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ウクライナ危機で、グローバリゼーションは終わりに近づいているのか

 気掛かりばかりが増えている。ウクライナでの戦争での停戦は実現するのだろうか。この危機を端にする諸物価の高騰の今後のどうなるのだろうか。諸外国がインフレ抑制に向かい、円安が進んでいく。日本売りが加速しているようにも思えてしまう。コロナ禍が収束する前に、難題が降り注いでいる。

グローバルサプライチェーンの終焉なのか

 グローバリゼーションの終焉といわれるようになってきたようだ。ウクライナでの紛争が起こり、バイデン米大統領が民主主義と専制主義の戦いと位置付け、欧米企業がサプライチェーン供給網を見直そうとしているという。中長期的に新興国の安価な労働力や資源の有効活用がしにくくなるという。

新型コロナ: グローバル化の終わり サプライチェーン見直し加速: 日本経済新聞

 再び鉄のカーテンが降り、世界は2極化していくのだろうか。日本経済新聞ウクライナ危機やコロナ禍によるサプライチェーンの見直しの必要性を説く。

クレムリンは、西洋の基準に基づく統一という形でのグローバリゼーションを、国民のアイデンティティーと固有の文化に対する脅威と見なしている。グローバリゼーションは一般的に前向きな現象だが、それは全世界の西洋化と同等であってはならない。ロシアはBRICSの他の諸国や、エジプト、イラン、サウジアラビア、トルコなどの非西欧の国々と協力している」。(出所:日本経済新聞

 

 

 コロナ禍による混乱だけなら、感染が収束すれば正常化が期待できたと日本経済新聞は指摘する。ところが、ウクライナ危機は、企業に中長期的なサプライチェーンの再構築の圧力を高め、独裁色が強い新興国への供給網展開は再点検を迫られるという。

 また、米国の投資銀行ゴールドマン・サックスの経済リポート「サプライチェーンの頑健性の強化」(Strengthening Supply Chain Resilience)によれば、米企業はサプライチェーンレジリエンス(回復力)の強化に動いているとし、対応策として、海外から米国への生産回帰(リショアリング)、サプライチェーンの多様化、脱JIT、在庫を過剰に積むことがあるという。今のところ、まだリショアリングは限られているが、市場はいずれこの方向に進むと期待していると分析しているという。

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 また、ウクライナ危機は、ロシアの空域を閉ざし、またロシア港の回避しようと動き、非効率となり、物流量の減少につながるという。そして、これらはサプライチェーンの継続的なトラブルのもとになり、輸送コストの上昇し、インフレの引き金となり、貿易の下振れリスクになるという。

 

 

円安を抗うサプライチェーンの強靭化

 30年近く前に始まったグローバリゼーションの真逆の道を進んでいくかのように聞こえる。当時は、冷戦が終結することで巨大市場が現われ、効率性を求めては国際分業を推し進め、グローバルなサプライチェーンが築かれていった。このウクライナ危機は、どんな変化をもたらすことになっていくのだろうか。

 失われた30年と言われる。同じ轍を踏んではならないのだろう。円安で利益を得ている企業は、真っ先にサプライチェーンの多様化・強靭化を進めなければならないのだろう。もしかしたら、それは効率化を再定義することから始まるのかもしれない。円安で安易に益を得られるようにすることをまさか効率化、生産性向上などとはいうまい。円安を苦難として、それでも十分に益を出せる体質にしていくことが求められていることなのだろう。