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施行が近づく中国の「個人情報保護法」と気になる中国経済の減速との関連

 

 中国で11月から「個人情報保護法」が施行となる。世界で最も厳しいプライバシー保護法の一つになるとも言われているようだ。

 この個人情報保護法の持つ意味は、個人がデータを提供しない権利を行使しても、正常な日常生活を送れることを法的に保証するものだと36krJapanは解説する。

テンセント、アリババ、バイトダンス(字節跳動)、美団(Meituan)などのITジャイアントからネット通販の出店業者、マンション管理会社、フリーランスの開発者に至るまで、あらゆる組織および個人は見境なく顧客情報を収集・処理し、漏洩してはならないことになる。違反すれば巨額の罰金を課される。(出所:36krJapan)

36kr.jp

 個人情報保護法が施行されれば、ユーザは過度なデジタル化を拒否する権利を有するようになるという。

「大企業にとっては損失だ。なりふり構わず収集した個人情報を使って自社のアルゴリズムを進化させる行為は、今後は処罰の対象となるからだ」。

意思決定の自動化機能を使って個人向けにプッシュ通知をしたり、商業的なマーケティングを行う際には、対象となる個人の特徴とは紐付かない選択肢も同時に提示するか、あるいは簡単に受信拒否できる方法を提示するべきだとしている。また、意思決定の自動化機能を使って個人に重大な影響を及ぼす決定を行う場合、対象となる個人は管理者に対し説明を求め、その決定を拒否する権利を有するとしている。(出所:36krJapan)

 行き過ぎたデータ利用が、行き過ぎた消費をあおっていたなら、規制があっても当然のような気がする。一方、これによってどれだけ経済に影響があるんだろうか。既に中国経済の減速が懸念されている。

 

 

 中国では、テクノロジー、金融セクターの台頭によって国内の所得格差がここ5年で急速に拡大しているという。

新たな産業が次々と現れ、特にこの数年はデジタル経済が急拡大している。デジタルプラットフォームが人工知能(AI)技術と相まって高度な教育を受けた労働者を引き付け、こうした働き手は急速に伸びる高賃金を享受している。また、中国国内で拡大する金融業界は独占色が強く、並外れて高い報酬をもたらす。一方で、他の産業の賃金は緩やかな伸びにとどまっている。 (出所:ブルームバーグ

www.bloomberg.co.jp

 デジタル産業にいる人たち、それに馴染んできた人にとっては、青天の霹靂とまではいわないまでも、ある種の驚きをもって受け止められているのだろう。

 36krJapanによれば、かつて信奉を集めたアリババ創業者のジャック・マー(馬雲)氏は「人類はIT時代からDT(Data Technology)時代に向かっている」と述べていたのだから。

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 一方、米国のプライバシー保護の方向性が定まっていないという。この動きに、米国が加わるようであれば、データ利用のあり方に変化があるのかもしれない、という意見もあるようだ。

 

 

 ブルームバーグによれば、「米ヘッジファンドは中国の立ち位置について一段と懸念」し、「中国がこれまでのように外国企業や投資家にオープンであり続けることに賭ける姿勢は後退している」と指摘する。

ヘッジファンドは株式相場について強気と弱気の両方向に賭けるものだが、ビジネスの中国依存が比較的大きい米企業へのエクスポージャーを減らしている。

ゴールドマン・サックス・グループのプライムブローカレッジ部門がまとめたデータによると、これら企業にはラスベガス・サンズゼネラル・モーターズ(GM)が含まれる。(出所:ブルームバーグ

www.bloomberg.co.jp

「中国の方針転換は、中国が世界経済にとって、08年の金融危機後のような成長エンジンにはならないことを意味し、世界は今、中国に代わる景気けん引役を探す必要に迫られている」との英フィナンシャルタイムズの意見を日本経済新聞が報じる。

中国政府はかつての成長最優先の政策から転じ、IT大手による支配や、貧富の差の拡大など、放縦な資本主義の手綱を締めようとしている。それも理解できなくはない。

例えば、アルミニウムの減産は政府が環境対策を強化した結果とされる。(出所:日本経済新聞

www.nikkei.com

 こうした一連の中国への変化は国内にどんな影響を及ぼすのだろうか。その心配がだんだんと大きくなる。

 

 

 中国では、「経済、金融、文化、政治で深い変革が起きている。深い革命と言ってもいい」、「今回の変革で、(中国の)市場は資本家が一晩で大金持ちになれる天国ではなくなる。われわれは一切の文化の乱れを整理する必要がある」

と主張する論説が、共産党機関紙・人民日報や国営新華社通信、中央テレビを含む多くの主要メディアがネットに転載されたという。

 これに対して、習近平氏に近いといわれる環球時報編集長、胡錫進氏は、ネット上で反論し、「まるでこの国が改革開放に別れを告げるような言い回しだが、重大な誤りだ」と断じたとJIJI.COMが伝える。

www.jiji.com

 JIJI.COMによれば、論説内容に強い警戒が広がったことで、胡氏が「火消し」をした可能性があるという。

 確かなことはまだわからないが、感覚的には米ヘッジファンドの動きや、フィナンシャルタイムズの指摘もまんざら外れていないように思われる。経済依存が大きい国だけに、リスクレベルをあげて注視する必要がありそうだ。