Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

【熾烈な米中覇権争い】ファーウェイの最新スマホを分解、半導体を調査する米政府

 米中の覇権争いが熾烈さを増しているのでしょうか。米紙報道によると、中国の「一部」の中央政府機関で職員が「iPhone」をはじめとする外国ブランドのデバイスを職場への持ち込みをやめるよう指示されているそうです。どの程度広がっているかは不明だといいます。

アップル株1カ月ぶり大幅安、中国政府機関でiPhone使用禁止報道 - Bloomberg

 これを受け、米国株式市場ではアップルの株価が約1カ月ぶりに大幅安になったといいます。アップルにとって中国は米国外で最大の市場で、「iPhone」が公的機関および民間セクターで多く使われるなど、アップル製品は広く人気を博しているそうです。

 米国による中国のハイテク産業の台頭を抑えようとする取り組みに対する反発を受けてのことなのでしょうか。

 

 

 一方、米政府が中国の通信機器大手ファーウェイ(華為技術)の最新スマートフォン「Mate 60 Pro」に搭載されている先端半導体の詳細を完全に把握しようと取り組んでいるといいます。

ファーウェイ採用の中国製半導体、詳細把握目指す-米政府 - Bloomberg

ファーウェイの最新スマートフォン「Mate 60 Pro」に先端半導体が採用されているとのニュースは、中国国内で一部国民の熱狂を呼ぶとともに、米政府が中国ハイテクセクターに課している規制措置の有効性を巡り臆測を生じさせている。(出所:ブルームバーグ

「デカップリング(切り離し)という広範な問題ではなく、国家安全保障上の懸念に焦点を絞ったテクノロジー規制の道を進み続けるべきだということ」と、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が述べたそうです。

 ブルームバーグの調べでは、このスマートフォンを動かすプロセッサーには、SMIC 中芯国際集成電路製造が生産した回路線幅7ナノメートルの先端製品を採用していることが分かっているといいます。米政府は、ファーウェイもSMICも規制の対象にしているそうです。

 米国によってますます中国とのつき合い方が難しくなっています。

(米国は)完全な保護主義だ。自由貿易に背を向けていると批判。国家安全保障上の同盟関係は強固だが、経済貿易関係では「私はもう同志国とは呼ばない。付き合い方は非常に難しい状況になっている」と憂える。(出所:時事ドットコム

誰に何を頼るか、難しい線引き 米国は完全な保護主義◆鈴木一人東大院教授に聞く:時事ドットコム

 中国に対する締め付けを強化し、それに同調するよう求めてきますが、その一方で、日本製EVを米国市場から締め出そうともしています。

 米国の傲慢さ、身勝手さが甚だしいといってもいいような気がします。

 

 

「日本はこれまで米国のことを考え過ぎていた。米国を軸ではなく自分たちを軸にして考えるべきだ」と東京大学公共政策大学院の鈴木一人教授が語っています。

以前から外交力の乏しさが指摘されてきた日本だが、鈴木氏は「この数年間、日本は地政学的プレーヤーになったといわれている」と紹介。「自分たちができることは、ちゃんとやらなければいけない。そういう自覚があれば外交力は身に付く」と楽観する。(出所:時事ドットコム

 最近の日本政府の動きを見ていると、外交力が向上しているとは言い難いようです。地政学的プレーヤーになっているという意識が乏しいような気がします。

 企業がコンプライアンスを守りつつ、独自に判断していく厳しい状況が続きそうです。欧米企業の動向をよくよく注意して観察していかなければならないのでしょう。

 

「関連文書」

SKハイニックス、中国ファーウェイ製品内の自社製半導体巡り調査 - Bloomberg

 

BRICS拡大、グローバルサウス糾合を図る中国、インドの賢さ

 南アフリカで開かれたBRICSの拡大首脳会議に出席した国連のグテーレス事務総長が、国連安全保障理事会や既存の国際金融システムが、昨日の世界を反映したものとして早急な改革を促したそうです。

国連安全保障理事会は「過去のもの」 事務総長、BRICSで改革要請 - 日本経済新聞

既存の国際秩序が「アフリカ諸国の多くが植民地支配を受けていた第2次世界大戦後につくられた」と指摘。特に安保理や、国際通貨基金IMF)、世界銀行などのブレトンウッズ機関について「改革しなければ(世界の)分裂は避けられない」と警告した。(出所:日本経済新聞

