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テクノロジーで米国を凌駕する中国、日本企業は中国と競い合えるのだろうか

 

「AI人工知能、合成生物学、遺伝学など主要新興技術の多くで約10年以内に中国が覇権を握る可能性が高い」とロイターが報じる。

AI開発競争、米国はすでに中国に敗北=元米国防総省幹部 | ロイター

 なるべくしてそうなったかということなのだろうか。

国防総省で初の最高ソフトウェア責任者を務めたニコラス・シャラン氏は、人工知能(AI)開発競争で米国はすでに中国に敗れたと指摘し、中国は新興サイバー技術が発展しており、世界の覇権を握るとの見方を示した。 (出所:ロイター)

 米国が、倫理を巡る議論でAI開発が遅れた一方で、中国企業は倫理問題に配慮せずAIに「巨額の投資」を行ない、そして、政府への協力を義務付けられいるという。

 テクノロジー開発の中心が確実に中国にシフトしてしまったということなのだろうか。

 

 

 蓄電池で世界最大手の中国CATL寧徳時代新能源科技が、320億元(約5600億円)投資し、廃棄電池の原料をリサイクルする工場を中国国内に新設すると発表したという。

中国CATL、電池リサイクルの新工場 5600億円投資: 日本経済新聞

 日本経済新聞によれば、電池からリン酸鉄リチウムなどの原料を回収し再利用できるようにするという。電池を大幅に増産する計画を進めており、原料供給の体制を整えるそうだ。2022年に着工し、27年の完成を目指すという。

CATLは中国の広東省湖南省などにも廃棄電池から原料を回収する工場を設けている。新工場建設の狙いについてCATLは「電池の材料の供給を保証し、自社の使用済み車載電池の(製造から廃棄までの)ライフサイクルを管理する目標を進められる」と説明。その上で「コストの抑制や製品の競争力向上につなげられる」としている。 (出所:日本経済新聞

 この他にも、CATLはカナダのリチウム資源開発会社ミレニアル・リチウムを3億7700万カナダドル(約330億円)で、ミレニアルの株式100%を取得、買収する。

中国CATL、カナダのリチウム大手買収 330億円: 日本経済新聞

 日本経済新聞によれば、ミレニアルは、アルゼンチンの2カ所でリチウム塩湖の開発を手掛けている。CATLは電池の主要原料であるリチウムの確保につなげるという。

 

 

 その買収はアフリカに及び、豪鉱山開発会社が保有するコンゴ民主共和国のリチウム鉱山(マノノ鉱山)開発プロジェクトの権益24%を取得する。

中国車載電池大手CATL、アフリカのリチウム鉱山プロジェクトに出資 | 36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

 36KrJapanによれば、取得額は2億4000万ドル(約260億円)。マノノ鉱山は、これまでに発見された硬岩型リチウム鉱床としては世界最大・最高級のポテンシャルを持つといわれるそうだ。

CATLは電池の原材料の確保などのため、サプライチェーンの強化に向けて投資を増やす方針を示している。中国メディアによると、同社はこれまでに中国内外で20以上の原材料メーカーに投資した。 (出所:日本経済新聞

 これからの気候変動対策に欠かすことのできない蓄電池。世界シェアNO.1のCATLがその原材料をきっちり抑えようとしている。当面、その地位は揺るがないのだろうか。

 主要な新興テクノロジーも、気候変動対策の主要デバイスも中国が覇権を握ることになるのだろうか。

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 日立製作所がオンライン技術展示会を開催、小島社長が登壇し、「グリーン(環境)、デジタル、イノベーション(技術革新)」を成長の基軸にすると述べたそうだ。

日立の小島社長「環境・デジタルと技術革新が成長の軸」: 日本経済新聞

 日本経済新聞によれば、環境分野では再生可能エネルギーを広域で効率的に活用するために必要な送配電事業のほか、電気自動車(EV)関連の部品やインフラに力を入れるそうだ。

「成長にはスピードが一番重要だ」と強調した。

経営の「シンプル化」や「デジタル化」「グローバル化」を進める方針であり「いわばもう一つのSDGsだ」と述べた。(出所:日本経済新聞

 また、東原会長は「生活環境を取り巻くあらゆるテクノロジーが猛烈に変化している。人間がテクノロジーを意識することなく、ごく自然に生活できることが重要だ」とも述べたという。

 日立はグローバル市場で中国と競い合う準備はできているのだろうか。一番重要であるスピードで中国を凌駕することはできるのだろうか。

 ことごとく連敗してきた苦い歴史を塗替えることができるのか。もしかしたら、SDGsや倫理を起点にすれば活路があるのかもしれない。