Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

【廃植物油もプラに】増えそうなマスバランス方式を活用した環境配慮型プラスチックス

 

 プラスチックスを製造する化学メーカの脱炭素化に向けての活動が加速しているのでしょうか。

 ポリオレフィン系プラのプライムポリマーが、マスバランス方式を用いた環境配慮型製品やリサイクル材の取り扱いを2030年に、20万トン超に増やすといいます。

プライムポリマー、サステナ製品で20万トン超へ、再生材など増産 - 化学工業日報

 化学工業日報によると、車部品や樹脂袋・PETボトルキャップなどのマテリアルリサイクルで10万トン、ケミカルリサイクルやバイオ原料由来で12万トンのポリオレフィン製造を目標に掲げているといいます。

 

 

 マスバランス方式を用いたバイオマスプラ関連の生産も増えているようです。

 三井化学によれば、ISCC PLUS認証(国際持続可能性カーボン認証)に基づいたマスバランス方式とは、原料から製品への加工・流通工程において、ある特性を持った原料(例:バイオマス由来原料)とそうでない原料(例:石油由来原料)を混合させる場合に、特性を持った原料の投入量に応じて、製品の一部に対し、その特性の割り当てを行う手法といいます。

三井化学 大阪工場 BPAプラント(写真:三井化学

 三井化学はフェノール事業において、このマスバランス方式による環境配慮型製品の販売を強化するようです。

三井化学と帝人がプラスチックのバイオマス化を実現する製品の市場展開に向けた取り組みを開始|2022|ニュースリリース|三井化学株式会社

 昨年21年12月からナフサ分解装置「ナフサクラッカー」に、石油由来のナフサに代わり、廃植物油および残渣油などを由来とするバイオマスナフサの投入をはじめ、バイオマス誘導品の生産を開始したといいます。フェノール事業においては2024年3月末までにISCC PLUS認証を終え、販売開始することを目標に進めているといいます。

 これまでに、フェノール、アセトン、BPAおよびα-メチルスチレンの4製品で認証取得が完了しているそうです。

 

 

 帝人三井化学からこのバイオマスBPAを調達し、同じくマスバランス方式でバイオマスPC(ポリカーボネート)樹脂の生産を2023年前半に始めると発表しました。

帝人ポリカーボネートペレット(写真:三井化学

 すでにリサイクルPCは市場に流通し広まりつつあるといいますが、環境負荷の低い製品にも期待が寄せられていることが背景にあるといいます。

 

 

 脱炭素に注目が集まるようになり、廃食油などの活用がさかんになっています。膨大の量が家庭や産業界から排出されているといいますが、こうしたリサイクルによる活用が増えることで奪い合いが起きたりすることはないのでしょうか。

東京を油田に。地域電力で環境と地域をハッピーに。世界の「環境の英雄30人」に選ばれた起業家 | SHIFT lab

「東京油田」という言葉があるようです。家庭から排出される廃食用油を回収し、バイオディーゼル燃料「VDF(Vegetable Diesel Fuel)」を生産しているといいます。

 こうなると東京があたかも油田のように見えるのかもしれません。こうした活動とも上手に共存できるようになればいいのではないでしょうか。

 

「参考文書」

ポリカーボネートのバイオマス化を促進、三井化学・帝人が共同展開 | 日経クロステック(xTECH)

【気候変動】海面上昇の危機、誰がPDCAを回して脱炭素目標をマネージするのか

 

 南極大陸の南極西部にある地球上でも最大規模のスウェイツ氷河が、今後数年間で急速に崩壊する可能性があるといいます。その氷河の大きさはフロリダ州を上回るといいます。これがほんとうに崩落すれば、急激な海面上昇を引き起こす恐れがあるとそうです。

南極の「ドゥームズデー氷河」、崩壊なら数メートルの海面上昇も 「爪の先で」持ちこたえている状況と研究者(1/2) - CNN.co.jp

 CNNによれば、学術誌「ネイチャー・ジオサイエンス」に掲載されたその論文には「地球温暖化に伴い、スウェイツ氷河の海面下の基部が減退し、このまま融解が進めば、数メートルの海面上昇を引き起こす可能性がある」とあるといいます。