 常任理事国の5カ国が拒否権を行使する国連安保理の機能不全や、IMFなどの融資条件が厳しすぎることへの不満が「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国にあるといいます。事務総長の発言は、西側中心の国際秩序に不満を持つ国々が中国主導のBRICS拡大に乗り、米欧などとの亀裂を深める構図への危機感からではないかといいます。

 

 

 米国では、世界の中央銀行関係者や経済学者が集う経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が開かれ、「世界経済の構造転換」をテーマに中長期的な成長などを議論したといいます。

ジャクソンホール会議開幕 市場動かす日米欧の中銀集結 - 日本経済新聞

 米中の覇権争いは避け得ないものになりつつあるようです。ほんとうに、このままの枠組みでいいのでしょうか。

グローバルサウス糾合、BRICS拡大

 BRICS首脳会議では、アルゼンチン、エジプト、イラン、エチオピアサウジアラビアアラブ首長国連邦(UAE)の6カ国の加盟を決定し、2024年1月1日に正式に加わることになるといいます。

BRICS、サウジなど6カ国が来年加盟 歴史的拡大と習中国主席 | ロイター

 このBRICS拡大は、「グローバルサウス」の糾合を図る中国によって主導されたそうです。議長国の南アフリカのラマポーザ大統領は「BRICSは公平な世界、公正な世界、包摂的で繁栄する世界の構築に向けた取り組みで新たな門出を迎えた」と表明し、「今後さらなる段階が続く」と述べたといいます。

 また、中国と対立し、日本と米国、オーストラリアとの協力枠組み「Quad(クアッド)」に加わるインドのモディ首相は、「BRICSの拡大は、20世紀に設立され時代遅れとなった他の国際機関の模範となるはず」と述べ、「BRICSの拡大と現代化は、世界の全ての機関が時代の変化に合わせて形を変えていく必要があるとのメッセージだ」と主張したそうです。

 新たな潮流のようなものを感じます。グローバリゼーションが新たな局面に入ったということなのでしょうか。歴史を振り返ってみても、いつまでも同じ国が主導権を握り続けることはないのですから。

 

 

 

 米国と中国の間に位置し、その場所を変えることができない現実を鑑みれば、今のままであり続けることがベストではないような気もします。

 国民を焚き付けて防衛力を強化することで反発を招き、それがひょんなことからエスカレートして、貿易が影響を受けたり、インバウンドにも影響するようではあまり得策とは思えません。その被害は国民が受けるのに、国は何を優先しているのでしょうか。政治の力の差をまざまざとみせつけられているような気がします。

 インドのように現実的に対応していくのが外交における賢さではないでしょうか。

 

月面着陸に成功したインド、デジタル化ばかりでなく、ますます遅れる日本のテクノロジー

「今やITを使わない業種など存在しない。すべてのユーザー企業が、IT・デジタルを使いこなす力を身に付ける必要がある」、

世界中でスマートフォンが普及し、クラウド人工知能(AI)などのテクノロジーが台頭、激動のDX(デジタル変革)時代を迎えた。デジタル活用の巧拙が企業の成長に直結するようになり、これまでITと無縁だった業界・業種も、IT・デジタルをうまく使いこなし、市場の変化に素早く対応することが求められるようになった。(出所:日経クロステック)

テクノロジー企業へ 明暗分けるユーザー力 | 日経クロステック(xTECH)

 いまだにこんな意見があることに驚きます。信じがたいことですが、この国はこんなにひどい状態のままなのでしょうか。

 

 

 何度も聞かされてきた「失われた30年」という言葉。1989年当時、日本企業が世界時価総額ランキングの上位を占めていたといいますが、今ではトップ50から日本企業の名前が消えています。その代わりに、上位にはGAFAMをはじめとするIT企業が名を連ねるようになっています。

日本企業が30年間弱まり続けた大きな原因は、インターネットなどテクノロジーの進化を成長に取り込めなかったこと。つまりIT・デジタルの活用力の弱さが大きく足を引っ張った格好だ。(出所:日経クロステック

 そうなのでしょうか。そういう一面もあるのでしょうが、それがすべてではないような気がします。

 インターネットを活用したeビジネスが勃興し、その波に乗ってGAFAMなどのテクノロジー企業が勝者となって隆盛を極めた時代になったということなのでしょう。逆に言えば、この間、日本のテクノロジー企業は何をしていたのかといえるのではないでしょうか。

