Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

オーバーシュートは防げるか 産業界のジレンマ

 

 収まらないコロナに少しばかりイライラを募らせる。初動対応の問題を指摘したところで、後の祭り、もう過去は取り戻せない。期待した記者会見も、相も変わらずの協力要請だし、記者との売り言葉に買い言葉やっているようでは、期待感が薄くなってしまう。どこを信用してよいやらと考えてしまうが、政府をリードする専門家チームと獅子奮迅する行政だけとなってしまうのだろうか。

 

 感染者数が1万人を超えた。

日本経済新聞は、「爆発的な感染拡大(オーバーシュート)を食い止められるか、なお瀬戸際にある」と報じる。

瀬戸際なのだろうか、もうかなり危険領域に入ったということはないのだろうか。

 

www.nikkei.com

 

今ある数字は2週間前の結果だと言われる。最初の緊急事態宣言が出る前あたりの状況が今の患者数ということであろうか。4月3日の記者会見で小池知事はイライラを募らせていたと思い出す。

 

緊急事態宣言ということについては、やはり、国が、乗り出していただくというのは、1つ大きな皆様へのメッセージになると思います。そして、このぎりぎりということですけれども、ぎりぎりがさらに続くと、ぎりぎりぎりになって、どこまでかという話になりますが、やはり数字なども見ながら、また状況などを見ながら、国としても、しっかりと乗り出していただくという、その構えはもうできておられるのではないか、また、国が経済対策を準備しておられるというのも、それと相まって、制度的な部分と、予算、それに対しての経済対策とセットで、お出しになると、それは東京都にとって非常に大きなパワーになると思っております。(出所:東京都 小池知事「知事の部屋」/記者会見(令和2年4月3日))

 

 4月7日に緊急事態宣言が発令されたことで、この先、感染者数の増加に鈍化するのであろうか。オーバーシュート回避の可能性はあるのだろうか。

もしかしたら、先に緊急事態宣言がでた7都府県では鈍化傾向があるのかもしれないが、自粛弛みがあったりしたようなので、その影響も出たりするのかもしれない。

 

www.metro.tokyo.lg.jp

  

 

 

 クラスター対策班は、必死に行動の8割減を説く。厚労省はコロナの診療報酬を倍増させ、医療従事者の確保に走る。産業界には医療関連品の製造をお願いしているようだ。石化メーカなどは国に従い対応するとプレスリリースで公表する。

  

jp.reuters.com

 

 出遅れていた繊維、プラスチックスなどの素材メーカも動き出した。

東レは、「マスク用不織布の国内向け供給体制の強化・拡充」と発表した。

東レによれば、マスク用不織布の増産を進め、ひと月あたりマスク約3千万枚分の供給を行っているという。さらなる増産を進め、日本国内メーカー向けの供給量を、今年5月からひと月あたりマスク約6千万枚にまで拡大させる。
また、国内でも、東レ滋賀事業場内にある不織布試験設備の量産対応化検討に着手、今年5月以降にひと月あたり最大でマスク約2千万枚分の国内供給体制確立するという。

加えて、医療関係の皆様に着用いただくための防護服についても、国内外を含めた生産・供給体制を早期に確立し、国内に供給していくと発表した。

 住友化学は、医療従事者が着用するディスポーザブルの医療用ガウン用ポリエチレンフィルム緊急かつ優先的に、政府の指定を受けたガウン縫製企業に供給すると発表した。

 帝人も「医療現場に向けた医療用ガウンの供給について」発表を行った。帝人によれば、4 月から 6 月にかけて、約 900 万着の医療用ガウンを供給、7 月以降には、さらに 1,000 万着の供給ができるように取り組みを進めるという。
また、国内の協力工場にこの輪を広げていくことにより、国内縫製の需要喚起につながることも期待していると発表した。

 

xtech.nikkei.com

 

 穿ったみかたかもしれないが、オーバーシュート前提で準備が始まっているとの見方はできないだろうか。

 法的にロックダウンできなくしてしまった。否応なし、苦肉の策としてのソフトなロックダウンが行動制限だったということなのかもしれない。

 が、その行動制限もなかなか目標の8割に届いていない。危機感は募る。ゆえにクラスター対策班があちこちに登場、行動8割減の必要性を説く。

 

