Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

活気づく半導体、新規事業なのか、異業種からの参入

 ソニー・ホンダモビリティが都内で特別イベントを開催し、「AFEELA Prototype」を公開しました。10月28日から始まる「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」では、日本で初めての一般公開となるといいます。

共創する愛着 ソニーホンダ「アフィーラ」が変える自動運転時代のクルマづくり - Impress Watch

 特別イベントには川西社長が登壇し、「AFEELA共創プログラム:仮称」の構想を発表し、モビリティ開発環境のオープン化について語ったそうです。

 

 

 走るスマホのような「AFEELA」も他のEV同様、様々なECU 電子制御ユニットが搭載され、半導体が多く使われます。 今の半導体のスペックでは、いくつかの半導体を使っていくことになるそうですが、今後の半導体の進化次第ではひとつにまとめられる可能性もあるそうです。3nmプロセスのような最先端半導体は無理としても、最適化が見込める領域については、自分たちで半導体を作ってもいくかもしれないと、川西社長が語っています。

 半導体を自製化することで、ものづくりの肝であるQCD(品質、コスト、デリバリー)が容易にコントロール可能になるということでしょうか。

(写真:ソニー・ホンダモビリティ

異業種が半導体製造へ

半導体立国」の再興を目指す日本政府は、国産化を進めようとしています。そんな中、新規事業としてなのでしょうか、畑違い、異業種から新たに参入する企業もあります。

 SBIホールディングスが、台湾のファウンドリー(受託製造会社)力晶積成電子製造(PSMC)と準備会社を設立、日本で車載向けなどの半導体を製造する新たな拠点を立ち上げていくといいます。工場建設を含めた投資額は8000億円規模となるようで、三重県を含めた5カ所程度に候補地を絞っているといいます。

訂正 SBIと台湾力晶、日本の工場候補5カ所程度に 近く決定=関係者 | ロイター

パワーチップは車載向け半導体の需要を取り込むため、まずは線幅45─55ナノ(ナノは10億分の1)メートルのレガシー半導体を手掛け、中期的には28ナノメートル以下の量産を目指す。(出所:ロイター)

半導体国産化

 このプロジェクトが生まれた背景には、過去の教訓があるといいます。半導体業界は頻繁に設備投資できなければ国際競争に負けてしまう、2012年に経営破綻したエルピーダメモリは、技術はトップクラスでしたが、金融面で弱かったと、SBIHDの北尾会長兼社長と語ります。

SBI北尾氏「エルピーダの教訓生かす」 台湾PSMCと日本に投資:日経ビジネス電子版

米国のグローバルファウンドリーズは、アブダビ首長国の政府系ファンド、ムバダラ・インベストメントが力を入れて育て、世界的なファウンドリーになりました。シリコンサイクル(半導体業界における好不況の波)の影響で厳しい状況に直面しても、ファンドが助けたのです。(出所:日経ビジネス

 SBIHDは「金融を核に金融を超える」との方針を掲げているといいます。それが故の半導体への投資なのでしょうか。

 

 

 三菱商事半導体製造事業への参入を検討しているそうです。富士通が売却に動く上場子会社・新光電気工業への応札も視野に入れているといいます。

EXCLUSIVE-三菱商事が半導体製造への参入検討、新光電気応札も視野=関係筋 | ロイター

 三菱商事は、半導体を最終的に完成させる「後工程」に参入することを検討しているそうです。新光電気は後工程が主力で、インテルAMDアドバンスト・マイクロ・デバイセズ)など世界の半導体大手を主要顧客としているといいます。

 回路の微細化が極限まで進んだ、ウエハー表面に電子回路を形成する前工程に比べ、ウエハーからチップを切り出して封入、検査して完成させる後工程は、まだ進歩の余地が大きく、競争力強化に向けて半導体各社が技術開発に注力しているといいます。