 未だに時価総額で国内トップはトヨタ自動車のままです。世界順位は落としたものの、それなりに善戦しているような気もします。それ以上に、日本に新しく登場したテクノロジー企業の停滞ぶりを問題にすべきなのではないでしょうか。

 米国では見事に新陳代謝が進んだのに、日本はいまだにテクノロジー企業が成長できていないと言えるのかもしれません。

  近頃では、ハードテック領域のスタートアップが増加しているそうです。「宇宙」「物流」「インフラ」などが対象分野で、国内のハードテック系スタートップもさかんになってきているといいます。

転職でも有望、ハード&ソフト両面の難題に挑むハードテック系スタートアップって何? | 日経クロステック(xTECH)

「ハードテック」とは、「技術的なブレイクスルーを必要とする、ハードウエア(物理世界)とソフトウエア(仮想世界)の両方にまたがる難しい課題」のことをいうそうで、ハードウエアとソフトウエアの技術を組み合わせて次世代機械システムを開発する試みといいます。

 

 

 インドの無人月探査機「チャンドラヤーン3号」が月の南極付近に軟着陸したそうです。月の南極付近への着陸は世界で初めてといいます。米国、旧ソ連、中国に次ぎ4カ国目になったといいます。

インド探査機、月の南極に初着陸 水資源注目、宇宙開発で優位狙う | 共同通信

月の南極付近では水が氷の状態で存在する可能性があり、人間が長期滞在するための飲料水や酸素、燃料用の水素の原料に活用できるとして各国が注目している。今後の探査に期待がかかる。(出所:共同通信

 月面着陸でもインドに先を越されてしまいました。日本のテクノロジーと実用化技術が大きく世界から置いていかれるのかもしれません。一体なぜこうなってしまったのでしょうか。デジタル化の遅れを含め、この原因をリーズナブルに分析する必要がありそうです。このままでは挽回することも叶わなくなるのかもしれません。

 

グローバルサウスの盟主を狙うインド、過熱しそうな米企業の進出

 グローバルサウスの盟主にのし上がりつつあるインドに熱視線が集まります。米中が対立し、中国のポジションが少々揺らぎ始めているのでしょうか。それにとって変わるように、インドが次の主役としての地位を虎視眈々と狙っているようにも見えます。

締め付け

 インド政府が中国企業への締め付けを強めているように見えます。

中国BYD、インド投資計画中止へ EV生産巡り=関係筋 | ロイター

 世界的に大躍進する中国のEV 電気自動車大手のBYD(比亜迪)が進めていたといわれるインドでの投資計画が棚上げになったようだといいます。

 

 

 記事によれば、インド政府からの厳しい審査に直面したことが背景といいます。

BYDとメガは4月、インドでEVを合弁生産する提案書を同国政府に提出。ただ、最初の審査段階で、外務省と財務省を含む3省の高官がBYDからの投資に安全保障上の懸念を示し、反対の立場を示唆したという。(出所:ロイター)

 ただこれだけにとどまらないようです。インド当局が、中国スマートフォン大手の小米科技(シャオミ)のインド法人の資産555億ルピー(約940億円)を差し押さえたといいます。シャオミが外国為替管理法に違反して不正な海外送金をした疑いがあるそうです。

中国スマホ制覇の時代終焉か。インド当局、シャオミの凍結資産約940億円を没収に | 36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

 記事によると、シャオミは2014年にインド市場に参入し、17年には韓国のサムスン電子を抜いてシェア1位に躍進、シェア20%を確保したといいます。また、シェア3〜5位も中国メーカーが占め、vivoOPPO、realmeの順になっているそうです

 インド政府は、シャオミなど中国のスマホメーカーに対し、インド事業ではインド国籍を保有する役員を任命し、インド資本の株式パートナーを求め、中国スマホメーカーは今後、新たな課題に直面することになりそうだと記事は指摘しています。

米企業、インド進出再び

 一方、米企業のインド進出が活気づいているのでしょうか。米アルファベット傘下のグーグルは、インドでのスマートフォン「Pixel(ピクセル)」の製造に向けインドで組み立てるパートナーを探しているといいます。

アップルに倣え、グーグルもインドでスマホ製造目指す-関係者 - Bloomberg

 記事によると、グーグルが協議している提携候補の企業は、インド国内の製造業を後押しするためモディ政権が打ち出した、生産連動型の金融優遇措置の対象になっているそうです。先行するアップルと同じ手法を利用しているといいます。