アメリカでは、医療防護用品の価格が高騰しているようだ。

高機能の医療用マスクとされるN95を確保するコストは1個当たり0.38ドル(約41円)から5.75ドルにはね上がった。ビニール製の診察用手袋は0.02ドルから0.06ドルに、隔離用ガウンは0.25ドルから2000%増となる5ドルに値上がったという。再利用可能なフェースシールドは0.50ドルから4ドルの水準となった。

PPE製品の価格高騰を受け各州はここ数週間、連邦政府による統制不足が値段を激しく押し上げていると強い不満を示している(出所:CNN) 

 

www.cnn.co.jp

 

国内製造業復権の機会からもしれないが、国内工場を稼働させることは、行動制限に相反する。職場の安全を確保し、どれだけ協力できるかになる。SDGsCSRの類を超えた良識や道徳が求められることになる。

 

米アマゾンやアップルの卓越性ばかりが目立つようになる。アマゾンはフルフィルメントセンターにサーマルカメラを設置しスクリーニングを始めるとロイターが伝えた。

アップルとグーグルの接触追跡はいつリリースされるのだろうか。

 

jp.reuters.com

 

 コロナとの戦いは長くなりそうだ。

 

note.stopcovid19.jp

 

もう少しはやく動けなかったのだろうかと悔いても始まらない。今は、8割おじさんこと北大の西浦先生ら専門家チームに声に耳を傾け、従うしかないのかもしれない。

 

  

この機において、人命を救うことと経済を救うことは相反にはならない

 ロイターが伝えた前FRB議長の言葉を虚しく響く。 

 

 

 

「関連文書」

www.nikkei.com

 

f:id:dsupplying:20200419162926j:plain

 

拡がる支援の輪、そんな中、寄付よりストックオプション付与

 

 日本経済新聞が報じた「スタバやディズニーの料金「高い」本社調査」という記事に興味を持った。

 全国の約3500人を対象にし、日本経済新聞が身近な19品目のモノやサービスについて、「高いと思う」か「安いと思う」かを調査したという。

 スターバックスのラテは、回答者の53%が「高い」と感じ、アマゾンの「プライム会員」の年会費4900円は、44%が「高い」と答え、「安い」の20%を上回ったという。

 「安い」との回答があったものの言及はないのが残念。

 

「高い」とした人の割合が最も多かったのは東京ディズニーランドの料金だった。回答者の約8割が「高い」とし、「安い」は2%のみだった。「飲食代も高いし行けなくなった」(神奈川県の30代女性)とぼやく。(出所:日本経済新聞

 

www.nikkei.com

 

 コロナ危機下にあって、従業員の安全に配慮し、感染拡大防止に真っ先に配慮するのが、こうした「高い」と判断される企業たちであることが何とも表現が難しい。

 

 東京ディズニーランドは休業を続け、スターバックスも一部店舗で休業を続ける。

 

www.starbucks.co.jp

 

 日経記事は、「この20年間で米国の物価は約5割上がったが、日本はほぼ変わらない。日本の購買力が落ち、企業が少しでも値上げすると売れなくなるほど消費者はインフレに抵抗がある」と指摘し、低価格を強く求める日本の消費者の姿があるという。

 また、日本では同質性の高いモノやサービスであふれ、「生き残るには価格競争しかない状態が続いている」とも指摘する。

 

 日経の指摘の裏を返せば、国内には低価格競争を促す同質性の高いサービスばかりが溢れていると言っているように聞こえる。

 

 送料無料を出店者に強要しようとしたECプラットフォームがあったり、クポーンを乱発し飲食店に負担を強いるグルメサイトが勢力を伸ばし、低価格を誘導し、自社のみで利益を上げるために、出店者から搾取する構図であれば、日経の指摘はうなずける内容かもしれない。

 

 今、こうしたプラットフォーマー公正取引委員会の調査が入り、優越的地位を濫用し、出店者に不当に不利益を与えると疑われるケースがあるという報告書公取から発行され、正常な商習慣から逸脱している可能性があると指摘する。

 賢いと言われたビジネスモデルが結果的には経済を疲弊させる方向に導いてはいないだろうか。

 

