「トヨタが、日系部品を捨てた」。衝撃的なニュースが、日本のものづくり現場を駆け抜けました。中国向けの新型EV「bZ3X」において、トヨタは部品の大部分(一部報道では約9割)を中国系サプライヤーから調達。長年苦楽を共にしてきたはずの日系部品メーカーが、コンペでことごとく敗退したのです。
日系車部品の失注相次ぐ「bZショック」 トヨタや日産、中国部品を急拡大 | 日経クロステック(xTECH)
これを単なる「海外調達の拡大」と片付けるのは、あまりに危うい。これは、日本の産業構造そのものが**「ガラパゴス化した共倒れモデル」**に陥っていることを露呈させたからです。
「bZショック」が暴いた残酷な真実
なぜ、トヨタは「ケイレツ」を外したのか。理由はあまりにシンプルで、残酷です。
かつては「安かろう悪かろう」だった中国製部品は、今や日系と同等の品質を、半分近いコストで、数倍のスピードで供給できるまで進化しました。
親会社からの指導により生産効率を高める「カイゼン」が系列全体に浸透し、高品質な自動車を安価に作る競争力を生み出してきた「ケイレツ」の強みが強みではなくなりました。
アップデートを止めた「共依存」の代償
なぜ、日本の部品メーカーはここまで追い詰められたのでしょうか。そこには、メーカーとサプライヤー双方の「怠慢」が見え隠れします。
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サプライヤーの「思考停止」: 「トヨタ(あるいは日産)についていけば安泰」という成功体験が、独自の販路開拓や、デジタル化への投資を遅らせました。親会社が提示する高い品質基準と生産計画に基づいて製品を納入していれば、安定した受注と利益が保証されていたのがケイレツです。自社で新しい顧客を開拓したり、市場トレンドを分析して製品を企画したりする独自性の必要性が低く、技術開発も親会社の指示に従う傾向が強かったと言えます。 ケイレツという温室の中で、外部の荒波を知らぬまま「惰性のアップデート」を繰り返してきたツケが回ってきたのでしょう。
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メーカーの「不作為」: 完成車メーカー側もまた、ケイレツを「便利な下請け」として使い、自社の顔色を伺わせることに終始しました。オープンイノベーションを拒み、身内だけで固めた「閉鎖的な垂直統合」が、中国勢の「オープンでグローバルな垂直統合」にスピードで完敗したのが、今回のbZショックの本質です。
日産「RE:NISSAN」に見る、外科手術の痛み
日産が進める再建計画も、この「ケイレツ解体」を加速させています。
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部品7割削減の断行: 車の構造をシンプルにし、共通部品を増やす。これは、特定メーカーのわがままに応えることで食い繋いできた中小サプライヤーにとって、死刑宣告に等しいものです。
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「身内価格」の撤廃: もはや「昔からの付き合い」で高い部品を買う余裕は、日本の巨人たちにも残っていません。
視点:これは「日本の縮図」ではないのか
ケイレツの崩壊は、日本の至る所で見られる「古い成功モデルへの執着」と「思考停止」の末路ではないでしょうか。
かつては「阿吽の呼吸」と呼ばれた阿頼耶識(あらやしき)的な信頼関係。それが今や、変化を阻む重しとなり、共倒れを待つばかりの「心中モデル」へと変質してしまったようです。
bZショックは、日本という国そのものへの警告ではないでしょうか。「身内」という安心感に浸り、外の世界のアップデート速度を見誤った結果、私たちは最強の武器だったはずの「製造のネットワーク」を、最大の弱点へと変えてしまったのではないでしょうか。これは自動車ばかりでなく、あらゆる産業、あるいは政治もおいても同じことがいえるのではないでしょうか。アップデートを忘れたOSが機能しなくなると同じことなのでしょう。