 モディ政権は世界的なテクノロジー企業にインドを中国に代わる製造拠点として売り込んでいるといいます。

 そのモディ首相は米国を6月に訪問、バイデン大統領とともにホワイトハウスで、アマゾンやグーグルの経営幹部と面談、その後、アマゾンは投資計画を発表したそうです。2030年までにインドに150億ドル(約2兆1600億円)を投資するといいます。

 

 

日本企業

 スズキ、ダイキンなどを始め、すでに多くの企業がインドに進出していますが、もっと活発になってもいいのではないでしょうか。

【直言】日本人よ、成長のエネルギーに満ちあふれた国に行こう

インドでビジネスをすることは簡単ではありません。確かに課題だらけです。が、足りないものがたくさんある分、市場が広がる、伸びる可能性を秘めています。(出所:NEWSPICKS)

 この先、グローバル・サウスが成長し、GDPトップ10に多くの国がランクインするようになるといわれます。一方、日本は2075年に、トップ10から陥落すると予測されているそうです。そうならないように積極的に進出すべきではないかとの意見が強くなっているようです。

 そんな中、花王が中国での紙おむつの生産を終了させ、国内回帰すると発表しました。

花王、中国での紙おむつ生産終了 構造改革費用600億円 - 日本経済新聞

 昨今の情勢からすれば中国撤退との判断は適切なのかもしれませんが、それだけで終わらせてよいのでしょうか。グローバルサウスへの進出をどう考えているのか、気になります。

 

「参考文書」

インド、あくまで「我が道」 西側の準同盟国にはならず - 日本経済新聞

【ルポ】明日の大国・インドで目にした「急成長」の現場

アマゾン、インドに2.1兆円追加投資-グーグルは技術センター開設へ - Bloomberg

 

分断化に発展しそうな米中関係、処理水問題で深刻化しそうな日中関係

 すっかり米中対立が定着し、かつての冷戦体制下に戻っていくような勢いです。ただ当時と違うのは、グローバルサウスという新興勢力が台頭していることで複雑さが増しているようです。

 それに加えて、米国が度を過ぎて振舞っているような気もします。

 内政においては、クリーンエネルギー技術への投資を促進する政策を進めていますが、米国内に新たなビジネスチャンスを生み出し、また、再生可能エネルギー価格の引き下げにつながるなど、そのメリットは大きいと言われます。一方で、保護主義的な要素も強く、特にEV政策においては、EV購入時の税控除が北米で組み立てられた車に限定されていることより、日欧韓など同盟国の企業が打撃を受けるといわれています。

 

 

 そればかりではないようです。外交においては表面上、対中国の安全保障上の脅威を取り除くデリスキング政策を進めていますが、実際は全面的に経済関係を見直すデカップリングではないかとの見方もあるようです。

米中貿易摩擦と世界経済の下方リスク|2023年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)

 対中政策で違いをみせる欧州諸国に配慮し、そう説明するだけでなのではないかと専門家は指摘します。

バイデン政権は、安全保障上の脅威という観点だけでなく、中国に流れた米国企業の投資や、中国からの幅広い製品の流入が、米国の中間層の雇用、所得環境を損ねてしまったことを問題視しているのである。(出所:野村総合研究所

 この危惧が現実化すれば、世界市場の分断化がさらに加速し、世界経済の成長率の低下など、大きな経済的損失をもたらす可能性があるといいます。また、中国経済の回復が遅れ、苦境に立つ中国の状況を好機とし、米国が中国への投資、輸出規制措置を一段と拡大させていけば、中国経済の失速リスクはさらに高まるだろうといいます。

 それは米国にとって好都合なことかもしれませんが、日本を含め米国以外の国にとって最善ということではないのでしょう。

米中両国と経済関係が密接でありかつ自由貿易のリーダーを自認する日本は、2つの大国の決定的な対決を回避するため仲介に動くのに、最も適任と言えるだろう。バイデン政権の対中政策が、デリスキングからデカップリングへと進んでいかないよう、しっかりと目を光らせ、必要に応じて米国の動きに歯止めをかけることが、日本に期待されるのではないか。それは、中国を中心にアジア地域と強い経済的関係を持つ日本の国益にもかなうものだ。(出所:野村総合研究所

