Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

【EVシフトに学ぶSC革命 15】ラストワンマイルの革命 — 超小型モビリティが変える「街のカタチ」

 🚲 都市交通の「再編」:大きなバスから、オンデマンドの小型モビリティへ

今、世界中で都市交通の概念が根本から書き換えられています。その象徴が欧州の**「L7e規格(超小型モビリティ)」**です。

EUが小型EV規格、域内生産保護し中国勢に対抗 日本の「軽」参考に - 日本経済新聞

  • 「適切なサイズ」への回帰: 1人の移動に2トンの鉄の塊(普通車)を動かす非効率からの脱却。欧州では、免許制度や駐車規制の優遇措置を背景に、都市部での移動はL7eや電動キックボードといった「スモール・モビリティ」への移行が加速しています。
  • オンデマンドへのシフト: 定時定路線のバスを待つのではなく、スマホ一つで目の前に「最適な器」を呼び出す。公共交通は、巨大なバスという単一の手段から、多種多様なモビリティが網の目のように繋がる**「分散型インフラ」**へと姿を変えています。

 

 

 🦝 BYD「ラッコ(RACCO)」の衝撃と、日本の物理的回答

 2026年、日本の軽自動車市場を狙い撃ちにするBYDの軽EV**「ラッコ」**が上陸します。

コラム:中国BYD、軽EV「ラッコ」で日本市場に挑戦 | ロイター

 この圧倒的なコスト競争力を持つ「黒船」に対し、日本勢は「物理的な形状の革新」で対抗しようとしています。

  • 「クルマを変えて、街を変える」: イスラエルのCity Transformerが掲げる「車幅が変わるEV」という野望と同様の動きが日本でも起きています。

クルマを変えて、街を変える イスラエルの起業家の野望 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

  • スタートアップの挑戦:
  • KGモーターズの「mibot」: 1人乗りに特化し、原付並みのサイズで高い安全性を確保。

令和のスーパーカブに、新興企業の1人乗りEV人気-受注トヨタ超え(ブルームバーグ)

  • Lean Mobilityの「Lean3」: トヨタ出身のエンジニアが挑む、リーン(痩せた)な3輪EV。 これらは単なる「小さな車」ではありません。日本の狭い路地を「高速道路」に変えるほどの機動性を持ち、都市の物理的な制約を解決する「街の設計図」の一部なのです。

🌐 「移動の最適化」そのものを商品化する:統合SCの構築

 日本が勝つための真の戦略は、個別の車両を売ることではなく、あらゆるモビリティを一つのサプライチェーン(SC)として繋ぐ「最適化」そのものの外販にあります。

  • モビリティ・オーケストレーション: EVバス、自動運転タクシー、超小型モビリティ、そして電動キックボード。これらをバラバラの点としてではなく、**「シームレスな移動の血流」**として統合する。
  • SCaaS(Supply Chain as a Service)としてのMaaS: 目的地までの最短ルート、電力消費が最小となる配車、バッテリーの劣化を防ぐ充電管理。これらを統合制御するソフトウェアこそが、海外勢のハードウェア攻勢を無力化する最大の武器です。

 

 

🏙️ トヨタ「ウーブン・シティ」が示す3次元の街づくり

 この戦略の究極の姿が、トヨタが進める「ウーブン・シティ」です。

ハードとインフラの融合: 歩行者、小型モビリティ、そしてe-Palette(自動運転)が走る道を物理的に分けることで、移動のスピードと安全を両立。ここでは、「信頼性の高い日本製ハードウェア(e-Palette等)」と「NTT等の次世代通信インフラ」が不可分に融合し、世界に輸出可能な「都市パッケージ」として完成されつつあります。

(画像:トヨタ自動車

💡 ハードウェアの変革が「都市の主権」を守る

 ラストワンマイルのサプライチェーンを海外勢に委ねることは、街の風景と住民のデータを明け渡すことを意味します。

 日本独自の「軽自動車文化」から進化した超小型モビリティは、日本の都市構造に1ミリの無駄もなく適合します。この**「物理的な最適解(ハード)」と「デジタルな最適化(ソフト)」をセットで提供できる総合力**こそが、2030年代の都市交通における日本の勝利方程式です。

 

 

「参考文書」

中国BYD“逆上陸”、日本専用の軽EV「ラッコ」を世界初公開 2026年発売へ | 36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

中国BYD、日本進出2年も苦戦-世界で最も厳しい顧客に値下げは裏目か(ブルームバーグ)

BYD、楽天出店の裏に焦り 日本社長「80店では機会ロス」 - 日経モビリティ