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米国を目指すGUと、円安なのに米国から撤退するニトリ

 

 家具・日用品販売大手のニトリが「米国事業から2023年4月までに撤退する」と発表ししたそうです。日本で大成功しているビジネスでも米国では通用しないということでしょうか。

 一方、ユニクロを展開する衣料品大手のファーストリテイリング傘下で、低価格帯のカジュアル衣料品を扱うGU(ジーユー)が10月、米国で初めて期間限定のポップアップストアをオープンさせたといいます。

 GUのポップアップは米国市場へ進出するための前段階のようです。米国は、いうまでもなく世界最大の市場、先に進出したユニクロブランドが米国市場に手応えも感じていることがその背中を押したようです。

 去る者がいる一方で、新たに進出する者もいる、ということでしょうか。昨今の円安トレンド、また縮小する日本市場からすれば、海外進出は避けては通れそうにありません。

 

 

 米国に進出すれば、激しい競争に晒されることは避け得ないことなのでしょう。現地には大手小売りチェーンや米アマゾン・ドット・コムなどのインターネット通販などひしめいています。ニトリの撤退は、こうした競合との争いに勝算がなかったことが理由のようです。

ニトリが米国撤退 1号店視察で感じた“深刻な懸念”が現実に:日経ビジネス電子版

ニトリの米国店である)アキホームは競合店に対して、どう差別化するのか、見えにくい。米国人も日本製品は好きだが、『アフォーダブル(手ごろな)・プライス』で、競合店より集客できるとは思えない。一方で低価格を武器にすると、客層が悪くなる。返品も予想以上に増える。日本人の多くは米国人の返品を甘く見積もっている。『誰が顧客になるのか』を考えても、ニッチな層しか思い浮かばない」(出所:日経ビジネス

「一体米国で何を見て、何を学んだのだろう」。

 ニトリは毎年、社員を渡米させ、米国小売りチェーンの実態を熱心に研究しているイメージがあったそうですが、アキホームの実態を見ると、そうした疑問が沸くと記事は指摘しています。日本で名経営者といわれる人が必ずしも米国市場で成功することはないとも言います。

 

 

 一方のGUは準備万端整えてからの米国進出という流れでしょうか。

ユニクロの姉妹ブランドであることを隠す必要はありません。ただ、前面に出すつもりもありません。『姉妹ブランド』という自己紹介ではなく、『GUはこういうファッションブランドです』と見せる。その上で、ひいきも先入観もなしで、純粋に米国のお客様の審判を受けたいですね。(出所:日本経済新聞

米国でブランド力鍛えるGU ファストリの「屋台骨」へ: 日本経済新聞

 世界のトレンドや好みが似る方向に変わっていくのに対し、日本だけが好みが異なることがあるといいます。

『日本はガラパゴスになっている』と気づくことがあるとGUの柚木社長はいいます。

 日本人が好む体形や肌を出さないスタイルと、グローバル市場が求めるものを共通化することに苦労があるそうです。

その解決策が、キュレーション(収集・選別・編集)して品目を絞り込むこと。いかに商品の種類数を増やさずに、本質的な良さと時代背景を捉えた最大公約数を定めるか。お客様から見たら、商品の種類がたくさんあるのは1つの価値だと思います。一方で、形も色も組み合わせが全部計算されていてバランスのいいものに商品が絞られていることも大切です。(出所:日本経済新聞

 

 

「日本人相手にはある程度キュレーションできるようになりました。それを東アジアでも展開し、次は米国です。キュレーションの技の範囲が広がり、難易度が上がると、ブランドはどんどん磨かれていきますよね」とも柚木社長は語っているようです。

「郷に入っては郷に従え」ということでしょうか。その土地土地に慣習があり、文化があります。自分の価値観と異なっていても、その土地の風俗にあった行動をとることが何事においても寛容なのでしょうか。

ただ、キュレーションの仕方を間違えるとつまらなくなる。数を絞っているので、ビジネス的にはリスクもあります。考えるのは大変ですが、誰もまねしたいと思わないようなことをやらないと。(出所:日本経済新聞

 円がついに150円を超えました。32年ぶりのことといいます。当時はバブル期で、円を売って、米国の資産を物色していたことで円安が進んだといいます。

 今は逆で、円が安くなったことで日本の資産が買いたたかれそうです。外貨を稼いで、円を買い戻さなければならないのでしょう。

 国内市場にとどまっていては外貨は稼げません。

 小売りの優等生 ニトリの米国撤退は残念なことです。これも学び直しのヒントになるのではないでしょうか。海外市場で成功する秘訣みたいな知識を身につけることができれば、いろいろな効果が期待できるそうです。まして、ファーストリテイリングの好事例があるのだから。