米メタが新型のAI搭載スマートグラス「Meta Ray-Ban Display」を発表しました。この透明ディスプレイを内蔵した製品について、コックス最高製品責任者(CPO)は、「スマートフォンの操作から利用者を解放する。将来に向けた重要な革新だ」と語ったそうです。
メタ、799ドルの新型AIスマートグラス発表、株価は時間外取引で上昇 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
米アマゾンは Alexa搭載スマートディスプレイ「Echo Show 8」の新モデル(第3世代)を発表しました。ビデオ通話のエクスペリエンスが向上しているほか、ユーザーの位置に応じてコンテンツの表示スタイルを変えるアダプティブ・コンテンツ機能も搭載されているといいます。
NTTもスマートグラス「MiRZA(ミルザ)」を発表していますが、米国企業ほど注目されないようです。なぜなのでしょうか。製品の違いではなく、日本企業と米国企業の戦略に根本的な差に依存していることはないでしょうか。
日本企業が直面する「JTC」の壁
「JTC(Japanese Traditional Company)」、日本の多くの企業が罹患している病です。「リスク回避志向」に「製品中心の思考」、「効率とコスト重視」、これらが弱みになっています。 なかなかそこから抜け出ることが出来ません。新しい市場や技術への大規模投資に慎重で、大胆なイノベーションを起こしにくいといわれます。モノづくりに長けているはずなのに、そのサプライチェーンは脆弱。特定の地域に生産を集中させ、地政学的リスクにも弱くなっています。
これに対し、米国企業は、「ハードウェアの体験をソフトウェアで最適化する」という面で一歩も二歩も先を行っています。これを戦略としてすでに成功している事例がいくつもあります。
米国流「エコシステム戦略」の核心
米国企業は「エコシステム」を重視します。Amazonは、Echoというハードウェアが、AlexaというAIサービス、そしてECサイトへの入り口として機能し、生活全体に浸透しています。Appleにおいては、iPhone。このハードウェア、端末を通じて、iOS、App Store、Apple Musicといったサービスを一体化させ、ユーザーを囲い込んでいます。
「コア技術の内製化」。これがこの戦略の鍵になっています。Appleは「A/Mシリーズ」チップ、Googleは「Tensor」チップなど、自社のサービスに最適化された半導体を内製することで、他社には真似できない独自のユーザー体験を創出しています。
iPhone 17 Pro搭載チップが「MacBookの未来」を切り開く | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
また、NVIDIAとIntelの提携のように、米国企業は、サプライチェーンの回帰と強靭化を目的とした戦略的な提携も進めています。
日本企業が取るべき新たな道筋
日本のソフトウェア企業が、ハードウェア市場に参入することで、「デジタル赤字」などの日本の苦しい現状を打破できる可能性があるかもしれません。
楽天、ソフトバンクG、サイバーエージェント、DeNA....... これらの企業は、豊富なユーザーデータと顧客基盤を持ち、アジャイルな開発手法を有し、既存サービスと連携したエコシステム構築のポテンシャルがあります。目指すべきは、「ハードウェアを作ること」ではなく、「自社のサービスをハードウェアをインターフェースとして、さらに魅力あるものに変えていく」という戦略です。スマホの次の主役、サービスが、『触れる』体験に変わるという視点です。ハードは、あなたのサービスと世界をつなぐ『魔法のドア』なのです。

まとめ:ハードから「体験」へ、そして未来へ
日本企業が、製品の「モノ」としての価値だけでなく、「サービスを通じた体験」をデザインする思考へとシフトすることができるのなら.... ハードウェアを「完成品」や「モノ」として捉えているのではなく、「ハードは、あなたのサービスと世界をつなぐ『魔法のドア』」という新しい価値観を認識すべきなのです。
NTTのスマートグラスが、もし「未来のコミュニケーション」という大きな物語と結びつくのなら、世界を驚かせる存在になるかもしれません。
「参考文書」
Meta、眼鏡レンズに画面投映 新端末で「スマホの次」に先手 - 日本経済新聞
メタのコックスCPO、眼鏡型端末で「スマホの操作から解放」 - 日本経済新聞
Amazonがスマートディスプレイ「Echo Show 8」(第3世代)を発表、空間オーディオ対応でビデオ通話のエクスペリエンスも向上 - GIGAZINE
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