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人権問題で揺れる中国 それでも代替肉の米ビヨンドミートは中国をめざす

 

 中国でのウイグル人に対する人権侵害が問題視されている。米政府はウイグル人の強制労働などに関わる企業からの輸入を禁止する措置に動く。スウェーデンのアパレルH&Mは、新疆ウイグル自治区にある工場から間接的な調達があったと指摘を受け、関係する企業との取引を段階的に削減すると発表した。

 そんな中にあって、代替肉の米ビヨンドミートが中国浙江省に工場を建設、現地生産を始めるという。

  36krJapanによれば、数カ月以内には牛・豚・鶏の代替肉の試験生産に入り、来年初めには全面的に稼働する計画だという。中国では、消費者の植物由来の食品に対する関心が増しているそうだ。

 

36kr.jp

 

 「人工肉界のテスラがやって来る」と、現地での報道内容をNNA Asiaが伝える。 

 中国で、ビヨンド・ミートは代替肉メーカとして抜群の知名度とブランド力を持つという。NNA ASIAは、その進出手法にも目を引くものがあると指摘する。スタバやKFCピザハット外食チェーンへの供給から入り、アリババ傘下のスーパーで販売と、健康意識の高い若い消費者層に訴求しているという。

 

www.nna.jp

 

 

 

 一方、強制労働との関わりを指摘されたアパレルのH&Mは「新疆ウイグル自治区拠点のいかなる縫製工場とも協働していない」との声明を出し、また、新疆ウイグル自治区からのコットンの調達を停止すると発表したともいう。

 

www.wwdjapan.com

 

 WWD Japanによれば、新疆ウイグル自治区は、中国最大の綿花栽培地域で、H&Mに関係するサプライヤーは、これまで当該地域のBCI(ベター・コットン・イニシアチブ)関連農家からコットンの調達を行っていたが、当地域での信頼性の高いデューデリジェンスを実施することが困難になっているため調達の停止に踏み切ったようだ。

 

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 中国では過去幾度となく、こうした人権問題が発生する。その都度、関係する企業が対策を施し、再発防止に努める。

 WWD Japanによれば、H&Mも、工場から農家レベルまでのサプライチェーンにおけるリスクを特定して対処することを目的にした、デューデリジェンスを体系的に実施しているという。

 それでも、こうした強制労働などの人権問題はなくならない。

 

 

 

 ビヨンドミートの大豆調達などのサプライチェーンはどうなっているのだろうか。米国産大豆を使うのだろうか、それとも中国産なのであろうか。

 巨大市場中国での生産となれば、大量の原料が必要となることだろう。食糧問題に直結するだけに気になる。そこに人権まで絡むと問題が複雑化する。

 H&Mのように、世界中の労働者の権利の尊重を推進する、企業・労働組合NGOのアライアンスであるETI エシカル・トレーディング・イニシアチブ(Ethical Trading Initiative)の示されている勧告に従い、デューデリジェンスの実施や農家の育成はできるのだろうか。

 

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 中国天津に一時よく通っていた。北京空港から天津まで高速道路で2時間あまり。延々と続く畑がそこにあった。長閑なその風景の中に畑仕事をする人たちがいた。どんな暮らしぶりなのだろうと想像したりしていた。

 

 代替肉は、大量にCO2を排出する畜産業の負荷低減に役立つとの期待もあるという。その一方で、代替肉の消費が伸びることで、新たな問題が発生しないかと少しばかり気を揉む。健全なサプライチェーンの構築が求められているのだろう。

 

 

 

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