 

 

 日本各地で苦境に陥る飲食店を支援しようとの輪が広がりを見せる。

 

 日本経済新聞によれば、「カカクコムは飲食店の検索・予約ができるグルメサイト「食べログ」で、持ち帰りが可能な飲食店情報の発信をはじめた」といい、「新型コロナウイルス感染拡大で影響を受ける飲食店の需要を見込む」という。

 また、「飲食店は店舗準会員に登録すると、持ち帰り情報を掲載できるようになる。準会員への登録や、持ち帰り情報の発信は無料」とも伝える。

 準会員登録ページではしっかり有料会員の勧誘も忘れない。

 

owner.tabelog.com

 

  京都では、京都市内のバーやカフェ、居酒屋などが一斉に自主休業し、その間の資金支援をクラウドファンディング(Camfire)で呼びかける「京都自主ロックダウン」が、スタートしたという。集まった資金は参加店舗で分配し、支援者には支援額に10%上乗せした食事券を配布して還元すると京都新聞が伝える。

 

www.kyoto-np.co.jp

 

 奈良県生駒市は、「さきめし」を利用した市内飲食店支援プロジェクトの公募を開始したという。

 

prtimes.jp

 

大手グルメサイトが真っ先にやってもよさそうと思ってしまう。

 

「出前サービスの英デリバルーや米配車大手ウーバー傘下のウーバーイーツは、新型コロナウイルスの世界的流行で取引先の飲食店が苦境にあえぐ中、抜け道を探ろうとしている。自宅待機している顧客に対し、料理だけでなく生鮮食品や食品雑貨を届けることで生き残りを図ろうというのだ」とロイターが伝える。

 

jp.reuters.com

 

米アマゾンは、家庭向けの必需品や医療関連用品など、需要の高い商品を、優先的に自社のフルフィルメントセンターに納品する措置を取っているとForbesは伝える。さらに同社によると、顧客からの注文増に対応するため、10万人を新たに雇用するという。

 

forbesjapan.com

 

国内のアマゾンは、ライフが扱う生鮮食品などのオンライン販売・配送サービスの対象範囲を拡大すると発表したという。4月11日から江戸川区葛飾区、江東区墨田区中央区の5区を配送エリアに追加し、今後も順次拡大させていく。プライム会員向けのサービスになるが、物流に負担はかかるが、この状況下にあって「三方よし」のサービスではなかろうか。

 

japan.cnet.com

 

 アマゾンは、公式ブログ「DayOne」で、世界各地のフルフィルメントセンターで実施している健康と安全管理の取り組みを公表している。

 

blog.aboutamazon.jp

 

また、「新型コロナウイルスの影響を受けたお客様、地域社会、社員の皆様への支援について」という内容の記事を公式ブログ上で公表している。

 

blog.aboutamazon.jp

 

楽天は、新型コロナウイルス感染症の対策に取り組む活動を支援するため、皆様からの募金を受け付けていると発表した。募金は、医療機関等への支援をはじめ、さまざまな新型コロナウイルス感染症対策の取り組みに活用されるという。

 

corp.rakuten.co.jp

 

 楽天三木谷社長が個人所有の大阪のホテルを軽症者受け入れに無償提供へするとNHKが報じた。

 会社としての寄付とかはないのだろうか。

 

 4月16日、楽天は、「当社の取締役で当社執行役員を兼務する者及び当社の執行役員に対する退職時報酬型ストックオプション新株予約権)の付与について」とのプレスリリースを発表した。

 業績向上及び株価上昇への貢献意欲を高めることが理由だという。

 

corp.rakuten.co.jp

 

 株主第一主義のままであろうか。昨今はステークホルダー資本主義、「三方よし」の時代と言われる。

意識のずれはないであろうか。

 

 

「関連文書」

dsupplying.hatenadiary.com 

 

 

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サスティナビリティが試されるとき、消えゆくビジネス

 

 未知のウィルスとは厄介なものである。過去の経験だけで解決することは出来そうにない。ベストプラクティスが存在しないといっていいのかもしれない。様々な専門家が意見を述べるがどれが正しいかは誰にもわかない。

 