 ごもっとな指摘なのでしょう。米国に盲目的に追従していれば、日中関係が必要に以上に悪化していくことは火を見るよりも明らかなことです。

 

 

対立に拍車をかけそうな処理水の海洋放出

 福島第1原発の処理水の海洋放出について中国が反発を強めています。この影響で、中国市場から日本産水産物が消え始めているそうです。また、それは水産物だけにとどまらず、広範な商品にも及びはじめているといいます。

水産物もお菓子も…「日本産食品」が店先から消えていく 中国政府の宣伝工作で不安が急拡大:東京新聞 TOKYO Web

 その背景には、中国政府や官製メディアの宣伝工作によって日本産食品への不安が急拡大しており、「日本ブランド」に傷がつきかねない事態ともいいます。

「処理水放出が始まれば、一時的に全ての日本産食品の輸入が止まることも覚悟している」と頭を抱える。食品業界の関係者も「日本産は菓子や飲料のほか、雑貨でも通関に時間がかかっている」と明かす。水産物以外にも放射性物質検査の対象が広がっているもようだ。賞味期限が短い商品は小売店の棚から外される可能性があり、問題が長期化すれば中国産の商品に置き換わっていく懸念がある。(出所:東京新聞

 

 

 良い悪いは別して、それが中国という国なのでしょうし、日本と同様に政府が決定すれば、国民はそれに従わざるを得ないのでしょう。

 対立が深まれば、それがかえって自分の首を絞めかねません。色々事情があることは理解しますが、日本政府はもう少し賢く、誠実に、そして謙虚になるべきなのかもしれません。

 

「参考文書」

報復合戦の回避を 対中摩擦激化で―米専門家:時事ドットコム

 

中国離れを進める日米欧、グローバルサウスを巻き込んで拡大するBRICS

 中国を取り巻く事情が複雑化しているのでしょうか。G7各国が中国離れを進めるようとする一方で、それとは異なる動きもあるように見えます。単純な対立構図による二極化ではなく、世界はもっと複雑化していくのでしょうか。

新興国、反欧米に染まる日 渦巻く植民地時代への怒り - 日本経済新聞

 記事によれば、グローバルサウスと呼ばれる新興・途上国の行動が、世界秩序の将来を大きく左右する可能性があるといいます。その代表格である、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アからなるBRICSに、22カ国が加盟を申請し、加入に関心を示している国々もほぼ同数にのぼるようになっているそうです。

 

 

 中国との2国間取引では、ドル離れが加速し、中国の通貨・人民元での決済が広がっているそうです。

中国の2国間決済、人民元初の米ドル超え 23年4〜6月 - 日本経済新聞

 記事によれば、人民元建ての割合は2023年4〜6月期に49%となり、初めて米ドル建てを上回ったといいます。

資本市場の開放やロシアとの取引拡大の影響が大きい。世界全体の決済では人民元比率は3%弱にとどまるが、「ドル離れ」が進み始めた。(出所:日本経済新聞

 これが世界の現実なのでしょうが、肝心要の日米欧は対立軸を強化するばかりになっていないでしょうか。

加速する日米欧の中国離れ

 米銀行大手JPモルガンやの同じく米国の電気自動車大手のテスラは、表向き米中経済のデカップリング(切り離し)に対する拒否感を示しているといいますが、これとは別に中国離れの動きも強まっているといいます。

外国企業で進む「中国離れ」 口先とは裏腹の現実 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

日本、韓国、欧米のマネーは中国以外の投資先を求めている。かつて独立性が高くリベラルな「特別行政区」であった香港では、中国政府の統制強化に反発した数十社がシンガポールなど他のアジア地域に拠点を移した。米物流大手フェデックスもそのうちの1社だが、多くは金融関連企業だ。(出所:Forbes)

 この他にも、韓国サムスン電子や米アップルなどを含めて70社ほどの企業が、中国から他のアジア諸国、特にインド、タイ、台湾、ベトナムに事業を移す予定にあるといいます。

 こうしたことは中国指導部の動向を反映したものであり中国の権威主義体制の結果であると記事は指摘し、中国政府が事態を好転させる方法を見いだすとは考えにくいといいます。

 

 

 

「中国に賭けるべきか、それとも離れるべきか」と日経クロステックは問いかけます。

中国に賭けるべきか、それとも離れるべきか | 日経クロステック(xTECH)

