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脱ロシアで原子力は必要なのか、活用すべき再エネの成功事例

 

 岸田首相が英ロンドンのシティーで、エネルギーのロシア依存度を低減するためにと、再生可能エネルギーに加え、原子力の活用に言及したという。

 一方で、太陽光発電でつくった電気が余る事態が各地で頻発していると日本経済新聞が報じた。再生可能エネルギーを無駄にしないためにも送電網の整備が急務と指摘する。

 また、日本各地で小水力発電の設置が進むようになってきた。兵庫県宍粟市の黒土川にも小水力発電事業のための工事が進んでいるという。神戸新聞NEXTによれば、発電された電力は電力会社に売り、収益の一部は地域活性化や森林保全に活用するという。

小水力発電へ合同会社、地元住民10人が設立 黒土川、収益の一部は地域活性化に 事業資金募る|西播|神戸新聞NEXT

 黒土川では大正12年から約20年間、水力発電が利用され、家庭の電灯用として供給されていたという。今回は約50世帯の年間使用量ほどの電力が発電できるという。規模は小さいが、塵も積もれば山となる。こうした積み重ねで化石燃料への依存を減じて行ってもいいのではなかろうか。

 

 

愛媛県内子町バイオマス発電所の建設始まる

 愛媛県内子町は2007年にバイオマスタウン構想を掲げ、町内各所でバイオマスの利活用が進んでいるという。そうした中、地域内における新たなエネルギーと経済の循環を構築するため、バイオマス発電所の建設が始まったという。

愛媛県内子町において地域連携型の「内子龍王バイオマス発電所」の建設に着手|プレスリリース2022|情報一覧|竹中工務店

 この発電所では、内子町森林組合に出材された原木約3,600t/年の間伐未利用材から製造されるペレットを燃料に用いるという。発電した電力は固定価格買取制度(FIT制度)を利用して四国電力送配電へ全量売電し、発電時に発生する熱は隣接する内子町龍王公園内の施設へ供給し、エネルギー効率をアップさせるという。

(画像:竹中工務店

岡山県真庭市バイオマス発電は全市を賄う

 岡山県真庭市では「真庭バイオマス発電所」が2015年4月に運転を開始した。真庭市の8割を森林が占め、木材加工がさかんという。製材後に出る端材や、森林で大量に発生する間伐材の有効利用を目指してこの発電所が始まったという。木材の調達能力を地域ぐるみで整備したそうだ。

バイオマス発電を支える地域の木材と運転ノウハウ (岡山県・真庭市) | シリーズ No.2 | 自然エネルギー財団

 自然エネルギー財団によれば、この発電所では1年間に7920万kWh(キロワット時)の電力を供給できるという。一般的な家庭の使用量(年間3600kWh)に換算すると2万2000世帯分にのぼり、真庭市の総世帯数(約1万8000世帯)を上るそうだ。バイオマス発電だけで電力の自給率が100%を超える状態を実現したという。

 

 

 脱ロシアを材料に原発の有効活用に言及すれば、説得力があるのかもしれない。国際的な協調の意味合いでそう述べているのであれば、理解できないことではない。ただ、その言葉がひとり歩きすることはないだろうか。

 先駆的な良き再生可能エネルギー導入の成功事例は数多くあるようだ。手間がかかるかもしれないが、こうした事例を水平展開した方が、原発を再稼働させるために費やす時間より遥かに短いのかもしれない。

 現実を直視し、そこにある課題の解決を図りつつ、わかり易い説明がリーダーには求められるのではないだろうか。

 

「参考文書」

サステナビリティを体感できる、真庭市の「バイオマスツアー」とは | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

太陽光で広がる「電気余り」 東北電など出力抑制: 日本経済新聞

ロシア依存低減へ原子力活用、エネルギーに10年で150兆円投資=岸田首相 | ロイター