 台湾では、1か月の間、新たな感染者がいないとロイターが報じた。少しばかり安堵するが、まだ警戒は緩めることは出来ないのだろう。

 

www.reuters.com

 

 ナショナルジオグラフィックが、「コロナ拡大がようやく鈍化、米初の感染者出たワシントン州」と報じた。

 しかし、一里塚に達したからと言って、この先の道のりが長くないわけではないと、専門家たちは強調する。

「私は人に説明するとき、『ピークに達した』というのは最初の段階を半分くらい過ぎた程度だ、と言っています」。ゴッドウィン氏はそう話す。「山を登り切ってあとはただ下ればよい、というものではありません。後半戦も前半戦と同じくらい大変なのです」

 多くの予測モデルは、ワシントン大学のものにせよ、他の研究機関のものにせよ、社会的距離を保つ戦略がしばらく続くことを前提にしていると、専門家たちは指摘する。 (出所:ナショナルジオグラフィック) 

 

natgeo.nikkeibp.co.jp

 

 やはり警戒レベルを引き下げることはできないということなのだろうか。治療薬が行きわたるまでは、元の状態に戻ることはできないと示唆しているのかもしれない。

 IMFの経済予測も厳しい。1929年の世界恐慌以来の落ち込み幅になると予測する。

 

 

 

  経済的な打撃はどの範囲まで及ぶのだろうかと想像してしまう。不要なものとみなされるものから影響を受けていくということなのだろうか。

 日経ビジネスの記事が、「外食業界、広がる食べログ不信 グーグルが忍び寄る」という記事を掲載した。この時期に、この内容かと思った。

 3月18日に、公正取引委員会が「飲食店ポータルサイトに関する取引実態調査について」という報告書を発行したことが背景のようである。

 

business.nikkei.com

 

 公正取引委員会の報告書を読むと、グルメサイトなどの問題点を指摘し、望ましい対応を列挙する。グルメサイトのビジネスモデルに疑問符がついたのかもしれない。

 

・アンケート及びヒアリングの結果を踏まえれば,飲食店に対し取引上,優越的地位にあるといえる飲食店ポータルサイトが存在する可能性は高い。

・優越的地位にある飲食店ポータルサイトが飲食店との協議を重ねることなく,一方的に契約内容の変更を行うことで,飲食店に対して,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える場合は,優越的地位の濫用となるおそれがある。なお,包括同意条項があることによって,不利な契約の変更であっても,受け入れざるを得ない状況がより発生しやすくなる。

➡ 飲食店ポータルサイトは飲食店に不利益を与えるおそれがあり,協議を必要とするような契約変更については,変更に当たり,根拠を示しつつ,改定までの期間を十分に設けた上で,飲食店から,十分に意見の聞取りを行い,飲食店からの意見が寄せられる場合には,その意見について,できる限り考慮することが望ましい。 (出所:公正取引委員会「飲食店ポータルサイトに関する取引実態調査について」

 

 勤めていた電機会社ではコンプライアンスについて厳しかった。定期的にeラーニングを実施、同じ内容を何度も繰り返して研修させ、徹底を図っていた。下請け法の徹底であり、優越的地位の濫用防止であった。

 

 公取から指摘を受けることなく、すべてのステークホルダーの便益が保護されるべきなはずなのに、自社の利益を優先するその姿勢に驚く。ビジネスの健全性が担保できなければ、必ずどこかで破綻を引き起こす。どこかのECサイトの先例もある。

 

 コンプライアンスが優先されることは当たり前のことであって、それも実行出来ない企業がSDGsやサスティナビリティを実現することなどはありえないことであろう。どこかで誰かが犠牲になったり、搾取しているのであれば。

 

 多くの飲食店が営業自粛し、お店のファンがなんとかサポートできないかと動く。

グルメサイトは、この今をどのように対応するのだろうか。

 厳しい状況下では、今必要でないものから切っていくしかないだろう。

 

 

 

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霧の中の未来予測 今、サスティナビリティは持ちこたえる力

 

 コロナで打撃を受けている産業が、次々とこの危機に対する支援の行動を始めたと聞くと少しばかりの安堵を感じる。ただ利益のみのためではなく、社会のために動く姿勢をみることができれば、ステークスホルダー資本主義への移行が進んでいるのかと感じることができる。