経済安全保障、半導体の反グローバル化

 TSMCの創業者 張忠謀氏が「半導体産業においては、すでにグローバル化から遠ざかり、自由貿易もなくなった」との見方を示したそうです。

TSMC創業者、「今後の挑戦は厳しい」 - NNA ASIA・台湾・IT

 また、TSMCにとって今後数年間の挑戦が過去と比べて厳しいものとなるとの考えを明らかにしたともいいます。

 経済安全保障の名の元、資金力が企業が半導体にチャレンジする機会はあるのかもしれません。世界的な企業に育成していくことが求められることになりそうです。

 

「参考文書」

業界の常識を覆すものづくり。半導体メーカーロームの新生産ライン「フレキシブルライン」|ローム株式会社のストーリー|PR TIMES STORY

ソニー・ホンダモビリティ、AFEELAのECU上で動くOSは親会社と一緒に開発 | 日経クロステック(xTECH)

 

低迷するIT企業の時価総額、活路は生成AIによる業務の6割削減

 日本のIT企業の代表格であるサイバーエージェントの株式時価総額が低迷しているそうです。2021年に1兆円を超えていた時価総額が、足元で4000億円を下回り、17年以来の低い水準にあるといいます。

サイバーエージェント、「ウマ娘」失速で本命不在 広告も採算悪化 - 日本経済新聞

ウマ娘」の失速が主な理由のようです。このゲームでの課金収入の一巡に加え、主力事業の課題が手つかずで悲観的な見方が広がっているといいます。

 

 

 そのサイバーエージェントが生成AIを社内業務に全面的に導入するそうです。

サイバーエージェント、生成AIで業務6割減 開発・採用に - 日本経済新聞

 生成AI活用推進組織「AIオペレーション室」を新設、2026年までに映像や書類の作成といった既存業務を6割減らし、生成AI活用で空いた時間を新サービスの企画や開発など付加価値の高い業務に充てるようしていくといいます。

 生成AIの積極活用は時流に乗り良さそうに見えますが、IT企業の代表格としては出遅れたといってもいいのではないでしょうか。

 AIに積極的に関与、推進しようとする政府も同じなのかもしれません。その動きとは裏腹に、霞が関ではいまだに「アナログ事務」が主流のようです。

霞が関「アナログ事務」削減へ基本方針 電卓再計算など - 日本経済新聞

政府は各省庁のシステムを共通のクラウドへ移行するのにあわせ、デジタル化で必要性が薄れた事務作業を削減する。自動計算した内容の再確認やデータの手入力などを廃止して業務効率を高める。公務員の働き方改革につなげる。(出所:日本経済新聞

 官僚たちの仕事は未だにこのレベルなのでしょうか。政府の掛け声との違いに愕然とします。

 

 

 官庁の非効率性はそればかりではないようです。巨額の基金運営が企業に委ねられているといいます。政治判断による「規模ありき」の財政運営により、公的機関で対応しきれず、企業に頼らざるを得ない状況になっているといいます。

「みんなさっさと逃げていく」民間に実務を丸投げ、巨額基金の実態:朝日新聞デジタル

巨額基金の執行を求められる中央省庁の現場は、どうやって実行に移すのかに苦慮している。「予算獲得まではいいが、いざ誰が執行するかを決める段階になると、みんなさっと逃げ去っていく」(出所:朝日新聞

 ムダの塊のように見てしまいます。これでは税金が有効活用されて、新たな価値を生み出しているとは言い難いのではないでしょうか。

  マイナンバーカード問題しかり、政府は一体何がしたいのでしょうか。AIが普通に主流になっていく中で、根本的な改革が求められていそうです。もう税金のムダつがいは看過できるものではありません。いつまでも旧態依然のままで能力のない人にはお引き取り願たいものです。政治のリーダーにもセンスの優れた人たちが求められていそうです。

 

