「LiDAR(ライダー)」、レーザー光を照射して周囲の物体までの距離を高精度に測定する自動運転の目となる部品です。この部品において、中国企業の存在感が強まっているそうです。特許出願数で日米企業を大きく上回り、市場シェアも過半を握るようになったといいます。
自動運転の「目」、中国が特許首位 ボッシュは開発中止 - 日本経済新聞
中国では電気自動車(EV)の開発競争が激しく、差異化のためにライダーを使った運転支援の高度化が進む。日米欧企業の動きは遅く、独ボッシュなどが開発から撤退し始めた。(出所:日本経済新聞)
理由はともあれ、ありとあらゆる分野で、中国企業の躍進が続いているということなのでしょうか。
AI研究
欧米諸国が世界をリードしているはずの生成AIの開発においても、トップ研究者のほぼ半数が、中国出身であることが報告されたといいます。
世界のトップAI研究者の約50%が中国出身であることが判明 - GIGAZINE
米国のポールソン研究所のシンクタンク MacroPoloが、AI・機械学習分野の国際会議「Neural Information Processing Systems」が受理した論文を調査した結果、判明したそうです。中国でAI人材の国内プールが急速に拡大すると共に、自国のAI産業の需要も増大していることを示しているといいます。
日刊紙のニューヨーク・タイムズは、「中国がこれほど多くのAI人材を育成できたのは、AI教育に多額の投資をしたことも一因です」と指摘しています。(出所:GIGAZINE)
人材が育たなければ、研究も開発も進まず、ましてそれがビジネスに昇華することもないのですから。
米国防総省が抱く懸念
米国防総省が「中国テック企業の台頭」に懸念を示しているそうです。
「中国テック企業の台頭」が米国防総省の懸念となる理由 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
米国内の一部の製造業者は新しい技術に多額の投資を行っているが、中国との競争に敗れつつあることを示す根拠がある。中国企業は往々にして米企業より先にドローン(無人機)のような新しい市販品の市場投入を行ったり、米企業が張り合えないような価格で商品を販売したりしている。(出所:Forbes)
そればかりでなく、ソフト、AI分野においても中国企業が挑み始めていることに懸念をもっているようです。米ビッグテック、超巨大テクノロジー企業もうかうかしれいれば、ハードウェアの二の舞になりかねないというところでしょうか。
中国から流入するIT人材
日本で働く中国人のIT技術者が10年間でほぼ倍増しているそうです。IT技術者の国外脱出を後押している中国側の事情もあるようですが、IT技術者の不足という問題を抱える日本側の事情があるといいます。
日本企業は選ばれたのか?中国人IT技術者が10年で倍増 給料が下がっても国を出る人たちの思惑:東京新聞 TOKYO Web
先の40代男性も「求められる技術レベルは高くない」と話し、技術面で日本から学ぶことが少ないと示唆する。男性の給与は以前より3割近く下がった。中国メディアの記者は「技術者にとって日本で働くことは賃金面での魅力は薄く、日本語の壁は高い」と語る。(出所:東京新聞)
一方で、技術の流出を懸念する人たちもいるようです。日本が優位性を保っている領域もあるのでしょうけれど、大いに学ぶべきこともありそうな気がしてなりません。批判もあるのかもしれませんが、上手に利用すべで、そうでないと太刀打ちできないほどの差が開くなりそうな気もします。
「多様な背景の人材から、さまざまな発想を学ぶべきだ。むしろ日本企業が選んでもらえるかということが問題」と、専門家も指摘しているといいます。