2005年にIBMがPC事業をLenovoに売却としたときに、PCの終わりが近づいたと思った。それから15年あまり、まだPC自体はなくなっていない。現在の市況をc/netJapanが伝える。
世界PC市場は、2019年第3四半期に出荷台数が前年同期比4.7%増の7090万台に達し、2012年第1四半期以降で最大の伸びを示したという。首位のLenovoは1730万台、2位のHPは1670万台を出荷した。Dellは1210万台で3位にランクインした。Appleは540万台で4位、Acerは490万台で5位だった。
2005年以降もPC自体は成長していた。その成長がとまったのは2012年だっただろうか。PCはこのまま消滅する方向にあるのだろうか。ひとつの事業は通常20~30年で役目を終える。PCもそろそろ役目を終える時期が近づいているのでないかと思う。PCというハードウェア端末は何に変わっていくのだろうか。
Forbesで気になる記事がひとつあった。
デル テクノロジーズ(Dell Technologies)は、米テキサス州オースティンで、プレス/アナリスト向けカンファレンス「Dell Technologies Summit」を初開催した。通常なら、新商品や新サービスの発表で終始するこうしたカンファレンスだが、今回は、2030年に向けた社会的責任に関する取り組みの表明に、多くの時間を割いたことに注目したい。
デルが、自社サーバーを従量課金で利用できる「Dell Technologies on Demand」を発表したことは聞いていたが、それほど驚くほどの内容ではないと感じていた。すでにアマゾンやグーグル、マイクロソフトがいる領域にあまり興味を持てなかった。
今、多くの産業が、SDGsやESD、CSRの重要性を説くようになってきている。そうした中で、デルがカンファレンスの場で、社会的責任についての意義を唱えたということに興味を覚えた。
PCが花盛りの頃、デルが急成長したのは、現在のD2Cビジネスのように、顧客にダイレクトに販売する方法を編み出し、低価格で、短納期で販売することに成功したためだ。そのためにデルはサプライチェーンを徹底的に管理しSCMの礎を作った。しかし、その反面、Fed-exの飛行機で膨大の物量を世界中に輸送することもやっていた。
今回のカンファレンスを伝える記事を読むと何か、デルが再び業界のリーダーたる地位を取り戻そうと宣言したように聞こえる。
出荷台数でこそスマホに遠く及ばなくなってしまったPC。それでも、まだ業界全体で年間2億5千万台を出荷する。製品体積を考えれば、業界への影響力は大きい。プラスチックなどの素材から物流までのバリューチェーンにまた変革を起こしてくれるのだろうか。
思い起こせば、2017年にデルはサブスクの原型になるような「PC as a Service」を始めていた。サービスも再び進化させるのだろうか。デルのこれからが少し楽しみになってきたし、PC業界にも何か変化が起きるのであろうか。
「参考文書」
corporate.delltechnologies.com