【出遅れる日本企業】3Dプリンターなど先端技術活用でも先じるアップル、テスラ

 日本の製造業の昨今のトレンドは、デジタルツインにロボット、AI活用などに注力、もっぱら生産性向上なのでしょうか。一方、米国の製造業は少し違った路線を歩んでいるようです。

 米アップルは、アップルウォッチの一部のモデルでステンレス製ケースを3Dプリンターで製造するテストを行っているといいます。

アップルが製造に「3Dプリンター」導入か、まず新型Apple Watchから | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

3Dプリンターを用いることで、生産ラインを合理化し、製造にかかる時間を短縮すると同時に、より少ない材料で製造が可能になるという。この新しい技術はバインダージェット方式と呼ばれるもので、粉末状の物質を3Dプリンターで噴射して、ケースサイズに近いものを作り上げ、その後、焼結と呼ばれるプロセスで仕上げを行うそうです。(出所:Forbes)

 かつては日本が得意にしていたような技術開発を米国が一歩先んじるようになった感じます。

 

 

進化するテスラのギガキャスト

 米テスラはトヨタに先んじて、ギガキャストの適用をはじめ、さらに部品約400点で構成されるプラットフォーム(車台)をほぼ全て一体成型する革新的な技術の実用化に近づいているといいます。これが実用化できれば、テスラは競合他社とのリードをさらに広げることになるといいます。

焦点:米テスラ「ギガキャスト」高度化へ、静かに進む技術革新 | ロイター

 テスラまた3Dプリンターのバインダージェット方式を活用し、このギガキャストで試作鋳型を作ろうとしているといいます。

砂を使った鋳造による設計検証にかかるコストは、仮に調整を何度も繰り返したとしても、金属のダイカスト金型で試作した場合のわずか3%だという。設計検証サイクルは金型試作モデルでは6カ月から1年かかるが、砂を使うと2-3カ月だと、関係者2人は明かす。(出所:ロイター)

 日本での3Dプリンターを使用した生産技術はどこまで進化し、実際に量産への適用計画があるのかが気になります。

 

 

EV充電器規格争い

 EV充電器においてテスラがデファクトを取る勢いだといいます。欧米の自動車メーカーだけでなく、日産自動車やホンダも米国ではテスラ規格を採用するといいます。

米テスラのEV充電器、使い勝手で圧勝 日本規格と比べてみた:日経ビジネス電子版

 日本も独自規格の普及を進めるものの、実際に比べてみると、使い勝手の良さでテスラに軍配が上がる。充電器からはバッテリーの消耗度合いといったデータが手に入り、製品開発などにも生かせる。日本は充電器の規格競争でも劣勢になりかねない。(出所:日経ビジネス

コトづくり

 そればかりでなく、テスラは24時間営業のエンターテインメントを重視した急速充電ステーションを開設するそうです。ドライバーは充電している間、食事をしたり、大きなスクリーンで名画のクリップ見たりして過ごせるといいます。

充電中に食事や映画も テスラ初の娯楽型施設、LAにお目見えへ | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

 この充電施設はウェストハリウッドのルート66沿いにできるそうで、施設には飲食店やルーフトップのテラス、映画スクリーンなどが設けられ、竹も植えられるといいます。

 ものづくりだけでなく、コトづくりでも、かなり前に進んでいるようです。日本企業がEVでテスラに追いつくことはあるのでしょうか。

 

「参考文書」

バインダージェット式金属3Dプリンタによる金型レス部品の量産に向けて協業:金属3Dプリンタ - MONOist

ギガキャストの金型交換でテスラに時短勝負、トヨタが次世代EV実証ラインを公開 | 日経クロステック(xTECH)

トヨタ、車体を一体成型 26年投入の次世代EVで | 共同通信

 

チャイナリスク再来、プラスワンで注目のインド

 チャイナリスクが改めて意識されるようになりました。米中の対立が激しさを増し、規制対象が増え、これまでのビジネスにおける自由さが失われつつあるようです。

 チャイナプラスワンとしてインドに注目が集まっています。米アップルはすでにインドで生産をはじめ、将来を見据えて中国からインドに次第に軸足を移していく戦略を加速させるのではないかともいわれています。