 記事はどっちつかずとの論調のようです。大きな市場があって、大きな売上がある、それが誘因となって中国に賭けるのも悪くはないのでしょう。ただいつ駄目になってもいいとの覚悟があった方がいいのかもしれません。それによってどれだけの損失が生じるかを把握し、それに備えたリスク回避策を考えておけばいいだけのようにも思えます。

 さて、日本政府は中国の関係をどうしていくつもりなのでしょうか。いつまでも米国追従のままなのでしょうか。

 

「参考文書」

米中冷戦によって影響を被る業界を知っておく:日経ビジネス電子版

一帯一路参加「ぞっとした」 対中輸出に資せず―伊国防相:時事ドットコム

 

 

マイナンバーカードの混乱、進まぬ医療DX、ますます遅れる国の改革

 健康保険証とマイナンバーカードを一本化する政府方針が揺らいできたそうです。

 報道によれば、国会の閉会中審査で与党が政府批判を強めているといいます。ただそれは支持率が下落していることが理由といいます。

保険証廃止、狭まる包囲網 与野党から批判、岸田首相近く発信:時事ドットコム

「わが国の医療DXは待ったなしだ」とデジタル相が理解を求めたのに対し、与党議員はは納得せず、「理解を優先すべきだ」と返したといいます。

 未だ国の基礎的財政収支が赤字で、歳出削減が求められる中、医療DXが経費削減につながるのであれば、デジタル相の意見も一理ありそうです。

 ただ中味が不明確で、どの程度の経費抑制が可能かを明確にし、それによって社会保障費がどの程度安定化するとかの説明があるべきなのではないでしょうか。

 

 

医療DX

 電子カルテが導入されていますが、病院では未だに多くの紙を使用しているといいます。受診から検査結果、同意書、診断書、紹介状、難病申請などの行政文書が、紙ベースで行われているためだといいます。

医療DX化の推進!より良い医療の未来を目指して

2024年中には、クラウドに医療情報を格納し、マイナンバーカードで紐づけ、医療機関が情報にアクセスを開始します。病院間で電子カルテを共有すれば、紙を扱う場面も少なくなる。患者さんにとっても、別の病院で同様の検査を避けることができ、負担や医療費を抑えることができます。(出所:NEWSPICKS)

「DX」デジタルによる変革には手間がかかる上、その上、効率化できた後に診療報酬が減額となるようであれば、抵抗勢力が現れるのかもしれません。既得権益に関わることで政治的には表立って、それを口に出せないのでしょうから説明もまた曖昧になるということでしょうか。

赤字が続くプライマリーバランス 

 こんなことを続けているようでは、いつまで経ってもプライマリーバランス 基礎的財政収支の黒字は難しくなりそうです。政府は25年度の黒字化目標を維持しているそうですが、先日の試算では25年度のPBの赤字額が1.3兆円となったといいます。

税収増でも2025年度は赤字 プライマリーバランスで内閣府試算 - 日本経済新聞

 首相は、脱炭素や人への投資などで生産性を高めて歳出改革を続ければ、25年度の黒字化が視野に入ると述べたそうですが、どうなのでしょうか。

 PBは社会保障や公共事業といった政策に必要な経費を借金に頼らず、税収でどのくらい賄っているかを表しているといいます。

 金融政策の変更も懸念材料に上がってるそうです。税収で返済しなければならない普通国債残高は1000兆円を超え、長期金利が上がれば、利払い費の膨張で各種政策に使える予算が圧迫されるそうです。早期の黒字化に向け歳出削減が欠かせないのでしょう。

 

 

最低賃金

 最低賃金の引き上げが約30年ぶりに前年度比4%を超え、全国平均で初めて時給1000円以上となるようです。政府目標は達成するものの、他国に比べ見劣りし、生活改善の実感を得られるかも見通せないといいます。また、中小企業は慎重な態度を崩さずにいるそうです。

最低賃金、1000円以上へ大詰め 中小企業は慎重 - 日本経済新聞

 国の改革は進まず、将来不安を残したままです。そんな中、企業に厳しい要求を突きつけるのでは無理があるのではないでしょうか。

 国が健全であれば、それが社会に良い影響を及ぼすのでしょう。そうは単純にはいかないかもしれませんが。それでも国が不健全で、企業や社会が健全であることはないような気がします。

 

「参考文書」

FRB暴落救わず、持たざる者との衝突や米中も-次の重大リスク - Bloomberg