 米アップルには脱帽である。こう次々と様々なことができることにただ驚くだけだ。

 新型コロナウイルス感染者の濃厚接触の可能性を検出・通知する技術をグーグルと共同開発するという。

 

www.nikkei.com

 

 国内では自動車工業4団体が共同メッセージを発したという。記者会見した豊田会長の言葉をCar Watchが紹介する。豊田会長のは、冒頭、「先日の自工会の会見で私から、世の中にはコントロールできる話とコントロールできない話がある。コントロールできないことに深刻になればネガティブになる。自分がコントロールできることをしっかりやっていこう。コントロールできないことを誰かがやってくれていたら感謝しよう」と述べたようだ。

 

マスクの自給自足

 

医療崩壊をさせないため…少しでも役に立てること…
そのひとつ目は、われわれ、自動車産業の手でマスクを作ることです。しかし、これは、まだ、皆様にお届けするほどの品質も、数量も確保できておりません。クルマの部品から作ったマスクの最初の試作は、実際、ゴワゴワでした…。

 改良も進んでおりますが、先ず、これらは、自分達の身を守るために使ってまいります。その分、外からの購入を減らし、少しでも需給緩和に寄与できればと考えております。 (出所:Car Watch

 

car.watch.impress.co.jp

 

 豊田会長は現下の経済状況を、「足もとの状況は、本当に苦しいものがあります。人類がコロナの脅威に打ち克つ日は必ずきます。ですが、このままでは、それより前に、日本経済が疲弊し、崩壊しかねません。われわれ、自動車産業は、崩壊の歯止め役として、なんとか、お役に立ちたいという想いです」と語られた。

 

 

 

 そうは言いつつも足元苦しい中で、アフターコロナをどう予測し、その準備を始めているかは気になるところであるが、こうしたことは企業からのリークがなければ、なかなか予測が困難なところであろう。

 ロイターが、「日産自、中計で年間販売目標の100万台削減を視野=関係筋」と報じた。このような報道がふえるのであろうか。

 

jp.reuters.com

 

こうしたときに、やはり注目が集まってしまうのが、 米アップルということなのであろう。今年9月にはアイフォンの新機種発売が噂されていたが、この新機種関連の報道が始まっている。

 

www.businessinsider.jp

 

 Business Insiderは経済回復のいくつかのパターンを予測し、U字回復のシナリオが現実的と指摘し、アップルもそれに合わせて、アイフォンにリリース時期を遅延させるのではと予測する。理由は生産ではなく、消費者心理とする。

 

 Business Insider記事の元になったひとつである Nikkei Asian Reviewは、アイフォンに使用されるプリント基板のサプライヤーの声を伝える。

 

プリント回路基板に関連する部品のサプライヤは、「以前のように6月になるのではなく、8月末までにAppleの新製品の発売に合わせて大量に出荷するように通知されている」と語った。「この変更はごく最近行われたものであり、これは電話の大量生産も数か月間遅れることを意味する可能性があります。」

最悪のシナリオは、2021年までの発売を遅らせるだけで、Appleの製品リリースのロードマップを混乱させるだけではありません。

(出所:Nikkei Asian Review グーグルで翻訳)

 

asia.nikkei.com

 

 仮に、アイフォンの新機種のリリースが遅れる場合、新機種が発売されるまでの間がどうなるのかが気にかかってくる。

ロイターは、台北を本拠とするテクノロジーアナリスト会社の情報として、「2020年のiPhoneの総出荷予測を1億9800万に引き下げ、以前の予測2億400万から下げた」と報じる。また、ディスプレイサプライヤーからの生産動向情報を17%以上下方修正し、ベトナム工場のアップル指定の生産ラインで労働力を削減することも計画しているとも報じる。Nikkei Asian Reviewは5月頃にはAppleで何らかの判断があるだろうと指摘する。

 アップルから今年の売上予測もあるのであろうか。

  

 

 

 一部の情報だけで、経済の行方を予測することは難しい。ロイターは「FOGGY DEMAND OUTLOOK」という。コロナが正確な予測を困難にする。経済への影響はどこまで及ぶのだろうか。

