中国配車アプリ最大手の滴滴出行(ディディ)が、中国国家インターネット情報弁公室(CAC)の命令により、アプリストアから除外となるという。米国でIPO直後の当局による命令に衝撃が走っているようです。
投資家にとって滴滴の価値を著しく高めたのは、共産党指導部にとって同社をはじめとするテクノロジー企業を潜在的な脅威としたものと同じであり、それは中国国内を中心とする5億人規模の年間アクティブユーザーからの大量の機密データの保有だ。
習主席ら指導部はここ1年間にわたり、ユーザー保護に加え、共産党の権威に挑戦することになりかねない億万長者の集団を単に富ませるだけでなく、広範な経済成長の促進に使う方法を見いだすため、こうしたデータの支配を模索し続けている。 (出所:ブルームバーグ)
滴滴の株価急落で、政府と新興の民間セクターとの緊張が続く中国の企業に投資するリスクは鮮明になったとブルームバーグは指摘する。
中国政府は6日、中国企業の海外上場の規制を強化すると発表したと日本経済新聞が報道しています。
情報セキュリティー確保の規定を見直し、企業が保有するデータの越境を厳しく監視、中国の証券法を域外適用するための制度などを整備する。すでに海外上場した企業への監督も強める。 (出所:日本経済新聞)
ブルームバーグによれば、滴滴は、3日時点で既に新規ユーザー登録を停止しているという。また、規制に沿う形にアプリを修正する作業に取り組んでいると説明しているとい。また、中国での売り上げに「悪影響」を及ぼす可能性があるともしているという。
政府が集めるよりも詳細な個人情報を備える「スーパーデータベース」をインターネット企業が持つことを中国は決して容認しないと指摘。ネット企業が業務で得たデータの全面活用も禁じるとの見通しを示した。 (出所:ブルームバーグ)
今回の騒動は、ソフトバンクの株価にも影響し、滴滴に投資するヘッジファンドなどの投資家も6日の滴滴の株価急落で痛手を受けているとブルームバーグはいう。
中国の真意はどこにあるのだろうか。中国の起業家のマインドに何か変化は生じるのだろうか。
ロイターはその影響を次のように指摘する。
エキタス・リサーチのディレクター、スミート・シン氏は「滴滴が当局の取り締まり実施について数カ月前から認識していたという情報もあり、同社のガバナンスに疑念が生じるだろう」と指摘。
「実際に取り締まりが数カ月前から計画されていたとすれば、すぐには終わらないことを意味する」と語った。 (出所:ロイター)
「より広範で外交的な意味合いがある」とある市場エコノミストは指摘し、「これは必ずしも米国に言及していないものの、米国に仕返しするための裏技だ」、「この取り締まりは、経済的対立への扉をさらに開くものだ」と述べたという。
「中国政府の動きが、日本経済にも広範囲に波及するのではないかという漠然とした不透明感」があるとの見方もある投資家が示したとブルームバーグは伝えている。それに尽きるような気もする。