中国からインドへのシフトを進めるアップルiPhone|2023年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)

中国の成長力低下、ゼロコロナ政策で浮き彫りとなった工場停止リスク、高まる地政学リスクなどは、生産拠点と市場の双方で、中国リスクが先行き次第に高まっていく可能性を示唆している。(出所:野村総合研究所

 

 

 中国政府が中央政府機関の職員に対して、アップルのiPhoneやその他外国製のデバイスを職場に持ち込み、使用することを禁じたと報じられており、これがアップルの背中をさらに押すことになるかもしれないともいいます。

世界の工場

インドには日系企業もすでに数多く進出し、スズキ、パナソニックダイキン工業など成功している事例もあります。

 そのインドにもカントリーリスクが存在し、一足飛びに中国に代わって「世界の工場」をポジションを得るには課題も多く、難しいとの意見があるようです。

中国の代替地『チャイナ・プラス・ワン』の地位を狙うインド|2023年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)

 チャイナリスクとインドでのリスクを天秤にかければ、今のところ、いくばくかインドの方が軽いというところでしょうか。

インドのポテンシャル

 インドで事業を軌道に乗せ成功した日本の製造業が、インドを拠点にしアフリカに目を向けているといいます。

インドからアフリカへ ダイキン・クボタ、最後の成長市場攻める:日経ビジネス電子版

インド洋の先にある人口約15億人の大陸は歴史的にインドと関係が深い。ダイキン工業やクボタのように、最後の成長市場ラストフロンティアを攻略する橋頭堡としてインドを使わない手はない。(出所:日経ビジネス

 まだ早すぎるように見えますが、今ここでアクションを起こす意義もあるのかもしれません。気候変動対策では途上国支援の強化が求められ、またSDGs的に同様なことが求められています。まして、その支援がビジネスになり、外貨の獲得にも役立つのなら、もっと積極的になるべきのような気もします。

 

 

カントリーリスク

 地政学リスクが高まり、経済安全保障政策が強化され、様々な影響を受けるようになっています。複雑化する国際情勢にあっては、どの国にもカントリーリスクが存在し、それを意識しなければならないのでしょう。

 インドはグローバルサウスの雄として振舞おうとしていますが、権威主義的な中国とは対立し、先進諸国とは友好関係を維持しようとしています。また、ロシアとは歴史的に友好関係にあります。アフリカ諸国においても同様なところは多いのではないでしょうか。

 もしこの先これらの国々がロシアの関係をより強化することになれば、先進国との関係が急速に冷え込むことになりかねず、時と場合によっては慎重な判断が求められるようになるのかもしれません。いつになったら政治的な安定を取り戻すことができるのでしょうか。このグローバルの時代にあって、政治は旧態依然のようです。これではいつまでもたっても時代は前に進みそうにもありません。

 

 

「参考文書」

変容するチャイナリスク̶正しく恐れるための評価の視点と姿勢̶(三井物産戦略研究所)

パナソニックHD・ダイキン…相次ぐ新工場、インドで生産拡大の背景|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

【一帯一路の現場から】課題以上にチャンスあり、インド企業に聞くアフリカ市場の魅力 - NNA ASIA・アフリカ・経済

低所得国の60%以上が負債過多 くすぶる「債務免除」要求:日経ビジネス電子版

 

 

国産ブランドを好まれる中国のEVシフト、変化する巨大市場

 三菱自動車が中国での生産から撤退する方針を固めたそうです。EV電気自動車の普及に加え、地元中国メーカがシェアを伸ばしていることが理由のようです。

三菱自動車、中国生産撤退へ EV出遅れで販売不振 - 日本経済新聞

 苦戦する日欧米の自動車メーカで、戦略の見直しが広がる可能性があるそうです。

 