 

 豊田会長は足元の経済環境が厳しいと指摘したうえで、終戦当時のトヨタを振り返る。

 

  経済環境も、冬が続いています。それも、かなり厳しい冬です。とにかく生き延びなければ、春を迎えることができません。

 私が生まれる前、終戦時の話ですが、戦争で、人も減り、工場も失ったトヨタは、それでも、なんとか生き延びていくために、作れるものは、なんでも作ったそうです。鍋やフライパンをつくり、更には、工場周辺の荒地を開墾して芋や麦までつくっていました。スバルでも、農機具や乳母車、ミシン、バリカン等、あらゆる生活品を作っていたとも聞きました。売るクルマがない販売店も、食器など、なにかしら生活に必要なものを仕入れ、人々に売っていたそうです。われわれの産業には、生き残るための粘り強いDNAがあるはずです。 (出所:Car Watch

 

 生き延びるため。必要なものは何でも作って売る。生活に必要なものを売る。

 コロナを終息させるために何でもやる。サスティナビリティ、持ちこたえる力。

 何も無くなったという終戦直後のようなことになるなんて想像もしたくない。そこまでいく前に、コロナが終息して欲しい。#SocialDistancing

  

「参考文書」

www.reuters.com

 

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このタイミングだったのか、トヨタの「医療現場や医療用品への支援」表明 

 

 ようやくトヨタが動く。こう言ったら失礼なのだろうか。

トヨタが「医療現場や医療用品への支援」と表明した。当局への配慮だったのか、当局から発表を抑えられていたのか、政府が「緊急事態宣言」発令が確定してからの支援表明に少しばかり違和感があった。

 多くの人がマスク不足に苦しみ、どれだけの人々が先行きに不安を感じているのだろうか。誰もが不安解消につながるニュースを待っている。海外で、多くの企業が支援を始めたという次々に報じられれば、なぜ国内大手企業のアクションは遅いのだろうと疑念が生じる。様々な制約があることは理解できことだが。

 理由はどうあれ、トヨタが支援表明したことを機に他の企業も呼応してくれればと思う。

 

global.toyota

 

生産活動用マスクの自社内生産による自給自足、需給緩和に向けた取り組み

社会的なマスク不足への対応として、生産活動においてグループ内で必要とされるマスクの自給自足を進めるため、自社施設内でのマスク生産を検討しております。市場からの調達量を低減することで、社会におけるマスク不足の緩和に少しでも寄与できればとの想いによるものです。

株式会社デンソーは、製造現場を中心に社内で必要となるマスクを自主生産することを決定。4月中の生産開始を目指して試作品の生産に着手しており、軌道に乗れば10万枚/日の量産が可能となる見通し
トヨタ紡織株式会社は、4月上旬より刈谷工場において生産を開始(1500枚/日)。順次、増産を図るとともに、5月以降は猿投工場に移管、1.2万枚/日への増産を計画中
その他、アイシン精機ダイハツ工業日野自動車などでもマスクの自社生産を検討中 (出所:トヨタ ニュースリリース

 

 

 

 世界屈指の企業であるトヨタに期待したいと思ってしまう。その生産技術力、人材からすれば、この危機下で、やれることも多々あろう。ニュースリリースには、トヨタの「基本的な考え方」が記されている。シンプルだが、力強い言葉だ。

 配慮しなければならないことや定款などの制約もあろうけど、今、「やるべきこと」をしっかりやって欲しい。

 

<基本的な考え方>

  • 無駄なことは、思い切ってやめる
  • より生産性を高めるために、やり方を変えていく
  • どのような状況でも「やるべきこと」はしっかりやる
(出所:トヨタ ニュースリリース

 

昨年、気候変動サミット開催にあたり、国連のグテーレス事務総長は、「気候変動は既に非常事態だ」として、各国首脳に「美しい演説ではなく具体的な計画」を持ってくるよう要請したという。

未曾有の危機下、非常事態時に、「美しい演説」はいらない。全てがその演説のために用意されているように見えてしまったらおかしな話になる。刻々と変わる状況に応じた適切な発表が必要ではないであろうか。