 これが地球温暖化の現実で、そう遠くない未来に起こり得ることとして認識しなければならないことなのでしょうか。

 

 

 カーボンニュートラルは不可避で、脱炭素を可及的速やかに推し進めていかねばなりませんが、国際情勢の大きな変化と異常気象が世界各地で頻発するようになり、その目の前の問題への対処が優先され、脱炭素が頓挫気味になっていないでしょうか。

 再生可能エネルギーの普及拡大は避け得ないものですが、それにも課題はあり、風が吹かなければ風力発電はできず、雨が続けば太陽光の発電量は落ちてしまいます。現実、英国では風力発電の出力不足が起きて、それをきっかけにしてエネルギー価格の高騰が生じたといいます。また、太陽光パネルは中国に大きく依存し、経済安全保障からすればどうなのかという問題を内在させているのでしょう。

脱炭素「移行」推進に工程表を、日本は先導役に 中空氏: 日本経済新聞

 日本経済新聞によれば、投資家たちが、排出量の多い分野の脱炭素化などを進める「トランジション(移行)」に目を向けるようになったといいます。その背景には、ウクライナ危機があるといいます。

十分なエネルギーを確保できなければ、人々の生活や人命にも関わりかねない。排出が多いからといって石炭をなくしてしまって本当によいのかという議論が起きている。(出所:日本経済新聞

 現実、熱波が襲った米国カリフォルニアでは、43.3℃を超えるような猛暑で、家庭や企業のエアコン使用が増え、電力系統に負担がかかり計画停電の瀬戸際に追い込まれてたといいます。

米加州、5日は計画停電を回避-今後リスク高まると当局警告 - Bloomberg

 ブルームバーグによれば、電力の不足分は最大3400メガワットに拡大し、それは複数の大規模発電所の発電量に匹敵するといいます。なんとも恐ろしいことです。

 

 

「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債(仮称)」、政府が新たな国債の発行を計画しているといいます。経済の「移行」が不可避となったということを自認したのでしょうか。しかし、脱炭素は自国一国のみで対応したところで、効果は限定的です。協力の輪を広げ、グローバルな対応が求められているのでしょう。

「石炭火力に依存するアジアでも「移行」のニーズは強いだろうと日本経済新聞は指摘し、移行分野で先行する日本は自国の取り組みを世界に打ち出し、特にアジアをけん引してほしいという。それはそれでよいことだし、是が非でもすするべきなのでしょう。

 そのためにはまずモデルケースに作らなければならないのでしょう。それは、徹底した省エネであったり、カーボンリサイクルをはじめとする高効率なリサイクルに支えられた循環型経済であろうし、場合によっては、経済をスローダウンさせる脱成長の経済モデルなのかもしれません。

 次のマイルストーンは2025年の温室効果ガスは排出46%減。企業だけではなく、政府と協力して進めるのが効率的なのかもしれません。ただ今の政府にその目標の達成に向け、PDCAを回してマネージ、管理する能力はあるのでしょうか。

 

データ重視になるばかりに人を道具にしていないか、忘れられた人間的考察の重要性

 

 高度成長期といわれる時代があって、日本は中進国から先進国の仲間入りをすることができました。その後のバブル崩壊を機に、「失われた30年」が始まり、経済成長から遠ざかっています。

 得意だったはずの科学的手法による生産性の向上や効率化がすっかり影を潜め、欧米諸国に追い抜かれてしまったようです。欧米ではこうした科学的手法がアップデートされ、最新化し、生産性の向上に大いに役立てのでしょうか。

 

 

不安だ、不安だ、と言いながら政府の補助金ばかり当てにして、現状維持にきゅうきゅうとしていては何も始まらない。いつまでも既存事業にしがみついて、前年度比業績アップばかり考えるのは、もうやめようじゃないか。(出所:JIJI.com)

