Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

華やかさとその裏の闇 アベノミクスと様々な評価

 

 アベノミクスに対する評価は様々だ。何が正しいかわからない。

 仮に正しい評価があるとすれば、それは歴史ということのかもしれない。アベノミクスの8年余りの歳月も歴史の一部に過ぎない。未来は、良くも悪くもアベノミクスという現実を包含し作られていく。

 

 「バイ・マイ・アベノミクス」(アベノミクスは買いだ)。

退陣を表明した安倍晋三首相は2013年9月、米ニューヨーク証券取引所で投資家を前にそうスピーチした。

12年末から8年近く続いた政権下で株価は上昇し、海外投資家からも一定の評価を得た。

一方、労働市場改革などいくつかの課題は道半ばのまま、次の首相に引き継がれることとなった。 (出所:ブルームバーグ

 

www.bloomberg.co.jp

 

 8年あまり、「経済の再生無くして財政の再生なし」と同じ言葉を繰り返し聞かされてきた。入れ替わり立ち代わり経済再生担当相が登場した。

 こうした事実から考えれば、アベノミクスは道半ば、 8年の時間を費やしても未完、思い描いた通りに経済は立ち直らなかったということのだろう。

 

 

 

 様々な評価があっていいと思う。そこから何を学ぶかが重要なのだろう。

 気になることが、ひとつある。私たちの意識、国民感情の変化はなかったのだろうか。

 繰り返し同じ言葉を聞かされればプロパガンダと同じようなものだ。国会では、どこかの国を模倣するかのように連日罵詈雑言が飛び交い、「悪夢のような民主党政権」と平然言う人がとても真摯な政治家とは思えない。

 こうした日常に私たちは何か洗脳されてしまってはいないだろうか。

 政府重点施策に乗れば勝ち組になり、利益至上主義が蔓延るようになった。国連のSDGsは包摂的な世界を標榜するが、それが理解されることなく、ムダばかりを積みを上げ、人にも地球にもやさいくない世界が出来上がってしまってはいないだろうか。

 そんな中、コロナ渦が襲い、築き上げてきたGDPが吹っ飛んだ。

 

日本は典型的な失敗例

経済成長のスピードは(人為的に)変えられない事実を、信じたくない国がやってしまうことです。

政策で成長率に影響を与えようとしても、同時にたくさんのことはできませんね。たくさんのことをしたら、公的債務が爆発的に増えてしまう。それほど大変なことにもかかわらず、やっても成長率は変わらない。 (出所:日経ビジネス) 

 

 そう指摘するのは、ノーベル経済学賞を受賞したバナジー教授。日経ビジネスとのインタビューで語った言葉だ。

 さらに、「成長スピードを(人為的に)変えようとして失敗した良い例が、1990年代前半の日本でしょう。成長が止まったとき、経済を成長させることが優先度の高い問題になりました。あらゆる施策が取り上げられましたが、結局はうまくいきませんでした」と指摘する。

 失われた20年のことだろうか。そして、今も同じことが繰り返されているとでもいいたいのだろうか。

 

business.nikkei.com

 

 

 

 「平成生まれで世界に飛躍した企業があっただろうか」と日経Xテックは疑問を投げかける。

 

広く誰もが「平成生まれのグローバル企業」と認定できるような存在は見当たらない。

 

おいおい、平成はおよそ30年間も続いたのだぞ。

令和の時代になった今でも、日本のグローバル企業と言えばトヨタ自動車、ホンダ、ソニー任天堂をはじめとする「明治・大正・昭和な会社」ばかりだ。 (出所:日経Xテック)

 

 GAFAのうちアップルを除けば皆、平成生まれだ。アマゾンが平成6年(1994年)、グーグルは平成10年(1998年)、Facebookは平成16年(2004年)の設立だと日経Xテックは指摘する。

 

xtech.nikkei.com

 

かつて日本企業は「模倣の達人」であった

欧米企業の製品を猿まねして、その「本家」よりも低価格で高品質の製品を量産して世界を席巻した。

模倣を通じて安くて良い製品を作れたのは、日本企業の強みと言われてきた現場力のたまものだ。

製品の開発者や製造ラインの従事者らが他の製品を徹底的に研究し、製品開発や製造などで創意工夫を凝らした現場力こそ、日本企業の強さの源泉だった。 (出所:日経Xテック)

 

 GAFAもまったく新しい何かを作り出してグローバル企業になったわけではない。

 アマゾンが登場する前に既にEコマースはあったわけだし、グーグルの前にも数々のポータルサイトや検索サイトはあった。Facebookしかりだ。

 模倣があって、初めてオリジナリティが生まれるのかもしれない。

 ある日突然イノベーションが起きるわけではなく、今あるものをベースにして、2、3歩先の世界を実用化することでイノベーションが起きるということでもあるのだろう。

 

 

 

 「グリーンリカバリー」

 環境対策を通じて景気回復につなげようとする考えだ。EUが先行し、国連などの国際機関が各国に取り組みを促す。

 コロナ禍をきっかけに脱炭素社会に移行する流れだが、それに逆行するような動きが目立つのがアジアだ、と日本経済新聞は指摘する。

  

www.nikkei.com

 

 模倣するいい題材ではないであろうか。

 トランプ政権は別にして、国連を含めて作ろうとする流れに乗るのは悪くないはずだ。

 総花的なだったアベノミクスだからこそ、その中には、それにつながる種もあるように思う。進め方に違いがあるのかもしれないが、そうしたことを活かすことで経済の活性化になれば、アベノミクスの価値も見直されるのではないであろうか。

 

 

 「関連文書」

dsupplying.hatenadiary.com

 

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