そうしたことで安心感は得られ、苦難に対処、協力しようとの芽が出てくるのではなろうか。

 

昨日4月7日、首相の記者会見があった。

何事にも一連の手順を踏まないといけないのであれば残念と言わざるを得ない。

 

昨日、介護現場で働く人から話を聞くことができた。国からのマスクの支給は職員あたり1枚しか届いていないといっていた。

 

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コロナ禍でも、生き残るビジネスはあるのか

 

 環境によって需要は変化する。急拡大したコロナ禍で、昨日まであった需要が一瞬にして蒸発した。限定的、短期間で終わるのかという期待も虚しく、世界的な災禍に拡大した。世界の国々がそれぞれに苦難、逆境の真っ只中になる。いち早くその苦境から抜け立て中国でさえ、未だ感染の再発にリスクに晒されている。

 新型コロナの震源地であった中国武漢の封鎖解除に2ヶ月近い時間を要した。ニューヨークで感染がピークアウトするとの予想がようやく聞けるようになったが、完全に終息するまでには、あとどれくらいの時間を要するのだろうか。

 

 

 

 今必要とされるマスクや消毒液、人工呼吸器などは、今では専門企業だけでなく、世界各地のあちこちで生産されるようになっている。最前線の医療現場を支えることが何より優先されている。 

 世界各地で都市が封鎖され、巣ごもり消費へシフトした。生活必需品とその物流を支える人々がいるからこそ、不便ではあるけれど、パニックを起こさずに生活を続けることができる。こうした事態になれば、優先されることとそうでないものが明確に区分される。

 この機に及んで、移動を増やしたり、わざわざ夜の街に出かけ感染拡大のリスクを冒す必要もなかろう。

 

  日経ビジネスがコロナ危機下のBCPという特集を始めている。短期的な終息が見通せないのであれば、今ある環境を受け入れるしかない。その中で事業を続けることができるのかという難題に取り組まなければならない。

 経済対策は重要なことではあるのだろうけれど、あとどれほどの税金が投入される必要があるのであろうか。将来世代へのつけを無尽蔵に増やすことは許されるのだろうか。人々の寄付や支援にも限界はあるように思う。

 

東日本大震災が発生した当時もBCPへの関心が盛り上がったが、中小企業には浸透しなかった。2016年の熊本地震や昨年の台風19号による河川の氾濫など自然災害が続き、中小企業もBCPを無視できなくなった。そこに新型コロナウイルスの感染拡大が重なった。(出所:日経ビジネス

  

business.nikkei.com

 

 

 日産自動車は、英国の自動車関連サプライヤーキャッシュフローの悪化に苦しむ中、 支払いの延期を通知したと日経ビジネスが報じる。

 その一方で、多国籍企業ユニリーバは、小規模のサプライヤーに対して資金繰り支援のため、資金供給を強化するという。また、ユニリーバ製品への依存度が高い一部の小規模小売業者に対しては、事業と雇用を守るため、支払期日の延長にも対応するという。

 

 日経ビジネスは、こうした状況で、企業の淘汰が進み、一握りの企業がより強くなると指摘する。

 

business.nikkei.com

 

 ユニリーバは、新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるため、石鹸、消毒液、漂白剤、食品など、1億ユーロ(120億円)相当の製品を寄付するという。そればかりでなく、派遣社員などの従業員に対しても収入補償をすると発表した。

 

従業員

ユニリーバは、新型コロナウイルスの影響で市場が混乱したり、本来の業務ができなくなったりした結果、急激に収入が減ってしまうことのないよう、最大3か月まで収入補償をします。このアクションには、フルタイム、パートタイムを問わず、正社員および当社事業所で勤務する派遣社員・業務委託社員が含まれます。ただし、政府および直接の雇用主による収入補償を受けている場合には対象となりません。(出所:ユニリーバニュースリリース

 

www.unilever.co.jp

 

 今直面する難題に真正面から取り組み企業がある。そうした企業が、この逆境下で生き残ることができるのではないであろうか。「命」あっての経済活動である。

 

 日経ビジネスはニューヨークの厳しい現実を伝えている。これが現実なのであろう。この現実でもやらなければならないことはある。「命」を守る活動が重要であることを認識させられる。

 