 

 今年7月、中国の自動車販売台数の50%余りをBYD(比亜迪)や吉利汽車など中国メーカが占め、トヨタや米フォード、ドイツのVW フォルクスワーゲンなど日米欧のメーカーがシェアを奪われたといいます。外国ブランド車の人気は陰り、中国消費者の間で国産車を好む傾向が強まっているといいます。

トヨタもテスラも挽回不可能か-中国自動車市場で地元勢シェア50%超 - Bloomberg

 製造コストを抑え、手頃な価格の中国製EVの躍進が続き、西側の自動車メーカーは世界シェアの約2割を失うとの予想もあるといいます。

 こうした中、韓国の現代自動車は生産設備を売りに出し、フォードは人員を削減、ステランティスは昨年、中国で唯一の「ジープ」工場を閉鎖したそうです。

 独メルセデス・ベンツグループは激しい価格競争に巻き込まれ、メルセデスの中国での売上高が上期に9.2%減少したといいます。中国経済の減速が重しとなっているといいます。

中国の高成長もはや当てにできない、慎重さ必要-独メルセデスCEO - Bloomberg

 2年前までは、中国市場について強気な見方を示していたメルセデス・ベンツグループのCEOは、中国の高度成長を当てにすることはできないとの認識を示し、「少し慎重なスタンスをとり、事態の推移を見守る必要がある。短期的に経済が急成長を遂げるとは予想していない」と述べたそうです。

 

 

中国経済のダイナミズムは戻らない」、中国経済の「厳しい未来」を予測する専門家が多いようです。中国経済の危機は景気循環的というよりも構造的なもので、成長鈍化が続き、当初見込みよりもさらに鈍化する可能性があるとの声もあるようです。

アングル:中国経済に「厳しい未来」、構造的危機で世界に悪影響も | ロイター

 巨大な市場に加え、高い成長率で人々を吸引してきた中国が曲がり角を迎えているのでしょうか。経済成長が止まっても、それでも巨大市場であることには変わりはないのでしょう。自動車産業ばかりでなく、他の業界における今後の中国戦略に変化はあるのでしょうか。

 インフレに苦しむ欧米とは異なり、この先中国はデフレに陥る可能性があるといいます。そのなれば日本が経験したような価格下落に苦しむのようになるのでしょうか。しかし、それは逆に他の国にとっては朗報になる可能性もあるような気がします。この点も考慮して、戦略を練り直す必要はありそうです。

 

iPhone15新発売、だけど今はアップルにとっての受難のときのよう

 株価を順調に伸ばしてきたアップルが受難の時を迎えているのでしょうか。一時3兆ドルを超えた時価総額がこのところはさえないようです。

 先々の業績不安で急落した株価が、新製品発表会をひかえ期待の高まりから値を戻しつつありしたが、中国政府によるiPhoneの使用禁止報道で再び急落しました。

 そこにフランスの規制当局が、「iPhone(アイフォーン)12」について欧州の基準値を超える電磁波が放出されているとし、フランスでの販売中止や是正措置をアップルに命じました。ドイツとベルギーの当局も調査を進めることになり、EU 欧州連合全域に広がる可能性も出ているといいます。

 

 

電磁波漏洩

 この問題を受け、アップルは、消費者からの問い合わせに対し自ら進んでいかなる情報も提供しないようテクニカルサポートスタッフにガイダンスを示したといいます。

アップル、テクサポートスタッフに口閉ざすよう要請-電磁波問題で - Bloomberg

スマホの安全性を巡る顧客からの質問には、スタッフは全てのアップルの製品は安全性を確保するために厳格なテストを通過していると回答するよう求められている。(出所:ブルームバーグ

