イギリス コーンウォールで開催されていたG7 主要7カ国首脳会議が閉幕した。様々なテーマで議論がなされ、首脳宣言を採択したという。色々気になることはあるが、中国との関係性をどう謳うかが気になっていた。
ブルームバーグによれば、G7は中国に対し、気候変動などの問題では協調する一方で貿易やサプライチェーンに関しては競合し、人権問題では異議を唱える3本柱のアプローチを採用することで一致したという。
想定通りなのだろう。しばらくは対立関係が続くのだろうか。国際協調という名をかりた中国への傾注が終わることになるのか。
この先、変化があるのかもしれないが、あまり過激にならずに穏便にと願いたい。それは少しずつゆっくり変化していくことになるのだろう。
ハイテク分野での対立は決定的のようだ。国が半導体・デジタル産業戦略をまとめ、今までとは異なった国際協調を模索しているのだろう。
「米中技術覇権対立を背景に、米国の国内製造回帰の動きが活発化、それに伴って、世界の半導体エコシステムのチョークポイントとして、我が国が強みを有する製造装置・素材産業の開発拠点の海外移転につながるおそれあり(空洞化の懸念)」があると経済産業省は指摘する。産業の集積地が中国から米国に移転すると危惧する。
国内対策とし、「先端半導体製造技術の共同開発とファウンドリの国内立地」を経済産業省は掲げる。
まずは最先端技術を海外メーカを含めて共同開発し、その後に、製造工場の国内立地をもくろむ。
前工程では、「Beyond 2nm」に向け、「先端半導体製造技術コンソーシアム」を立ち上げ、産総研を中心にして、産総研のスーパークリーンルーム内に3次元構造ロジック半導体デバイスのパイロットラインを整備するという。
このコンソーシアムは、東京エレクトロン(株)、(株)SCREENセミコンダクターソリューションズ、キヤノン(株)の3社が参加、共同研究する。また、この3社の他に、インテル、IBM、TSMC他が賛助会員として参加する。
脱炭素の流れからしても、超低消費電力で信号の処理を行うことはあらゆる機器で求められることなのだろう。このためには、先端ロジック半導体の性能向上が必須ですと産総研は指摘する。「半導体素子の微細化が物理的限界に近付く中、2nm以細の技術ノードは3次元構造ナノシートトランジスタが最も有望視されています」という。
コンソーシアムの構図からすれば、日米台が協力して、次世代前工程技術を開発すると見えてしまう。それはいわば、ファウンドリーの2大勢力のひとつ韓国を敵に回し、追い上げ迫りくる中国に対抗しようとの意図とも読める。政治家たちが考える地政学が色濃く反映したということなのだろうか。
「失われた30年」、日本の半導体が凋落し、その間に韓国、台湾が世界の2大勢力になった。そこに今、中国が入り込もうとしている。
栄えた産業が衰えれば、その利益や富、そして雇用も他国に移転していってしまう。国内で産業が栄え、工場が立地すれば、雇用を生み、その付加価値は国内に還元される。ポストコロナを考えれば、必要なことなのかもしれない。
こうした流れは、ハイテク分野だけにとどることなのだろうか。