米NY市が45台の遺体収容トラック調達、葬儀システムが崩壊
ニューヨーク・タイムズは4月2日、ニューヨーク(NY)市が新たに45台の冷凍トラックを臨時の遺体安置室として調達したと報じた。新型コロナウイルスの感染拡大で死者が急増した同市では、医療システムだけではなく葬儀システムも崩壊しつつある。ブルックリン地区の病院では院内の遺体安置室だけでは足りず、遺体を収容するための袋も欠品している。市の検視機関は遺体の収容に駆けずり回り、火葬場も昼夜を問わず稼働している状況だ (出所:日経ビジネス

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一方、ドイツでは、アディダスがドイツ政府が制定した救済措置を利用して、4月分の賃料の支払いを延期しようとしたことが広く非難されているとWWD Japanが伝えた。

 

 ドイツでは救済措置の一つとして、家賃滞納を理由とした解約を家主に対して禁止しており、これを大企業のアディダスが利用したことで批判を浴びることとなった。同社は2019年12月期に10億9100万ユーロ(約1276億4700万円)の純利益を出している。ドイツの法務大臣をはじめとする政治家らからも、新型コロナウイルスの影響があったとしても同社には賃料を支払う能力が十分あるはずだと非難されている。(出所:WWD Japan)

 

 これに対し、アディダスは公開書簡で謝罪したという。

「われわれは過ちを犯し、またそれによって多くの信頼も失った。信頼回復には時間がかかるかもしれないが、信頼回復に向けてあらゆる努力をする」 (出所:WWD Japan)

 

この公開書簡で、WHOのCOVID-19連帯対応基金への援助、中国のへ医療品の援助や医療スタッフ用のマスク製造などを発表したという。

 

www.wwdjapan.com

 

 ドイツでは「短時間労働給付金の制度」が実施されているという。

同制度は従業員の解雇を回避することが目的だ。雇用者は従業員の労働時間を短縮し、労働時間減少による給与減少分の一部を政府が補塡する。企業が給与の40%を負担し、連邦雇用庁が賃金喪失分の60%を手当する。結果として従業員はフルタイムで働かなくても通常支払われる給与の4分の3程度の金額を受給することができる。(出所:WWD Japan)

 アディダスもこの制度を採用しとWWD Japanが伝える。

 このアディダスの行動を「他山の石」とすべきではなかろうか。

 

「コロナシフト」 危機管理はどこまで想定されているのか 

 

 ニュース、SNS、どれもコロナばかりである。誰もが警戒し、その影響を心配し始めているということなのだろう。

 

www.afpbb.com

 

ロイターがデフレ圧力をニュースとして報じる。

足元で生じ始めるデフレ圧力が、アフターコロナでの影響が心配になる。長引くコロナ渦で人々の生活信条に変化は起きないのだろうか。コロナが過ぎれば、また消費活動は活発になるのだろうか。

 

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都市国家シンガポールでもサービス部門でのデフレ圧力があるという。一方で、輸入頼る食料品は価格上昇につながる可能性があるとロイターは指摘する。

 

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AFPが気になるニュースを報じる。 

 国連食糧農業機関(FAO)、世界保健機関(WHO)、世界貿易機関WTO)の事務局長らは、食料品のサプライチェーンに直接関わる人とそれ以外の人両方の健康を守り、食料品のサプライチェーンを維持する上で、食料の生産・加工・流通に携わる労働者を保護する必要があると強調した。(出所:AFP BB News)

 

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危機管理では最悪のことを想定することを求められる。最悪をどこに想定すべきなのであろうか。東京でのオーバーシュート発生、都市封鎖を想定すべきということなのであろうか。

 

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未曾有の災禍。未知のウィルスとの闘い。誰もが経験したことのないことへ準備しなければならない。

 

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コロナシフト、ロイターは平時の体制からコロナシフトへ移行、感染拡大を抑制すべきと指摘するが、感染拡大の抑制ばかりでなく、感染拡大したことを想定したコロナシフトも求められているのではなかろうか。

 コロナにより影響を受ける人々の救済も急務だが、リスク管理をもう一段高める必要もありそうだ。行き過ぎた準備はないはずである。 

 

 

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