 現状維持は「衰退死」であると作家の江上剛氏がJIJI.comで指摘しています。

破壊的イノベーション、日本を成長へ導くのはこれしかない【江上剛コラム】:時事ドットコム

 また、政治学者の白井聡氏の言葉を借りて、アベノミクスを「ごった煮」政策と批判し、経済成長に役立つと従来言われてきた政策を全部やったに過ぎないと、問題指摘します。

 一方、優良企業も、官僚主義、自己満足、リスク回避土壌など、組織的問題点を抱えていると指摘し、イノベーションの必要性を説きます。

イノベーションとは「経済成長の原動力となる革新、生産技術の革新、資源の開発、新消費財の導入、特定産業の構造の再組織化」ということ。すなわち、創造力を発揮してリスクをとり、新しいことに挑戦する意味なのだろう。(出所:JIJI.com)

 

 

 イノベーションというと、安易に革新的な製品やサービスのことを想像してしまいます。日本にもかつてはウォークマンコンビニエンスストアなどの幾多の輝かしいイノベーションがありました。しかし、そればかりに目を奪われてはならないのでしょう。

 高度成長期は長く続いたイノベーションの時期だったのかもしれません。「経済成長の原動力となる革新、生産技術の革新」によって支えられていたいってもいいのではないでしょうか。

 それ以前は、熟練工や事務のエキスパートが奮闘し、芸術的には優れたところはあっても、工業品としては「安かろう、悪かろう」で、その評価は惨憺たるものだったといいます。

 それが、生産技術や事務の処理技術が、科学的な手法のIE(インダストリアル・エンジニアリング)やQC(品質管理)を通じて進化、普及するにつれ、それまでのイメージは一新され、「安くて、良い製品」として世界を席巻するようになったといいます。

 日本のこうした成功がやがて欧米の研究対象となり、日本が用いた科学的な手法は欧米で進化し、「リーン方式」や「6シグマ」として活用されるようになります。こうした手法が今日の欧米での生産性向上の基礎をなすようになったのでしょうか。

 

 

「脱炭素」に「SDGs」、それに加え「デジタル化」、そうした新しい価値への移行がもとめられるようなっています。こうした移行もまた、やはり科学的な管理手法とそこから生じる創造性によって成し得ることではないでしょうか。

 かつて住友電工の北川会長は、「情報時代への移行は、IEを基礎とする管理技術と、コンピュータの活用を通じて行わなければならないし、創造性の基礎となるのもIEである」といい、さらに「それは模倣だけのIEであってはならないし、単なる技術としてIEをみるだけでもいけない」といっていました(参考:「IEの基礎」序文)。

IEの基礎

IEの基礎

Amazon

「GX」に「DX」、そして「SX」、〇Xという言葉をよく耳にするようになりました。「X」はトランスフォーメーション、変革を意味しています。

 こうした変革も科学的な手法抜きに推進することはできないのでしょうし、それには科学的な手法を一部の専門家のためではなく、みなが理解できるようにアップデートし、最新化すべきなのでしょう。

長く続いたイノベーションの時期だったのかもしれません。

 

目的を果さんとするマネージャは、人間および心理的過程の探究者であらねばならない。

間断のない知性の向上、複雑化する人間関係、企業の社会性増大、経営における人間の要素は、その重要性を無気味なほど増大しつつある

そして、そのことを計算にいれない管理システムは決して成功しないであろう。(引用:IEの基礎 藤田彰久)

 基礎の普遍的な価値は変化せずとも、変わりゆく時代に合わせて論理をアップデートさせる必要はあるのでしょう。また、科学的な手法によりデータをより重視するようになっても、人間的考察を忘れてはならないのでしょう。人を道具にして見てはならないはずです。もしかしたら、このことをおろそかにしてきたのかもしれません。

 

 

活気づく市場、代替肉が10兆円産業へ

 

 植物肉などの代替肉や代替乳の市場規模が世界で30年に10兆円を超えるといいます。大きな成長市場に育ってきたということでしょうか。

 環境意識の高まりや食の多様化、食糧安全保障などがその背景にあるようです。

 三菱ケミカルグループが、代替肉の素材ビジネスに参入するそうです。食品向けの乳化剤「シュガーエステル」や新素材を、植物肉や乳の味や品質を高める食品添加剤として供給するといいます。

