Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

宣言解除、再開する社会活動と不安、ジャック・マーの予言

 

 緊急事態宣言が解除された。社会が正常化し、元の生活に戻れる。そんなイメージがあるが、そうとは限らないのかもしれない。

 国内よりも早く経済活動を再開させている欧米では物価が高騰し、それに加えてエネルギー価格が常軌を逸したように高騰している。中国では、深刻な電力不足に陥り、その影響は一般家庭にまでおよび停電が起きている。中国政府は石炭確保に躍起になっているという。

中国当局、発電・暖房用石炭の輸送強化を指示 一般炭先物が最高値 | ロイター

 一度縮小した経済を期待先行で無理やりもとに戻そうとした弊害ということなのだろうか。

 

 

 国内でも11月から電気料金やガス料金が値上がりになり、3か月連続しての値上がりになりそうだ。世界で生じている天然ガスや石炭価格の上昇の影響という。すでに10月からは様々なモノやサービスの価格も上昇している。

 読売新聞によれば、外食や観光の関連業界では営業再開に向け急ピッチで準備が進んでいるという。

宣言解除受け「すごい勢いで動き出した」…酒・食材の発注や旅行予約が急増 : 経済 : ニュース : 読売新聞オンライン

酒類や食材が次々と出荷され、旅行の予約も急増したが、既に大幅な人員削減に踏み切った飲食店は人手不足に悩む。一部では営業再開が遅れる恐れが出ている。 (出所:読売新聞)

 記事には、「飲食店から卸売業者への注文が増えている」「お酒を中心に動き出した。すごい勢いだ」、「10月分の国内線予約数が5万人に上った」と景気の良い文言が並ぶ。一過性のことかもしれないが、そうして元の水準を回復していくのだろう。

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 政権が変われば、ご祝儀と言わんばかりに、もしかしたら数十兆円規模の経済対策が実施されるのかもしれない。ありがたいことなのかもしれないが、それに追従できるのだろうか。急激な経済回復は混乱のもとになりはしないだろうか。欧米中の失敗事例もあうのだから。自然の成り行きに任せた方がいいときもある。

 

 

 テレワークになった従業員たちはオフィスに戻ることになるのだろうか。

 資産運用会社の米ブラックロックは、11月1日から従業員の過半数が週3日以上のオフィス勤務になると社内文書で通知したという。

ブラックロック、従業員の過半数が週3日出社へ-11月1日以降 - Bloomberg

数カ月をかけて新たな勤務体制を試験的に運用し、週2日の在宅勤務が可能な環境で欧米の従業員がどのように協力できるか見極める。 (出所:ブルームバーグ

「過去1年半、仕事や生活に関する従来の多くの前提が変化し、そして試された。重要なのはプロとして共に過ごし、つながりを持ちながら柔軟性を楽しむことの価値が明確になったことだ」と、ブラックロックの人事責任者が述べたという。

 今後のオフィスでの勤務体系に変化はあるのだろうか。

 中国のテクノロジー企業がまだ熱狂の最中にあったとき、アリババのジャック・マーが、いずれ1日3時間、週3日しか働かない未来を予測した。

business.nikkei.com

 その予言に一歩近づいているのかもしれない。

 それでいいのだろうか。

「誰一人取り残さない」、そんな言葉を聞くようになった。みながその恩恵を享受できるのだろうか。

「テクノロジーは私たちがより働くためにあるのではない。人生をより楽しむためにあるのだ」

 少し先鋭化した意見は当局によって押しつぶされることになったが、正論を言っていたのだろう。テクノロジーは手段であって目的ではない。また、働くことも目的ではない。人生を楽しむために仕事がある。そして、その仕事の成果が誰かの手助けることができれば、楽しみが増えるのかもしれない。

 社会がサスティナビリティやSDGsを標榜するようになっている。そのあるべき姿にたち戻るときなのかもしれない。