Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

コロナ禍でも、生き残るビジネスはあるのか

 

 環境によって需要は変化する。急拡大したコロナ禍で、昨日まであった需要が一瞬にして蒸発した。限定的、短期間で終わるのかという期待も虚しく、世界的な災禍に拡大した。世界の国々がそれぞれに苦難、逆境の真っ只中になる。いち早くその苦境から抜け立て中国でさえ、未だ感染の再発にリスクに晒されている。

 新型コロナの震源地であった中国武漢の封鎖解除に2ヶ月近い時間を要した。ニューヨークで感染がピークアウトするとの予想がようやく聞けるようになったが、完全に終息するまでには、あとどれくらいの時間を要するのだろうか。

 

 

 

 今必要とされるマスクや消毒液、人工呼吸器などは、今では専門企業だけでなく、世界各地のあちこちで生産されるようになっている。最前線の医療現場を支えることが何より優先されている。 

 世界各地で都市が封鎖され、巣ごもり消費へシフトした。生活必需品とその物流を支える人々がいるからこそ、不便ではあるけれど、パニックを起こさずに生活を続けることができる。こうした事態になれば、優先されることとそうでないものが明確に区分される。

 この機に及んで、移動を増やしたり、わざわざ夜の街に出かけ感染拡大のリスクを冒す必要もなかろう。

 

  日経ビジネスがコロナ危機下のBCPという特集を始めている。短期的な終息が見通せないのであれば、今ある環境を受け入れるしかない。その中で事業を続けることができるのかという難題に取り組まなければならない。

 経済対策は重要なことではあるのだろうけれど、あとどれほどの税金が投入される必要があるのであろうか。将来世代へのつけを無尽蔵に増やすことは許されるのだろうか。人々の寄付や支援にも限界はあるように思う。

 

東日本大震災が発生した当時もBCPへの関心が盛り上がったが、中小企業には浸透しなかった。2016年の熊本地震や昨年の台風19号による河川の氾濫など自然災害が続き、中小企業もBCPを無視できなくなった。そこに新型コロナウイルスの感染拡大が重なった。(出所:日経ビジネス

  

business.nikkei.com

 

 

 日産自動車は、英国の自動車関連サプライヤーキャッシュフローの悪化に苦しむ中、 支払いの延期を通知したと日経ビジネスが報じる。

 その一方で、多国籍企業ユニリーバは、小規模のサプライヤーに対して資金繰り支援のため、資金供給を強化するという。また、ユニリーバ製品への依存度が高い一部の小規模小売業者に対しては、事業と雇用を守るため、支払期日の延長にも対応するという。

 

 日経ビジネスは、こうした状況で、企業の淘汰が進み、一握りの企業がより強くなると指摘する。

 

business.nikkei.com

 

 ユニリーバは、新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるため、石鹸、消毒液、漂白剤、食品など、1億ユーロ(120億円)相当の製品を寄付するという。そればかりでなく、派遣社員などの従業員に対しても収入補償をすると発表した。

 

従業員

ユニリーバは、新型コロナウイルスの影響で市場が混乱したり、本来の業務ができなくなったりした結果、急激に収入が減ってしまうことのないよう、最大3か月まで収入補償をします。このアクションには、フルタイム、パートタイムを問わず、正社員および当社事業所で勤務する派遣社員・業務委託社員が含まれます。ただし、政府および直接の雇用主による収入補償を受けている場合には対象となりません。(出所:ユニリーバニュースリリース

 

www.unilever.co.jp

 

 今直面する難題に真正面から取り組み企業がある。そうした企業が、この逆境下で生き残ることができるのではないであろうか。「命」あっての経済活動である。

 

 日経ビジネスはニューヨークの厳しい現実を伝えている。これが現実なのであろう。この現実でもやらなければならないことはある。「命」を守る活動が重要であることを認識させられる。

 

米NY市が45台の遺体収容トラック調達、葬儀システムが崩壊
ニューヨーク・タイムズは4月2日、ニューヨーク(NY)市が新たに45台の冷凍トラックを臨時の遺体安置室として調達したと報じた。新型コロナウイルスの感染拡大で死者が急増した同市では、医療システムだけではなく葬儀システムも崩壊しつつある。ブルックリン地区の病院では院内の遺体安置室だけでは足りず、遺体を収容するための袋も欠品している。市の検視機関は遺体の収容に駆けずり回り、火葬場も昼夜を問わず稼働している状況だ (出所:日経ビジネス

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一方、ドイツでは、アディダスがドイツ政府が制定した救済措置を利用して、4月分の賃料の支払いを延期しようとしたことが広く非難されているとWWD Japanが伝えた。

 

 ドイツでは救済措置の一つとして、家賃滞納を理由とした解約を家主に対して禁止しており、これを大企業のアディダスが利用したことで批判を浴びることとなった。同社は2019年12月期に10億9100万ユーロ(約1276億4700万円)の純利益を出している。ドイツの法務大臣をはじめとする政治家らからも、新型コロナウイルスの影響があったとしても同社には賃料を支払う能力が十分あるはずだと非難されている。(出所:WWD Japan)

 

 これに対し、アディダスは公開書簡で謝罪したという。

「われわれは過ちを犯し、またそれによって多くの信頼も失った。信頼回復には時間がかかるかもしれないが、信頼回復に向けてあらゆる努力をする」 (出所:WWD Japan)

 

この公開書簡で、WHOのCOVID-19連帯対応基金への援助、中国のへ医療品の援助や医療スタッフ用のマスク製造などを発表したという。

 

www.wwdjapan.com

 

 ドイツでは「短時間労働給付金の制度」が実施されているという。

同制度は従業員の解雇を回避することが目的だ。雇用者は従業員の労働時間を短縮し、労働時間減少による給与減少分の一部を政府が補塡する。企業が給与の40%を負担し、連邦雇用庁が賃金喪失分の60%を手当する。結果として従業員はフルタイムで働かなくても通常支払われる給与の4分の3程度の金額を受給することができる。(出所:WWD Japan)

 アディダスもこの制度を採用しとWWD Japanが伝える。

 このアディダスの行動を「他山の石」とすべきではなかろうか。