三菱ケミカルG、植物肉向け素材に参入、味・品質向上配合剤を販売 - 化学工業日報

 素材系が整えば、参入障壁が低くなるのかもしれません。この市場が成長路線に入ることの現れなのでしょうか。

 

 

 代替肉の素材ももっと多様化すればよいのではないでしょうか。原料を大豆ばかりに頼れば、やはり供給面が心配になり、様々な悪影響が危惧されます。

 リアルテックファンドが、南国フルーツのひとつであるジャックフルーツを素材にした植物性代替肉を開発したシンガポールの企業Bali Grove Pte Ltdの出資したといいます。

 リアルテックファンドは、地球や人類の課題解決に資する革新的テクノロジーを有するスタートアップに投資するVCです。

リアルテックファンド、ジャックフルーツ代替肉を開発するシンガポール発ベンチャー、KARANAへ出資を実施|リアルテックホールディングス株式会社のプレスリリース

 この代替肉は「KARANA」という商標名で、既にアメリカやシンガポールで販売が始まっているそうです。

ジャックフルーツ(写真:リアルテックホールディングス)

 リアルテックホールディングスによると、ジャックフルーツは世界中で約100万トン生産されているといいますが、加工技術が進展しておらずその約6割が廃棄されているそうです。有効活用できるようになれば、植樹によるCO2削減や廃棄物の削減、農家の収入増加などのインパクトを生み出すこともできるといいます。

牛肉に近い細胞形状を持つジャックフルーツは、大規模な農園が不要でどこでも生える力を持ち、熱帯地域を中心に栽培され、日常的に食べられている果実です。食物繊維を多く含み、低脂質、コレステロールゼロと健康面でも優れており、さらには干ばつや害虫に強く、除草剤や農薬を必要としないという強靭さも兼ね揃えています。(出所:リアルテックホールディングス)

 

 

 代替肉は通常、「肉っぽさ」を再現するため、過度な添加物が使用され、また、全て植物による作られることが課題になっているそうです。

 この「KARANA」は、添加物を極限まで減らし、またジャックフルーツの特徴を活かして栄養バランスの良さを持っているうえ、低コストを実現できるといいます。

 世界の食肉市場の規模は200兆円あまりといいます。この先、どの程度が代替肉に置き換わり、温室効果ガス削減にどの程度貢献していくことになるのでしょうか。

 植物肉ばかりでなく、培養肉の工業化も急速の拡大していく可能性があるようです。

肉は“製造”の時代へ | 日経クロステック(xTECH)

培養肉は、環境負荷削減に加えて量や味を自在に制御できる可能性を秘める。まず、家畜を生かしたまま細胞を採取し、培養できる。家畜を増やさずに済むため、結果的に必要とされる水や土地、げっぷなどによるメタンガスなどが減らせる。さらに、感染症サプライチェーン分断などの外部環境リスクに左右されにくいため、食肉の安定供給が可能になる。(出所:日経クロステック)

 

 

 ただ工業化に向けてはコストが課題になるそうです。培養肉の無菌培養のためには、クリーンルームが必要となり、また、バイオリアクターや3Dプリンターなどの製造技術も欠かせないといいます。

 既にイスラエルの企業は、10m×10mぐらいの大規模3Dプリンターで培養肉を製造しているといいますが、もっと大規模な生産が可能となれば、さらにコストを抑えられる可能性があるといいます。

培養肉は「工業製品」、製造業のノウハウで先行者利益狙え | 日経クロステック(xTECH)

 培養肉は、細胞を部品とみなして組み合わせる、「細胞を使ったものづくり」から生まれる食品と、国内の第一人者である東大の竹内昌治教授はいいます。培養肉は「ものづくり」での新しい産業「ウエットウエア」になる可能性があるといいます。

 ただそのためには「技術の発展」、「文化の醸成」、「規制の構築」などの課題を解決していかなければならないようです。

 この先、目が離せないことになるのかもしれません。

 