 一方、フランス政府の経済デジタル相はアップルに対し、2週間以内にソフトウエアを更新し問題を解決するよう伝えているそうです。致命的なハードウェアの欠陥による電磁波漏洩ではなく、人体への影響はなそうな感じますが、今後のアップルの対応が気になります。

iPhone 15

 アップルは12日、予想通り新機種「iPhone 15」シリーズを発表しました。それでも株価は回復していません。新しいiPhoneをしのぐほどに米中対立が深刻で、アップルに不利な方向に風が吹いているようだといいます。まだアップルの株価が回復基調に戻ったとは言い難い状況のようです。

 それでもiPhone 15は、中国でも高速チップと改善されたゲーム機能が支持されているといいます。

(写真:アップル)

 しかし一方で、中国・ファーウェイ(華為技術)の新機種「Mate60」を選好する声も出ているそうです。

新型iPhone15、中国で高い関心 ファーウェイ選好の声も | ロイター

ソーシャルメディアユーザーの間では米国ブランドを選ぶことに懸念の声も。国営メディアが今月、ファーウェイの新型スマホ「Mate60プロ」を取り上げ、中国が米国の制裁に打ち勝ったとして称賛した後ではなおさらだ。(出所:ロイター)

 IDCによれば、中国高級携帯電話市場におけるアップルのシェアはファーウェイとの競争激化により徐々に低下していくだろうと言われているようです。

 

 

ファーウェイ

 米国のレモンド商務長官が、ファーウェイが先進的な半導体を搭載したスマートフォンを大量生産できるという証拠はないと述べたそうです。

ファーウェイ新型スマホ、大量生産可能な証拠ない=米商務長官 | ロイター

 このスマホのプロセッサは、中国 SMIC(中芯国際集成電路製造)の新しい7ナノメートルのチップが使用されているといわれ、これを米政府が規制対象としたオランダの半導体製造装置メーカーASMLの高度な極端紫外線リソグラフィ装置を使わず製造したとみられているそうです。これは賞賛すべきことと中国国内での意見がある一方で、どの程度の歩留まりで生産できるのかという疑念もあるようです。歩留まりが低下すれば、当然ながらスマホをそんなに大量に生産できなくなります。

中国企業が政府からの多大な資金援助なしに存続できるようになって初めて、半導体戦争における永続的な勝利に近づいたと言えるだろう。(出所:ロイター

 

 

 アップルは、とんだ争いに巻き込まれてしまっているようです。今後、どんな結果がもたらされることになるのでしょうか。

 アップルが今後の中国ビジネスをどう読み、どう対応していくのか気になります。要らぬ争いに巻き込まれながらも、それなりに販売を続けていくことになるのでしょうか。

 

「参考文書」

コラム:ファーウェイ新型スマホ支えるSMIC、実力は未知数 | ロイター

フランスがiPhone 12の販売禁止 懸念される電磁波の体への影響とは? | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

iPhone 12の電磁波問題、ドイツやベルギーも調査へ 欧州全域で販売禁止も | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

電波を理由にフランスがiPhone 12を販売停止。アップルは反論 | ギズモード・ジャパン

アップルの時価総額下落は「閉ざされた」世界経済への警告 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

アップル7─9月も減収見通し、直近実績は予想超え 時間外で株価下落 | ロイター

iPhone 15シリーズは「Pro Max」が好調、中国の禁止令の影響は軽微 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

嫌いな中国、嫌いになれない中国

 最近の関心事といえば、やはり中国でしょうか。覇権争いで対立が激しくなっていく中にあって、処理水問題で関係が悪化しているように感じます。様々な意見と報道があるようです。

 時々で変わる情勢をくみ取って、現実的に動いていくことが求められているのでしょう。しかし、現実にはそうできないようです。

 

 

 冷静さが求められているのでしょうが、あまりにも偏った意見が出てくるのもこんな時だからなのでしょう。「日本の魚を食べて中国に勝とう」、これもその一例ではないでしょうか。

