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【経済安全保証】高まる中国脅威論、増税してまで防衛力を強化するのがよいのでしょうか

 

 国家安全保障戦略に関し、政府が月内に改定し、中国の軍事動向などを「最大の戦略的な挑戦だ」と明記する方針といいます。

中国は「最大の戦略的挑戦」 国家安保戦略で政府調整:時事ドットコム

 記事によれば、2013年策定の現行の安保戦略では、中国の動向について「わが国を含む国際社会の懸念事項として慎重に注視する」と記述だったといいますが、今回の政府案は、中国に対する警戒をより強めた表現になっているそうです。

 もうまともに競い合っても勝てる相手ではなくなってはいないでしょうか。それでも、中国が脅威と煽って危機といい、増税が伴う防衛費増額の根拠にしたいのでしょうか。

 

 

 その中国では、ゼロコロナ政策を巡って若年層のデモが活発化、社会が混乱し、また、その政策による厳しい移動制限が経済活動を阻害し、内需を下押ししているといわれます。

中国ゼロコロナ緩和、経済減速に焦り 感染増で修正も: 日本経済新聞

 ついに中国政府はゼロコロナ政策を緩和することになりました。

 消費動向を映す小売売上高の11月の市場予測ではマイナス幅が4%近くに拡大することが見込まれているといいます。雇用の悪化で所得不安が強まり、節約志向が広がれば、外食などサービス業への打撃も大きいそうです。また、高止まりする若年失業率への警戒感もうかがえるといいます。

 中国の弱点ということなのでしょうか。国民を厳しい監視下におくことは厭わないのに、経済の停滞などによって国民の不満が高まることに強く警戒しているようです。

 日中の有識者らが参加して両国関係の課題を議論する「東京―北京フォーラム」が開かれていたといいます。

 参加した垂秀夫駐中国大使は、中国公船による領海侵入などを例に、「こうした行為が続けば、(日本の中国に対する)国民感情は容易に改善しない」と指摘した一方で、両国の関係改善に向け「あらゆるレベルで意思疎通を積み重ねる」ことの重要性を訴えたといいます。

駐中国大使「あらゆる意思疎通を」 日中有識者フォーラム閉幕:時事ドットコム

 中国の孔鉉佑駐日大使は「互いに協力パートナーであり、一部の人が唱える中国脅威論に対しては重大な懸念を表明したい。冷静に中国を見つめ、両国の共通認識を行動に移すことを願う」と話したといいます。

 政府が中国を警戒することは理解できない訳ではありませんが、中国大使が言うように冷静に今の中国を知るべきではないでしょうか。SWOT分析ではないですが、脅威と機会を知って抜け目なく賢く、時にずる賢い対応が求められるのでしょう。垂大使が述べた通り、まずは首脳間の頻繁な意思疎通による政治的相互信頼の基盤を固めるところから始めるべきなのでしょう。

 

 

 フォーラム閉幕では、日中が共同で世界やアジアの平和構築に努めていくとする「平和協力宣言」を発表したといいます。

 日中双方とも経済依存度が高く、関係をこじらしてしまえば、どちらもその悪影響を被ることになります。日本にとっては中国における反日感情が高まれば、インバウンド需要に大きく影響を及ぼし、また物流が滞るようになれば、経済活動への影響も避けられません。それはコロナ渦でより明らかになったことではないでしょうか。

 中国においても同様なのでしょう。ロシアのように中国が国際社会から孤立するようになれば、経済への影響は甚大で、それによって国民感情が暴発することを中国はひどく警戒するのではないでしょうか。

 

 

「コロナ規制の緩和で経済活動が正常化すれば、内需の回復に伴って中国の輸入も持ち直し、世界経済にプラスとなる可能性はある」と日本経済新聞はいいます。

 中国を念頭に経済安全保障を十分考慮する必要はあるのでしょうが、生かさず殺さずちょうどよい頃合いでつき合っていくのが肝要なように思われます。刺激することは慎むべきではなのでしょう。ましてそのために増税にするようになれば、論理も何もない、とんでもない話なってしまいます。