「参考文書」

「ミートレス」の破壊力 200兆円食肉市場を脅かす: 日本経済新聞

 

DXの阻害要因は国のアナログ規制か、国のDXはどこまで進むのか

 

「DX」デジタルトランスフォーメーション、デジタルによる変革などと捉えると敷居が高く、後退りしたくなったりするのかもしれません。

 それでも「DX」が求められます。DXは短期的な稼ぐ力を獲得するものとも聞きます。

 様々な事例や取り組みストーリが紹介され、そのアプローチ、フレームワークなども解説されているのだから、導入が進まないことがある種、不思議でなりません。

DX推進と脱炭素社会の実現に向け、技術商社がメーカー機能を強化する理由 | 広告企画 | ダイヤモンド・オンライン

製造現場のDX推進は、人手不足や従業員の高齢化問題を解決するだけでなく、脱炭素・気候変動リスクへの対応という社会的要請に応えるものでもある。(出所:ダイヤモンド・オンライン)

 様々な企業が、こうした問題解決のためのソリューションを提案しています。情報を整理し、分類・比較すれば、自社のDXに役立つはずではないでしょうか。

 

 

 コンサルティング・ファームのアクセンチュアには、「ナレッジ・エクスチェンジ」という事例共有ネットワークがあるそうです。このネットワークを通じて仕事の相談ができたりもするといいます。

アクセンチュア流「成功の仕事術」とは ユニクロ、ソニーでも活用:日経クロストレンド

 こうしたネットワークが手軽に利用できれば、DXの推進もスムースの進みそうです。

 そうはいっても、現実にはなかなかうまく進めることができない....

 実際、DXは「一部の人たちだけがやっているキラキラした取り組み」でしかないといい意見もあるようです。世に言う「DX」とはまるで裏腹のアナログで、なおかつスピード感のなさに見事に期待を裏切られる取引先や顧客も多いといいます。

うわべだけの「キラキラDX」にだまされるな、取り組むべきは大企業病の治療だ - IT職場あるある:日経クロステック Active

 お化粧しただけのキラキラDXの事例を日経クロステック Activeが紹介しています。

「煩雑かつ重厚な書類手続きを求められる」

「今どき見積書も、請求書も紙に印刷して押印して郵送せよと言われる」

クラウドサービスを使ってスピーディーにコラボレーションしたいのに、セキュリティーを理由に門前払いされる」

「納品物は紙に印刷して、データをCD-Rに焼いて持ってこいと言われる……」

....「どこがDX先進企業だよ」。(出所:日経クロステック Active)

 

 

 国と関わるとこんな事例に巻き込まれてしまうことがあるのではないでしょうか。自分の経験からして、国の補助事業なぞはまさしくそのものでした。

 内閣改造でデジタル相に任命された河野太郎氏が、行政手続きの申請の際にフロッピーディスクなど特定の記録媒体の提出を求める法令が約1900条項あると明らかにしたといいます。

フロッピー提出求める法令1900条項 河野デジタル相、全廃に意欲 | 毎日新聞

 毎日新聞によると、河野氏はこうした条項をすべて撤廃する意向を示しているそうです。 ようやくとの感が否めません。スピード感をもって進めてもらいたいものです。

河野氏は会見で「クラウドなど新しい技術を阻害するものも結構あるようだ。古いアナログ規制を一掃する」と強調。今後は原則オンライン化を検討していくとし、岸田氏からも「どんどん進めてほしい」と激励を受けたと語った。(出所:毎日新聞

 まずは国が自ら率先してDXを進めるべきなのでしょう。それが起点となり、多くの企業に波及していくことになるのではないでしょうか。自然にDXに取り組めることになればいいのかもしれません。

 また、成功事例が増えれば、多くの企業にとって良い参考事例になっていくのでしょう。

 

グローバリゼーションに進化はあるのか、それとも経済安全保障を重視した国内回帰なのか

 

