなり効率的だった。そんな経験からすると、少しばかり意外性を感じてしまう。

 

 

 

 Forbesに、デロイトトーマツの「ポストコロナ時代の経営は、「テクノロジー主導型」がキーワード」というPR記事がある。その中で、現状を以下のように解説する。

 

世界でDXが主流となっている今、日本は大きく遅れを取っていることは否めません。書類の電子化や電子メール、アプリを導入する「アナログからデジタルへの変換」を意味するデジタイゼーション(Digitization)、そして従来のビジネスモデルと働き方を変革し、新たな収益源や意思疎通の方法、価値、効率性を創出するために革新的な新技術を活用するデジタライゼーション(Digitalization)という2つのステップを踏んでいない日本企業がまだ数多くあるからです」 

「紙と鉛筆(紙ベースの書類文化、印鑑承認など)をやめてまずパソコン上で容易に扱えるデータにするのがデジタイゼーション、インターネット、PC、業務アプリを使いこなすのがデジタライゼーションと言えばわかりやすいでしょうか。

それらに対してDXはモバイルアプリ、クラウド、AIといったテクノロジーで業務をさらに効率化したり新しい事業を創出すること。ウーバーやネットフリックスはDXの象徴的存在です。

日本の企業が紙と鉛筆から一足飛びにDXを実現することは難しい。だからまずはテクノロジーを理解した上で、デジタイゼーションとデジタライゼーションの2つのステップをトップダウンで進めていくべきです」

 (出所:Forbes)

 

forbesjapan.com

 

 こうした現実があるのであれば、在宅勤務が進まないことも理解できるし、生産性が他国に比べ、低いと言われることもなんとなく理解もできる。

 

 

 

 週刊エコノミストの『「半分以上が売れ残る」アパレル業界が直面する絶望的状況』との記事が気になった。

 こうした記事を読むと、老舗アパレルはDXからよほど遠い世界にいるのかもしれない。その最たるものが、レナウンの破綻だったのかもしれないと感じる。

 

バーバリー社とのライセンスが2015年6月に切れ、“バーバリーショック”がいまだに尾を引く三陽商会は、三井物産出身で「ザ・ノース・フェイス」を柱にゴールドウインを立て直した大江伸治氏が社長に就任。

早速、売り上げ至上主義からの脱却、セールに頼らない適正価格での販売、百貨店依存をやめ直営店やECの比率を引き上げる方針を打ち出した。

 オンワードホールディングスは前期、700店舗の閉店と早期退職優遇制度により予定を2割上回る413人の本部人員が退社。今期も700店の大量閉店を行う予定だ。光明は、経済産業省出身でIT企業社長経験もある保元道宣社長が陣頭指揮を執るECだ。D2C(ダイレクト・ツー・カスタマー)型のパーソナルオーダースーツ「カシヤマ・ザ・スマートテーラー」やEC専門ブランドなども立ち上げている。

 (出所:週刊エコノミスト) 

 

weekly-economist.mainichi.jp

 

 こうした事例からすれば、デロイトの指摘の通り、トップダウンが何より不可欠と言うことなのかもしれない。

  この記事の筆者松下氏は、記事冒頭でこんな指摘をしていた。

経済が悪化する中で、「ユニクロ」「ジーユー」を擁するファーストリテイリングや「無印良品」の良品計画しまむら、ワークマン、西松屋チェーンなど、生活者に寄り添った、低価格・高収益・ローコストのSPA(製造小売り)は、強さを発揮することになるだろう

逆にアパレル企業は、大手も中小も、何が起きてもおかしくない状況だ。  (出所:週刊エコノミスト

 

 ウィズコロナの時代と言われるようになった。感染者が再び増加に転じ、第2波のリスクが高まってくれれば、経済はさらに停滞してもおかしくない。

 世の中を意見を集約すれば、これからは、デジタル化、DXを推進していかなければならないのかもしれない。しかし、デジタル化やDXがすべてをひとりでに解決してくることは決してない。所詮、デジタルは効率化のツールでしかない。それを利用するのはあくまでも人だ。それはAIにしても同じことであろう。

 こうした時代においても、企業活動を主導するのはもちろん経営者であるが、個人としての役割も重要になってくるような気がする。そんなときに、デジタル化という概念が必須になってくるの間違いないかもしれない。何も全員が専門家になることではない。それでも、デジタル化による利益を一番に享受するのは個人であることも間違いない。

 

「関連文書」

forbesjapan.com

 

「参考記事」

this.kiji.is

 

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