セグウェイの生産が終了するという。20年近く前に登場した未来を感じさせる乗り物も、その値段から一般に普及することなく、役目を終えることになりそうだという。
残念に思うが、やはり5000ドルという値段はちょっと高すぎたということなのだろう。
セグウェイを見たからこそ、モビリティの未来を想像できたりしたのだろうと思う。そう思えば、それはそれで貢献もあったりするのだろう。
新型コロナの影響で、都市交通の議論が国内外でさかんになってきているようだ。
いわゆる「密」を避ける交通ということで、ひとりの自転車や電動キックボードに注目が集まっているという。
日本貿易振興機構JETROによれば、中国の欧州向け自転車の輸出が増加しているという。
アリババ傘下の越境ECサイトによると、5月のスペイン向けの自転車販売額は前年の23倍と急増し、イタリアと英国向けも前年の5倍となった。また、イタリア向け電動キックボードの販売額も前年の10倍、英国向けは9倍、フランス向けは4.8倍、スペイン向けは3.8倍と軒並み増加している。
(出所:JETRO ビジネス短信「中国産自転車の欧州向け輸出が急増、新型コロナ対策で利用奨励」)
その背景には、例えば、イタリア政府が自転車や電動の個人用移動手段(電動キックボード、ホバーボード、セグウェイなど)を購入する際に、500ユーロを上限に購入費用の60%を補助するということもありそうだ。
国内でも動きがあるようだ。電動キックボードの草分けLuupがニュースリリースを発行し、規制緩和に向けた動きを伝える。
PR Timesによれば、自民党のMaaS議員連盟マイクロモビリティPTが「電動キックボードの普及に向けた規制緩和等に関する提言(案)」をまとめ、関係省庁に早期に規制緩和が実現するよう要望を出したという。
電動キックボードのシェアリングに関し、本年秋頃より、電動キックボードが自転車専用通行帯を含めた公道で走行できるよう、生産性向上特別措置法(規制のサンドボックス制度)に基づく実証等を踏まえた上で、関係省令及び告示について、産業競争力強化法に基づく規制の特例措置を講じること。 (出所:PR Times)
日本では、電動キックボードは原動機付き自転車扱いとなるため、免許やヘルメットが必要で車道の走行に限定されている。
NewSphereによれば、パリ、ブリュッセル、ロンドン、ミラノといった欧州の多くの街で、自転車専用レーンの設置が進んでいるという。
そもそも欧州では、新型コロナウイルスの感染が広がる前から、二酸化炭素の排出削減と大気汚染の軽減を目指して自転車レーンや歩道の整備にかなりの予算がつけられていた。
またイギリスのように、減税措置をつけて自転車通勤を奨励している国もある。もともとあった計画が、コロナでさらに拡充されることになった形だ。
ドイツのメルケル首相は、温暖化対策がコロナ後の景気刺激策の主要部分になるべきと主張しており、自転車利用もその一つとして、強く押し出されている。 (出所:NewSphere)
国の成長戦略のひとつに「Society5.0」がある。その中では、モビリティ、MaaSが重要施策にあがり、様々なモビリティの推進が掲げられる。
コロナで新しい日常が提唱され、少しばかり目指す未来に変化があるのでなかろうか。「Society5.0」を見直す機会になってもいいのではないであろうか。そう考えれば、自民党のMaaS議員連盟の提言も受け入れる素地も生まれてくる。
そんな中、glafit株式会社が立ち乗り電動バイク「X-SCOOTER LOM」(クロススクーターロム)のクラウドファンディングを始めた。
このバイク、電動キックボードを模しているのだろうか、スケボーのように足で蹴り出してから、アクセル操作するという。
ブレーキランプ、ウィンカーといった保安部品がついた状態で販売され、第一種原動機付自転車(原付)扱いになるという。このため、免許証・ナンバー取得・自賠責加入・車道走行が義務づけられる。
セグウェイを現代版に進化させるとこうなるのであろうか。規制緩和が進み、自由に走行ができるようになって欲しいものだ。アフターコロナの移動にはもってこいのような気がする。
値段も10万円台と手頃感がありそうだ。和歌山メイドというところもまたいい。
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