 ホンダが、国際的な部品供給網グローバルサプライチェーンを再編し、中国を切り離す検討に入ったといいます。

<独自>ホンダ、中国抜きのサプライチェーン構築へ - 産経ニュース

 ホンダにとって中国はグローバルサプライチェーンの要であったが、ゼロコロナ政策によるロックダウン(都市封鎖)で国内外の生産に影響が生じたことを受けた理由といいます。また、米中対立や台湾情勢の緊迫化など地政学リスクに対応する。中国国内では供給網を再構築し完成車の生産を続けるといいます。

 今さらとも感じますし、やはりそうなるのかとも思います。今後の動向が気になります。

 産経新聞によれば、ホンダの部品供給網に中国が占める比率は、1~5割程度で見直しは難航も予想されるといいます。一方、ホンダの昨年度の世界生産414万台のうち中国は162万台と大きな市場のため、中国内での部品供給体制を再構築して事業は継続するといいます。

 

 

 不確実性が増した世界で、グローバリゼーションが揺らぎ、終焉を迎えつつあるのではないかといわれます。

「グローバリゼーション」は死なず 米ハーバード大ロドリック教授:日経ビジネス電子版

 日経ビジネスによれば、貿易データから見ても、明らかにこれまでのグローバリゼーションが減速方向にあるといいます。

 新自由主義が拡がり、世界がグローバリゼーションを標榜するようになり、それに合わせて自国の社会を調整するようになったといいます。

 グローバリゼーションが目的で、社会が手段であるかのような考え方でこれまでであったといいます。

 しかし、世界が急速に変わり始め、もう1つの概念に回帰しつつあると日経ビジネスは指摘します。

いかに国内の包摂性(インクルージョン)を実現するか、いかに国内の強靱(きょうじん)な回復力を実現するか、いかに強固な公衆衛生システムを確立するか、さらにはいかに気候変動に対処するかといったことです。

 これまでのようにグローバル化それ自体を目的とするのではなく、上記のような新たな目的のために、グローバル化を道具としていくことが、これからのグローバリゼーションといいます。

 

 

 世界最大の工作機械メーカDMG森精機が思い切った給与改定を行っているそうです。2023年4月の新卒初任給を大幅に引き上げ、また既存従業員の給与は、新卒初任給の水準に合わせて22年7月に改定したといいます。

経営ひと言/DMG森精機・森雅彦社長「初任給引き上げ」 | 日刊工業新聞 電子版

 ドイツや米国の社員に比べ日本人社員の給与が低く、「これではいけない、経営者としての責務」と社長の森雅彦氏は考えたそうです。

 DMG森精機は、新しいグローバリゼーションの形を実践し始めているのでしょうか。

「ものづくり」という言葉を嫌い、「垂直統合こそ力」と森社長はいっているそうです。

DMG森精機社長、「ものづくり」という言葉が嫌い 垂直統合こそ力:日経ビジネス電子版

製造現場の効率化や製品の品質向上に向けたPDCA(計画・実行・検証・改善)や、P(計画)をS(標準化)にした「SDCA」には真剣に取り組んでいます。こうしたことは全然否定していません。

ものづくり、そしてことづくりも言葉自体が非常に良くないねということです。(出所:日経ビジネス

「職人であり、商人である」ことを京都や関西では「職商人」と呼ぶそうです。森社長は、これにヒントを得て「垂直統合型ビジネスモデル」を発想し、工作機械の製造だけでなく、ソフトウエア開発から販売まで、全てワンストップで手掛けるようになったといいます。

 

 

 職人による「ものづくり」が工業化の発展とともに分業化され、様々な部署が協力することでより効率的に生産できるようになりました。その進化が国際分業となり、これまでのグローバリゼーションだったのかもしれません。そして、これまでにない低コストを実現しました。

 しかし、その反面で異なる価値観が台頭し、対立が顕在化しています。

 これからは、デカップリング、こうした国をサプライチェーンから切り離した形にグローバリゼーションを進化させていくことになるのでしょうか。また、経済安全保障を鑑みた国内回帰の動きもあるのかもしれません。

 一方で、脱炭素や循環型社会など新しい産業では国内から始まり、分業から垂直統合に回帰し、異なったカタチでのグローバリゼーションが始まるのかもしれません。

 いつまでも同じ形であることの方が不自然なのでしょう。変え難い潮流に合わせた進化が求められるのでしょう。

 