 今月6、7日付の全国紙朝刊のいくつかに「保守派の論客」とされる桜井よしこさんが理事長を務める公益財団法人の意見広告が掲載されたといいます。

応じないと非国民? 岸田政権が旗を振る「国民運動」に違和感 国産水産物の風評被害を招いたのはそもそも:東京新聞 TOKYO Web

「不条理に屈しない」、「安全で美味。沢山食べて、栄養をつけて、明るい笑顔で中国に打ち勝つ。早速今日からでも始めましょう」と訴えているそうです。

 政府決定に中国が反発し、それによって日本の水産業界が被害を受けることになった、ただそれだけのことなのでしょう。条理も不条理でもなく、科学的とか非科学的とかでもなく、単に対立があるからそうなっただけなのでしょう。そんな時に、勝つの負けるはないような気がします。

中国の理解を得られなかった外交の失政を「被害を受けるかわいそうな日本」にすり替え、中国に勝つという言葉で排外主義とナショナリズムをあおっている。(出所:東京新聞

 結果的に反発を食らって、にっちもさっちもいかずに、自国民が影響を受け、そのために税金を投入して対策しなければならなくなっているのなら、無様過ぎるように感じます。

 

 

切っても切れそうにない中国経済

 地理的にもつながりが深い中国の経済が鈍化しているようです。その影響は世界経済に影響し、とりわけ周辺地域 東アジアへの影響が大きいとの見方が広がり始めているようです。

米財務長官 “東アジアは中国経済減速の影響受ける可能性” | NHK | アメリカ

 こうした中、経済同友会の代表幹事を務めるサントリーホールディングスの社長の新浪剛史氏が、「政治的に緊張が高まる中でも中国という巨大市場に対して常に関心を示し、ビジネス界の対話により互いの関係性を維持していくことが必要」と、ブルームバーグのインタビューで語ったといいます。

 世界的に人気が高まる日本製ウィスキーを中国で拡販したい思惑があるようです。

勢い増す中国製EVとそれを支える日本企業

 EVを中心に中国の自動車輸出が急伸しているといいます。今年上半期には自動車輸出台数で日本を抜いて世界一となったといい、中国メーカーが電気自動車(EV)で世界覇権を握る勢いといいます。

EVで世界の覇権目指す中国 猛スピードで突っ走る思惑 日系メーカーのとるべき道は:東京新聞 TOKYO Web

 この状況を商機ととらえる日本企業もあるそうです。半導体商社リョーサンは、四川省成都でEV設計開発大手のIAT 阿爾特汽車技術と合弁会社を設立することで合意し、中華圏の事業を拡大させるようだといいます。IATは、日本から半導体を安定的に調達し、自社のEV開発を拡大させていくそうです。

 

 

中国時代の終焉なのか

「中国の時代は終わりつつある――」と日本経済新聞が主張しています。そうは言えないこともないのかもしれません。トレンド、世界的な流れからいえば、そうなっていきそうな気もします。

「中国の時代は終焉」 習近平不在を突く米情報戦の吉凶 - 日本経済新聞

米大統領のバイデンが、中国国家主席習近平(シー・ジンピン)の不在を突いて、勢いあるインドから吹く強烈な「南風」を利用し始めた。(出所:日本経済新聞

 さてこの先どうなっていくのでしょうか。これで単純に幕引きになることはなさそうです。在中国 日本企業は難しい選択を求められ続けることになりそうです。

 

「参考文書」

処理水問題”中国がこうなることはわかっていた”対応策ゼロの岸田外交「日本に罰を与える鬼の政権」習近平に土下座外交の情けなさ - みんかぶ(マガジン)

サントリー新浪社長、中国事業拡大を計画-ビジネス界は対話継続を - Bloomberg

中国経済減速に「警告」サイン、台湾は影響受けている-駐米代表 - Bloomberg

木内登英の経済の潮流――「中国経済の『日本化』と米国経済の『中国化』」 | NRIジャーナル | 野村総合研究所(NRI)