「参考文書」

テスラ、日本で仮想発電所 電力系と組み戸建てに蓄電池: 日本経済新聞

工場が続々と国内回帰 円安だけではないその理由:朝日新聞デジタル

インドがコメ輸出を一部制限へ、厳しい国内供給で-世界市場にリスク - Bloomberg

 

劣化する日本、止まりそうにない物価高騰、悪化しそうな社会情勢

 

 政治と反社会的勢力が癒着しているようで気味が悪いと感じる今日この頃です。ここは野党の力を借りて、その流れを根絶しようとしてもよさそうですが、そうできないほどに悪影響が波及してしまっているのでしょうか。

 一方、7月の消費者物価が2.4%上昇し、4カ月連続で日本銀行が目標とする水準の2%を上回ったとそうです。

全国コアCPI2.4%上昇に伸び拡大、4カ月連続2%超え-7月 - Bloomberg

 これまでの急激な円安の進行もあり、今後も価格転嫁の動きは続く見通しといいます。

 あまり好ましい状況とは言えそうにありません。政府・日銀は手を打つべきと思えますが、心ここにあらずで、気も漫ろ状態なのでしょうか。  

 

 株式市場ではデフレ下で注目されていた銘柄群の上昇が目立っているといいます。消費者の節約志向が高まり、低価格商品の売れ行きが好調であることが理由といいます。

焦点:インフレ下で輝く「デフレの勝ち組」銘柄、値上げの成否で選別も | ロイター

 一方で、仕入れ価格の上昇にも直面、今後は値上げの成否が銘柄物色の鍵を握るとみられているそうです。

 また、多くの企業が経済対策が「必要」とし、足元の景気が減速していくことに懸念を示しているといいます。

8月ロイター企業調査:経済対策「必要」75%、財政出動や消費減税 | ロイター

光熱費の上昇が企業収益のマイナス要因になっていることから「原発再稼働による電力料金の引き下げ」(電機)を求める声や、物価高への対応策として、消費減税をあげる企業も複数あった。(出所:ロイター)

 経済情勢に好転の兆しは見えず、悪化方向にあるのではないでしょうか。こうした状況下でも国会が開かれないのはなぜでしょうか。まずは与野党の関係の正常化に努めてもらいたいものです。

 

 

 そんな中、トヨタ自動車は価格転嫁を避け、コスト増を耐え忍ぶ姿勢を示しているといいます。

トヨタ、資材高で続く減益 それでも値上げを我慢の理由: 日本経済新聞

 日本経済新聞によれば、海外市場では一部で値上げしているものの、国内市場では踏み切れていないそうです。「常識では考えられないほど、新車の納期が長くなっている。そういう中で値上げは申し訳なくてできない」のが理由といいます。

底堅い実需や円安の追い風があるにもかかわらず、半導体不足、中国・上海のロックダウン(都市封鎖)に伴うサプライチェーンの寸断、資材の高騰など、次々と襲いかかる外部要因に振り回されているのが、今の日本の自動車業界の実情だ。(出所:日本経済新聞

 一方、今年2月に「価格据え置き宣言」した「ワークマン」が、来年2023年春夏商品の価格見直しを検討していると明らかにしたといいます。

ワークマン、23年春夏で「価格の見直し検討」 円安や原料高に対応:22年秋冬は据え置き - ITmedia ビジネスオンライン

 円安や原料高、輸送費が高騰する現下の経済情勢を反映し、対応を図るそうです。

 明らかに潮目が変化してそうです。これまでの政府・日銀の経済対策を根本的に見直すときなのではないでしょうか。これ以上に政治の劣化を指摘される前に、ありきたりですが、行財政改革が求められるているのでしょう。こうしたわかりきっていることができないのなら、日本劣化のカウントダウンが始まりそうです。

 

「参考文書」

緊急告知‼「価格据え置き宣言」ワークマンは売上の6割を占めるPB品価格を維持 - ワークマン公式サイト